本の感想60『つぎはぎプラネット』星新一
星新一の長編『声の網』では、電話が人々を支配する世界が描かれている。また、星新一のショートショートの世界では、電話が何もかもをやってくれるパターンが多く出てくる。
朝起きると自動で眠気覚ましの霧吹きを出してくれたり、電話を通して脈を測るなど健康を診断してくれたり、電話を通して催眠ガスを発射したり。
今や、スマホがそれらを実現しようとしている。つまり昔でいう電話で、ほとんど当たっているのだ。驚くことに、星さんが亡くなったのは(俺が生まれた年でもある)1997年だ。星さんの作品を読んでいると、書かれた時代をついつい思い出して鳥肌が立つ。
想像のコツ
星さんみたいな発想法はどうやったら身につくのだろう?こう考えてみて、いくつか「こうなんじゃないか?」というのを思いついた。まあ簡単なものである。
まずは、これは将来どうなるんだろう?と考えることである。
例えばオリンピック。IOC加盟国は世界で百数十カ国。4年に一度の開催では、全部の国で開催されるまでは最低でも500年かかる。
でも、ひとびとはみんな、自国で開催してほしいと思っているはず。ならば、4年に一度ではなく毎年開催すればいいんじゃないか?あるいは複数国で同時に開催すればいいんじゃないか?AIが発達して人々の職がなくなってきたら、オリンピックの開催などといったイベントにもいっぱい人が回せるようになるだろう。
あぁ、そもそも、選手(人間)の能力を最大に引き上げる技術や薬の開発に注力していくかもしれないな。という風に、経済の将来への展望にもつながるかもしれない。
もう一例として、新婚旅行。「ハワイなんてのはとっくの昔で、今主流は火星だよ。」なんて時代が来るかもしれない。
ひとは大人になるにつれてなかなか想像をしなくなる。現実的なことで頭がいっぱいだからだ。だから気分転換も込めて、あるいは想像する癖をつける為にも、これを時々思いだしてほしい。
もう一つのコツは、これが実際に存在するとしたらどんなモノだろう?と、考えることである。
幽霊、霊媒、神、悪魔、天使などなど、いないといったらそこで終わりだ。別に信じなくてもいい。俺も信じてない。それを承知で、いたらどんな存在だろう?と想像して遊んでみる。
神は人間の倫理で考えれば性格が悪いだろうし、悪魔の類も同じだろう。死神なんて、意外と紳士の格好をしてその辺に潜んでいるんじゃないだろうか?みたいな。もっともっと細かく、具体的な設定を考えていく。星さんはそれを元に小説ができるんじゃないか。
想像のネタはそこらじゅうにある
今スタバでスマホを使ってこの文を書いているが、周りを見渡すと無数のモノで溢れていることがわかる。
コーヒーの入った紙カップ。本。机、イス。イヤホン、バッグ。想像するネタに困ったら、周りを見渡せばいい。
本はすでに俺は紙ではあまり読まなくなった。文字の情報の塊なんだから、紙である必要はない。タブレットで代用できる。タブレットはいわば、持ち運べる本棚でもある。
椅子はもう発展しないのだろうか?デザインや生地、座り心地はいろいろなものがあるが、どうも形や基本的構造に変化がない。
まあこんな感じだ。仕事や読書に疲れたら、気分転換にやってみてもいいかもしれない。
後書き
科学というのは、想像から始まる。新しい技術や人間の生活を豊かにする商品も、想像の産物だ。Amazonは空中に倉庫を持とうなんて考えが出てきてるらしい。突拍子がなくていい。どうやらこの世界は、とにかく否定をやめて、現実的なことを気にせず、アイデアを出してみるのが大成功の鍵らしい。
なんか安っぽい啓発書みたいな文のまとめになって嫌だな。