本の感想34『悟浄出立』万城目学
本の概要とか
西遊記の沙悟浄は、言ってしまえばモブだ。彼が特別活躍する時もあるにはあるだろうが、立ち位置的には控えめではっきりしない。そんな副役的な人たちの、悩みや疑問などの内面、モブから一歩踏み出すまでの行動とかを書いたストーリーで、着眼点が面白い。
猪八戒は、天界にいた頃はすごい神だった。策略の天才で、戦争が強すぎた。そんな彼は女遊びのせいで下界に落とされ、途中で豚とぶつかったせいであんな姿になってしまった。
妖怪たちの数々の罠にかかってしまうマヌケな今の姿からは想像もできない。しかし沙悟浄が相談を持ちかけると、悟ったような態度を取ったり名言を吐いたりと、どうやら本物そうだと信じられる。
俺からすれば戦争に勝つなんて赤子の手を捻るようなもんだ。でも戦争は虚しいもので、ジャンケンで決めても結果は同じなのに、どうしてあんなにも人々が血を流さなければいけないのか。(こんな感じだったと言う程度) 猪八戒
孫悟空は、世界に名を轟かさせる大妖怪。斉天大聖孫悟空様はさすがに説明の余地がないほどの大人物だ。
こんな2人からしたら、沙悟浄は確かに見劣る。彼が控えめになってしまうのも肯ける。
そんな中、猪八戒から「やりたいならやってみればいい。」「一番になりたいなら、目立ちたいならそうすればいい」と背中を押される。
そして案外勇気を持って一歩踏み出してみると、違う景色に気づける。彼は何かを決心したかのように、三蔵法師一行の一番前を歩いてみるのだった。
感想①最初の一歩目は、到達点の5割
よく、「モノゴトというのは、やり出した最初の一歩目で全行程の半分まで到達している」というが、これは割と真理だと思う。
夏休みの宿題でも、レポートでも、起業でも、読書でも、やり出してしまえばスラスラ進む。やる気の法則にも通ずるのかな、最初というのはそれだけ大きな力が必要だ。しかしいざ始まれば物事は勝手に進んでいくかのように滑らかに目標に近づいていく。
感想②小さな勇気は、成功への必要条件
気になるあの子に話しかける、告白する、ご飯に誘う、これらには勇気がいる。ビビってしまって動けない人がこの世の中の大多数だ。
でもちょっと考えてみてほしい。話しかけないと、その子とは永遠に仲良くなれない。関係が始まらない。告白しなければ、永遠に付き合えることはない。ご飯に誘ってみなければ、一生その子とご飯に行く機会は無い。少なくとも嫌われないという平たんな道は約束されるが、「最高」は手に入らない。(運が良ければ別だが、そんなのはほぼ無いに等しい。)
会社を起こすにも、金持ちになるにも、彼女を作るにも、勇気を出して行動しないことには始まらない。簡単なことだけど、人間はこれができない。俺もちょくちょくビビった心が行動の邪魔をする。この癖を消し去りたい。
人生には、「ちょっとの勇気」が必要とされる場面が数多くあるが、その時々で勇気が出せるかが大事な気がする。