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20歳になった長男とサシで呑みに行ってみた話
いつか子供達に この時代を伝えたい どんなふうに人が 希望を継いできたか
高校生の頃に初めて聴いたこの曲を思い出しました。あの時、こんなシーンがやってくるって想像していただろうか、と。
「僕と彼女の週末に」は浜田省吾さんの名曲ですが、自分なりに「僕と長男と月曜に」をやってみたときの話をします。
このnoteは、長男の許可を得て、公開しています。
伝えたいことがあったけど、ずっと手つかずだった
先日、4月に20歳になった長男とサシで呑みに出かけました。息子と二人でお酒を酌み交わす。20歳になったら早めにそんな時間をつくりたいな、と思っていました。
そう思っていた理由の一つは、もうあと1年経ってしまうと、就職を意識し始める時期になるだろうからです。実は、自分の仕事やキャリアのことを、彼に語る機会はありませんでした。
なぜ、どんな経緯で今の仕事に就いたのか、今の職場でどんな仕事をしてきたのか、そういう話を早めにしておきたい、話しておくべきだ、それはずっと前から思っていました。
「長男とサシ呑み企画」を実現させるにあたって、後押しをしてくれたのは、パーソナル編集者としてお世話になっている みずのけいすけ さんでした。みずのさんとは月イチでミーティングしています。5月のミーティングの際の話です。
株式投資に関する発信を17年長く続けてきたけれど、自分の息子たちにちゃんと説明したことが無かったこと。
これまで何度も早くその話をしなきゃ、と思いながらも手つかずだったこと。
株式投資がどうのこうの、の前に、そもそも僕自身の仕事のことすら実はあまり話すことが無かったこと。
こんな話をしたら、みずのさんから
「来月のミーティングまでにそれ、やってくださいよ」
そう言われて、これはいよいよ後回しにしておけないと感じ、やってみよう、と踏ん切りが付きました。
20歳の長男とのアポ取り
みずのさんとのミーティングの翌日、先月の半ばに彼とのアポをトライ。20年一緒に生きてきたのに、こういう誘いって緊張するものですね。すぐに「いいよ!」って返事がもらえるだろうか、と。
そんな心配を抱えながらLINEを送信。
外で一緒にメシくわないか?
返信が来ました。
(家族)みんなで食事に行く感じ?
すかさず、「いや、1対1 で。」と伝えました。
意外にアポ取りはあっさりと完了しました。素直な返答にホッとしました。
そこからお店選びで何回かLINEのやりとりをしました。彼の希望は肉、洋風だったこともあり、お店は渋谷のレストランに決めました。日取りは月曜日の夜。
はじめは、お寿司屋さんのカウンターもいいかと思ってました。でも、そうするとお寿司に目がない家族(妻・次男)がヤキモチをやくかもしれない。。。
それにお寿司屋さんのカウンター、僕自身、あんまり経験が無いもので緊張しちゃって上手く喋れないかもしれない。
ということで、渋谷の奥まったところにある、イタリアンに。
渋谷での待ち合わせ
当日の待ち合わせは18:35、渋谷の東急百貨店・本店跡地。初めてのお店だったので分かりやすい場所を待ち合わせ場所に選びました。
僕は仕事を終えて渋谷に向かいました。長男は渋谷の地理に明るいはずなので待たせないように、と10分近く前に僕はその場所に着きました。
一方、彼は学校やら自分の用事やらを終えて待ち合わせの場所に2分ほど遅れてやってきました。事前に「出発が遅れたのでギリギリになります」とのLINEが来てました。
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お店までほんの3分程度。彼が所属する部活の話をちょこっとしているうちに到着しました。
カウンターの席に二人で並んで座り、ワインと食事を楽しみました。
最初に話したのは、僕の祖父と父が営んだ家業のことです。
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家業は、阪神地区を商圏にした小規模の卸売でした。祖父が興した(はずの)会社です。どんな経緯で祖父が会社に関わったかまでは僕もよく知りません。知っている断片的な情報と思い出を元に説明しました。
僕が小1の時に祖父は亡くなり、その数年後、父がその事業を継ぎました。色々あったようなので細かい経緯は僕も知りませんが、祖父が興し、父が継いだ家業について彼に話しました。
これまでどんな仕事をしてきたかを話しました
その家業を継ぐ、そんなことは一切考えることなく、僕は大学進学で上京し、そのまま東京で就職、サラリーマンになりました。今も勤務している会社を選んだ理由、サラリーマンを選んだ理由を、話しました。
小学生の頃の友人の親、親戚を見ていて、安定した高いお給料が貰えている様子が窺え、自営業よりも良いな、と思っていたこと。家業の状況次第で、誕生日プレゼントの中身が変わっていたこと。家業のおかげで不自由することなく大学卒業まで過ごせたこと。
今の勤務先は、祖父、父の興した家業と、規模はまったく違うものの業態的には近いものがあったので志望したことを説明しました。
就職して今年で29年目。これまでの28年間、どんな仕事をやってきたのか、を話しました。
色々な情報を詰め込んでまとまりを欠いているという自覚はありましたが、僕がどこから来たのか、今何をしているのか、それを一気に話しました。
彼からは「そんな話、知らなかった。初めて聞いた」という言葉が何度も出てきました。実はこういう話を、息子たちとはほとんどしたことがなかったんです。
彼がより強い関心を示していたのは、僕自身のキャリア、どんな仕事に取り組んできたか。そんな感触が残っています。
長男の記憶に刻めたものが何かあったのか、具体的には確認しませんでした。何か一つくらいは憶えていてくれたら嬉しい。
2時間程度の食事を終えました。ワインをまあまあ飲みました。
長男がなかなかのペースでワインを飲みすすめているのには、少し驚かされました。「お酒はあんまり、、、」と以前に聞いていたからです。よくよく聞いてみると、ビールの美味しさが分からない、ということでした。ワインならイケるみたいでした。
二軒目に移動。最初からこの日は二軒訪れるのが僕の計画でした。
バーのカウンターでつたえた「願い」
二軒目に訪れたのは bar bossa です。一軒目のレストランから歩いてすぐ、奥渋谷にある隠れ家のようなワインバー。色々とお世話になっている林さんのお店です。こんなお店があるんだよ、ということを彼に教えたくて。
bar bossa は人気のお店。お店に着いた21時頃であればカウンターは空いてないかもしれません、と林さんからお聞きしていました。
でも、運が良かった、カウンターに二人で座ることができました。
bar bossa で計画していたことがありました。
彼の名義で10年くらい積み立ててきた投資信託の時価を確認してみよう
実は、彼の名義で毎月3000円をコツコツ投資していました。2010年8月から2022年4月。彼が成人するまで(彼は2022年4月に19歳で成人)投資した元本は約40万円。
この日、持参していたタブレットから、彼の口座情報にここで初めてログインし、確認してもらいました。
その投資信託の時価は100万円超になっていました。おおスゴいね、と二人でびっくり。
実は、僕も彼の口座の中身はこの数年全く確認していなかったので初めて知る数字でした。
時価が100万円を超えたその資産を「どう使うかは、君に任せる」と伝えました。
彼なりにその価値を咀嚼しているのか、わかりやすく喜ぶでもなく、神妙な面持ちに見えました。突然、ギャンブルのように生まれたお金としてではなく、コツコツと時間を積み重ねたものだということを感じてくれたのかもしれません。
まだまだ熟成させる(現金化せずにそのままにする)もよし、少し飲んでみる(一部を現金化する)もよし、一気に飲み干す(全部現金化する)もよし。ただ自分の為の「投資」につかってほしい、と僕の願いを伝えました。
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素敵なお店を知っていることも資産になる
当初の計画では、時価の確認をきっかけにして株式投資の話を語る、そんな心づもりでした。
彼は僕が株式投資の発信をしていることは知っていましたし、この機会に話しておこう。当日、bar bossaにお邪魔する前までそう思っていました。
でも、そこはスルーしました。株式投資話はまたの機会にしよう。
彼と、林さんとお話しながら、資産をふやしてきた話よりも「いいな」と思うお店を知っていることっていいだろう、を伝えたくなったのです。僕にとって彼に教えたかった、連れて行きたかったお店が bar bossa です。一軒目のお店もbar bossaの近くで、という理由で選びました。
大学生の彼にはまだ少し敷居の高い存在でしょうけれど、お店を知っていることで何か良い出会いにつながるかもしれません。それは彼次第ですけれどね。
bar bossa を知っていること、お世話になっていること、それは僕にとって、一つの資産です。そういう資産を増やしていくことも投資。
よくよく考えてみれば、一軒目で話した、僕のこれまでについてと、家業の話。これも投資の話でした。何を考えてどんな選択をして今に至っているか。その選択の一つ一つが投資です。
そんな話を彼にしたわけではないですが、そんな風に今思っています。
二人でゆっくり話して、彼は充実した大学生活を過ごしているようでした。彼がこれからどんな投資をしてどんな資産を築くか、それは彼次第です。ただ、その参考になるようなヒントをいくつか届けることが出来ていたら嬉しく思います。
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次回のサシ呑みも、今から楽しみです。