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本の感想37『逆ソクラテス』伊坂幸太郎

ピグマリオン効果

「ピグマリオン効果」「教師期待効果」という言葉を初めて知った。簡単にいうと、先生の期待する生徒は成績が良い、という心理的な考え方。たしかに、先生が印象で「この子はこう」と決めつけてかかり、それに従って言動すれば子供もその通りに育っていきそうである。

同じようなもので、親とか周りの人に「◯◯は頭が良いね〜」と言われ続けて育つと、頭が良くなるみたいなのも聞いたことがある。

統計的にも、期待度と成績は相関すると考えられる。というよりも当たり前の結果な気がする。その理由を2パターンから説明する。

考察

◯周りの期待に子供が応えるタイプ

「たかしは本当にテストの点がいつも良いね!」と言われてしまえば、まだまだ子供であるたかしくんはこれからも良い点数を取り続けるように努力するだろう。

なぜなら、先生や親が点数に関して子供に言及する=良い点数を取ることを期待して(求めて)いるor喜んでいるからだ。直接的な言葉でなくても、行動や態度から子供はそのニュアンスを感じとる。期待している周りの人たちは、それ相応に行動をとる。思いは実現される。

子供は嬉々としてそれに応えるか、嫌々それに応える。どちらにせよ、結果的に良い成績の子供が誕生する。

◯もともとデキる子供が期待されている

「たかしくんは頭がいいねぇ」と言われるような子供は、大抵は頭が良い。というよりも成績が良いだけかもしれないが、そのどちらかである可能性が高い。

デキる子供、あるいは先生がデキると決めつけた子供は、先生からそれ相応の良い対応を受ける。相乗効果で子供はより優秀になっていく。

以上、統計的に期待と成績は相関がありそうだという証明。

決めつけは良くない

ピグマリオン効果の反対に、ゴーレム効果というものもある。これは、ダメだと決めつけられてしまうとそう育っていくというものだ。結局、

誰かの印象や良し悪しを決めつけてかかるのは良くない。行動もそうなってしまうし、その相手もそれ相応になっていってしまう。それが大人数で決めつけたり、対象が子供である場合は特に強く働いてしまう。

ということを主張したい。

他に、ダメだと思ってる子供は、無意識にハードルが下がってしまっている。跳び箱が飛べなかったら、「この子だもんな、」という気持ちになり、成長させようとできない。それがデキる子になると、「この子はこれくらいできて当たり前、もっと高いレベルをさせよう」と差別にもなる。もちろん、個々の子供に、プラスの意味で恣意的にこれを使うのは全然アリだ。しかし、ほとんどの人が自分で気づかぬうちにやってしまっているのが現状だ。

とりあえず、(指導する立場にある)大人の、子供に対する決めつけは良くないぜ。


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