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フルトヴェングラー指揮ベートーヴェン【交響曲第九番(合唱付き)】

12月に入ると、よく演奏される通称「ベートーヴェン第九」。

今年はベートーヴェン先生の生誕250周年という事もあり、1年を通してより多く聴かれる機会があった事と思います。

この曲の第4楽章「歓喜の歌」は、学校でも「よろこびの歌」として教材で取り上げられていますので、クラシックを余り知らない方でもメロディーは知っているのではないでしょうか?

この曲は全楽章を通して聴くと1時間以上になる長い曲です。

第1楽章から第3楽章まで完成された崇高な音楽、第4楽章で合唱が加わりシラーの詩を通して人類愛を歌う。神への祈りや願いを歌うのではなく、人間が自分達の力を認識して、その上で人類愛を歌うもので、神への敬虔な気持ちより、もっと人間的な気持ちでいるのでもいいのでしょう。

音楽は第1楽章から第3楽章までの統一感があり第4楽章では今までとは別に新たな音楽が作り出されます。

バリトン独唱による「おお友よ、こんな音楽ではないもっと楽しい歌を歌おうではないか」と。それまでの生真面目さを捨てて、笑い、世界に向けて楽しく歌い、人間の生きる喜びを、合唱による大宴会が始まります。

矢羽々崇・著【「歓喜に寄せて」の物語 シラーとベートーヴェンの第九】によると、ベートーヴェンは1818年に書いたメモの中に、最終楽章に声楽を加えた交響曲の構想を示しており、そこには「アレグロではバッカスの祭典」という記述があるそうです。バッカスを祀る祝祭です。また、第4楽章のバリトン独唱にあたる部分に「今日はめでたい日だ、歌と踊りで祝おう」というメモが残されているともあります。このように、ベートーヴェンがバッカスの祭典を意識していたと考えられます。

バッカスはローマ神話にて酒の神、ワインの神、酒と陶酔の神であり、ギリシャ神話におけるデュオニソスに同じ。バッカスの祭典ではワインの神を讃えながら陽気に歌って踊る。まさしく今までの年末によく見られた忘年会のような光景も目に浮かんできます。

ベートーヴェンは第4楽章でそのような音楽を目指していたともいえるでしょう。

こちらはフランスの画家ニコラプッサンの絵です。

中央奥の注いでいる姿の人物がワインの神バッカス。頭にブドウの環をつけています💡

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今回は、クラシック名盤のトップには入ると言われているフルトヴェングラー指揮の交響曲第九番(合唱付き)。こちらをピックアップします。

多くの音楽家達が亡命をしていた1933年。フルトヴェングラーは音楽家やドイツの音楽を守るためにドイツに留まり、様々な救済活動をしながら指揮をしていきます。

芸術も統制しようとしたナチスと関わらざるをえず、ヒトラーの生誕祝賀前夜祭で第九を指揮。戦後は汚名を着せられ2年間指揮することを許されず、ようやく再開した演奏会ではオールベートーヴェンプログラム。ナチスとの深い関係を理由に6年間閉鎖されていたバイロイト祝祭劇場が1951年に再開される時、フルトヴェングラーは「第九」を演奏。これは歴史に残る名演として語り継がれています。

「苦悩をへて歓喜へ」ベートーヴェン自身が語ったとされる言葉。

ベートーヴェンについて多くの著作を残しているフランスの作家ロマン・ロランは「苦悩を突き抜けて歓喜へ!」という言葉こそ、ベートーヴェンの生涯が詰まっていると語っています。



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