”ビジネスエリートになるための教養としての投資(著・奥野一成さん)”は、「学割」を付けるべき「武器」だ!
私は、強い危機感を持ってこの本を書き始めています。
皆さんも感じていらっしゃることだと思いますが、日本は少しずつ、確実に貧しくなっています。それでも平成の時代は昭和の遺産を食いつぶすように生きながらえることが出来ましたが、令和の時代にはますます厳しさが増していくことは間違いありません。
本の書き出しはこうなっています。
この本の「3時限目 日本人はなぜ投資が苦手なのか?」で、「どんどん貧しくなる日本」の実態が数字とともに紹介されています。この部分は、可能であれば、エッセンスの部分を公開してもらいたい内容だと思います。
著者の奥野さんは、日々貧しくなる方向を逆向きにするため「投資家の思想」が不可欠だと主張されています。日本には「労働者の思想」が根深く蔓延っており、それを打破しなければならない、とも。
ただし、間違えてはいけません。世間の人の多くがイメージしている「投資」のほとんど全ては、「投資ではなく投機だ」と。
本のタイトルは「ビジネスエリートになるための」と付けられていますが、
タイトルを付け間違っている!
と本を読み終えて、真っ先に私は感じました。この本で説明されている「投資家の思想」は、ビジネスエリートだけに必要か?
否、断じて違います!
これからを生きる人たち、ビジネスの世界に進む人たちはもちろん、公務員になる人たち、学術の世界に進む人たち、アーチストを目指す人たち、プロアスリートを目指す人たち・・・自分の足で未来を拓こうとする人たち、そう、全ての若者に必要だと感じました。「投資家の思想」は、故・瀧本哲史さんが仰っていた「武器」に相当する、そう感じたのです。
この資本主義、自由主義、民主主義をきちんと成立させるために共通して必要なのが、じつは、さっき言った「自分で考え自分で決める」ことなんです。
だから「自分で決める(決められる)ことが超重要でありそれができる若い人を増やしたいと思ったので・・・
”2020年6月30日にまたここで会おう”(著・瀧本哲史さん)
ですから、高校や大学の図書館に蔵書されることはもちろんですが、学割で販売すべき!って思いました。25歳以下の人にも本をちょっと安めに入手できるU25割引等の仕掛けもあっていいでしょう。とにかく、若い人たちにこの本を届けなきゃダメだ! 自分で考えて、未来を拓くためのガイドブックとなってくれるはずです。
この奥野さんの本には非常に沢山の印象深い箇所があったのですが、二つに絞りたいと思います。
”日本人は、決して投資が苦手でも下手でもない!”
松下幸之助や本田宗一郎など、戦後日本の高度経済成長を支えてきたビジネスの偉人たちは、まさに資本家でしたし、彼らは自社のビジネスをより大きなものにするため、設備や人材に対して惜しみなく投資をしてきました。
(3時限目 日本人はなぜ投資が苦手なのか? 103ページ)
事業を育成するには、投資家としての思想が必須だということです。
奥野さんは2015年に出版された「京都企業世界を変える 企業価値創造と株式投資」の第8章 長期投資の意義と実践 でこんなことを書かれていました。
私は、経営者の機能を①キャピタルアロケーション(=どの事業に資源を配分するのか)と②ビジネスマネジメント(=選択した事業を適切に運営する)に分けることができると考えている。どちらも重要なことはいうまでもないことだが、現在のように変化のスピードが速い経営環境において、長期的な企業の姿を決定づけるものは、キャピタルアロケーション能力ではないだろうか。ウォーレン・バフェット氏の言葉を借りるなら「どれだけ効率的に舟を漕げるかという点よりも、どの舟に乗り込むかという点が根本的に必要だ」ということである。
ちょっと乱暴な紐付け方かもしれませんが、この①キャピタルアロケーションこそが「投資家の思想」です。で、ちょっと躊躇してしまうところもありますが、②ビジネスマネジメントは「労働者の思想」に近いような気がします。別の言い方をすると、①キャピタルアロケーションはBS(貸借対照表)脳であり、②ビジネスマネジメントはPL(損益計算書)脳である、とも言えるかもしれません。
企業も個人も同じだと思います。しっかりと本業で稼ぎを得る、これはP/L脳の為せる業ですね。これを磨くことは非常に大事です。でも、その脳を駆使してやっとこさ積み上げた資本をどこに投じるのか。その配分、アロケーションを間違えてしまうと、資本はあんまり増えない、場合によっては減らしてしまうことさえあるはずです。「投資家の思想」とは、積み上げた資源、資本、資産をどのように配分するか、を考えるための「武器」なのです。つまりは、この「武器」をもたないままに、さらにユルユルと時間を過ごしてしまうと、日本はますます、ドンドン、貧しくなってしまうのです。この自分の資本、資産をどう配分するか、について自分で考えることがとても、とても大事だと私は思います。
もう一つご紹介したいこと。それも「投資家の思想」に深く関連していると私は考えています。
会社が存在する「意味」
企業の本質的な存在意義は何か? それは「社会に付加価値をつけるため」に尽きると思います。資本主義は、そのように世の中に付加価値を提供できる企業どうしを「神の見えざる手」によって競い合わせることで、より効率的に機能させる近代最大の発明です。「利己」を追求するところに「利他」が生まれるという考え方です。
個人個人では解決出来ない社会や顧客の問題を解決するべく、異なる能力を持った個人が集まって相乗効果を発揮するために作られたのが会社という形態であって、それこそが会社の本来的な存在意義です。
(1時限目 投資家の思想が人生を成功に導く 53ページ)
「利己」を追求するには、「利他」つまり、「他」自分の周囲、社会を意識して、そこに価値を提供できるか、その価値はどんな意味を持つのか、がなければならない、ということだと思います。要は、自分が儲けたい!儲けたい!の「利己」だけではダメだということです。それで上手く運ぶこともあり得ますが、「利己」だけでは決して長続き、持続しない、と私は考えます。
「投資」も同じだと思うんです。「早くお金持ちになりたい、さっさと増やしたい」誰しもそう思うことでしょう。しかし、投資のリターンは未来、社会からもたらされるものです。未来、社会に対して、価値あるもの、意味あるものを届けることが出来なければ、リターンの源泉は生まれるはずがない、そう思うのです。加えて、そのリターンを享受するにはそれなりに時間がかかるものです。
若者にこそ、この「武器」を届けたい!
奥野さんは言います。
楽して儲かることなんて絶対ない
「ほったらかし」「ラクチン」と喧伝される方法は世の中に沢山あると思いますが、本当にそうなのか、ぜひ自分の頭で考えてみてください。それでこそ「投資家」だと思います。
この本、既に投資に取り組んでいる人が仮に手にとっても、「刺さらない」かも、っていう気もしています。特に、自分なりのフォームが固まっている(と、信じている)人たちにとっては。これでいいのか、と迷いがある人には「刺さる」かも。
私自身の経験からすると、株式投資、資産形成を考え始めた初期の頃に、出会う本や考えは非常に大事です。そこで妙な考えに出会うことは非常にマズい。真っさらなの白紙、水に一度も付けていないスポンジ状態なわけですから。
だからこそ、若い人たち、一人でも多くの若い人たちにこの「武器」が届いて欲しい、と思うのです。
えっ?!いきなり、本を読むのはちょっと・・・・
であれば、この動画をご覧になってみてください。奥野さんのお話です。
https://www.youtube.com/watch?v=7kV27wiHYak&t=411s
「投資と投機」何が違うか、はよくご理解できると思います。
「貯蓄から投資へ」は、なぜ遅々として進まないのか?
「貯蓄から投資へ」がなぜ進まないのか? これはここ数年、考えてきたテーマです。その一つのヒントになったのが、瀧本哲史さんの「パラダイムシフト」に対する考えでした。要は、若い人たちに真っ当な考え方が広まっていなかったから、だと。真っ当な考え方とは、奥野さんがこの本で示されている「投資家の思想」だと思います。これが多くの若い人たちに伝わっていない。ずっと長く「株式投資」ではなく「株式投機」を若い人たちに伝えていたのではないか、と。
それが起きた理由に対する私の仮説を、この本から導き出しました。
業界が、「労働者の思想」やPL脳に凝り固まっていたから、ではないか、と。目先の自分たちの利益になる、それを考えると、「投機」を伝える方が遥かに手っ取り早い。だから疑似トレードや株式投資ゲームを紹介し、それを「投資」としたかったのではないか、と。日々のトレードであくせくする「労働者」様の、日々のPLを支えてくれる未来のお客を沢山ふやそう、と業界は長らく考えていた、行動していた、もしかしたら、今でさえホンネはそこにあるのかもしれません。資本市場を通じて、社会を富ませよう、豊かにしよう、という「投資家の思想」が、めっちゃくちゃ、極めて、少なかったのではないか、と。結果、「貯蓄から投資へ」は遅々として進まない。依然として。
「投資家の思想」は社会を豊かにする、快適にする、そのポテンシャルがあります。これを若い人たちにキチンと届けることが出来れば・・・
こんなことを
を読んで感じました。
奥野一成さんが率いるチームの皆さんのnoteです。
<この記事でご紹介した本>
<PL脳についてはこちらを!>
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