【小説】僕と4人のご主人様(3/4)
昨夜
痛い、らしい。まぁ僕のせいであるわけだが。
裸体のままシングルベッドで横になる僕ら。
人肌は温かい。
実は違和感があって、夢の中で二胡と交わした。
それが夢なのか現実なのか。
でも自慰を発見したのは明らかに幸で
それはしっかり覚えている。「ま、いっか」という感情。
夢じゃないよ、と言われる。
私は二胡だよ……。
翌朝
「二胡!」と宏は叫ぶ。
昨日夜を過ごした相手が気になる彼。
誰と交わしたかも覚えてないなんて、罪な男だ。
だが、最初の相手なんて、ただの「最初の」相手でしかない。
突然失礼します。
本日から語り手をさせていただく者です。名乗るほどでもありません。
このいい加減な宏を客観的に動かすために、語り手を交代しました。
幸の部屋から出て、朝食の用意をする彼。
得意の卵料理でオムレツですか、手際が良い。
そこに起きてきたのは長女の初美。
「なんで昨日来てくれなかったの?」
との言葉に、
「軽い女は嫌いだ」と矛盾に満ちた返答。
そこに、宵が起きてくる、ドタドタドタと。
「わー、オムレツだー、美味しそう。
これ全部家来が作ったの?」
宏は家来と名を変えた。
暴露
そこに二胡と幸が現れる。
いつ起きたの、と聞きそうな二胡に
「いや朝食でも作らないとこの家に居る価値ないしな」
と先回りして答える。
「昨日はどこ行ってたの?」と聞く幸。
お前がそれを聞いちゃあ真実が明らかになってしまうではないか。
いつ入れ替わったかは問題ではない。
結局初夜を誰と過ごしたかが問題なのだ。
散々二胡とのフラグを用意していたのに、
ふらっと幸と交わすつもりだった彼には呆れたよ。
そして僕が口実を合わせたわけ。
初夜の相手は二胡でないと話が進まないではないか。
ペット
「僕は貞操を守る人間なんで」とどの口が言う?
宏は4人の女性陣に、執事になることは了承したけれど、
誰とでも夜を過ごすことはしないと、宣言した。
「話させてもらっていいかしら」と珍しく二胡が口を開く。
貴方は執事のつもりかもしれないけど、
宵の言う通り「家来」の方が正しいわね。
貴方の貞操なんてこの際どうでもいいのよ。
私達4姉妹が男性の性に慣れるために
貴方には居てもらうのだから。
貴方は私といつでも交われるなんて勘違いしているようだけど、
あれはビジネスセックスよ。分かる?
貴方に首輪をつけるために人肌脱いだだけよ、ポチ。
さ、本当の首輪をつけてあげるからこちらに来なさい。
まさかイヤとは言わないわよね。あんな痛い思いさせといて。
宏は怖くて声が出ない、恐る恐る二胡に近づき本物の首輪をつけられた。
鍵付きの首輪には丁寧にリードもついていて、
「ほら宵、ポチを散歩に連れてってあげなさい。
長いこと家に縛り付けておくのもかわいそうでしょう」と二胡。
「じゃあ私その醜態をスマホに撮っておくわ、
人影が少ない所案内してあげる」と幸。
反論する元気もない宏に馬乗りして、喜ぶ宵。
これはいい動画になりそう、とやる気の幸。
ケンカ
2人と1匹が出て行って静かになった母屋で、
初美が二胡に食ってかかる。
「あれじゃあポチがあんまりよ」と初美。
「ポチあげる」と二胡。従順過ぎて興味なくなったとのこと。
「じゃあ抵抗して欲しかったってこと!」と初美。
殴り合いくらいしてあげても良かった、と二胡は言う。まぁ勝つけど。
「知らない!ポチが帰ってきたら教えて。」と初美。
初美も宏のことをポチと自然に呼んでいることが、
二胡にとっては無性に面白かった。
つづく、しかない。