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泡沫蓮
2020年6月14日 20:43
僕の世界には色がないそう気づいたのはもう随分と大きくなってからだった白黒の世界は生き易く線の内側にいさえすれば誰も何も言わなかったから目に映る全てに何の疑いも抱かなかった世界に色がある事を教えた君は僕を引き上げた後、笑顔で手を振り去っていった以来僕はこの彩られた世界に取り残されたまま何色にも染まれずかといって透明にもなれず今尚呆然と立ちつくしている
2020年6月16日 03:22
雪の舞い散るこの街に僕はひらりと降り立った誰にも見えないこの形(なり)で全てを葬り去るために雪がさざめくこの町で僕はいつしか笑いだす誰も知らないこの場所で大きな穴を掘りながら雪が囁くこの町で僕は漸く手を伸ばす誰にも届かぬ鈴の音と永久の眠りにつくようにやがて雪降るこの街は僕の心も知らないである麗らかな昼下がり僕を路傍へ放り出すよどんだ僕はそのままでず