ひとり
透明な世界にひとり
僕は取り残されたらしい
何処までも澄ました空を見て
堪え切れずに大地が笑った
透明な世界で僕はひとり
膝を抱えて座り込む
百夜の星を掻い綰(わぐ)め
玉章(たまづさ)にして風にかけた
透明な世界の僕はひとり
答え合わせの旅に出る
潮(うしお)は万古の謎をうたい
深淵に投げ入れ蓋をした
透明な世界と僕はひとり
終焉の到来を希う
それを横目に太陽は
四肢を撫でると消え去った
透明な世界を僕はひとり
そっとこの手で抱きとめる
幾星霜の営みが巡り
空っぽの体が包み込まれる
透明な世界に未だひとり
僕は留まり君を待つ
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