死から生を学ぶということ|「エンド・オブ・ライフ」読書感想文
静岡にある本屋ヒガクレ荘さんを知ったのはSNSで偶然みかけたこと。かわいいカルタをSNSに載せていたので(本屋さんですが、絵本作家さんの書いた可愛いカルタだった)欲しい!と思い、DMでお願いして、そこから取り寄せなどもお願いするようになり、やり取りをするようになった。
遠方なので、いつもオンラインストアで購入するのだが、送られてきた本と一緒にお手紙が添えられていて、そのお手紙が温かみが感じられて、まるでお店でおしゃべりしている気持ちになる。何度となく購入しているが、お手紙は捨てられず取ってあり、読み返したりしている(お店の方、気持ち悪かったらごめんなさい)。
そんなヒガクレ荘さんにおすすめの本を尋ねたところ、素晴らしい本を紹介してくれた。
「エンド・オブ・ライフ」 佐々涼子著 集英社文庫
在宅医療を受けながら自宅で終末期を迎える人々の物語で主に構成されている。
「死」について描かれているので、どんなに重い話かと覚悟して読み始めたが、悲惨ではない。むしろ希望を感じながら読み進められる。そして最期にどんな「死」を迎えたいか、深く考えさせられる。
著者が在宅医療の診療所に取材をして、様々な「死」に立ち会うのだが、その診療所の看護師も癌になってしまい、余命わずかとなる。ずっと見守る側だった看取りのプロはどのように自身の終末期を迎えるのか。著者の目線で描かれる。ノンフィクション作品。
作中、ほとんどの方が癌で亡くなるのだが、わたしの父のことを思い出して、途中苦しくなった。父も胃がんで亡くなったので、感情が溢れ出るのを抑えられなかった。
だからひとつひとつの話に共感せずにはいられない。
また、著者自身の母親も亡くなるのだが、亡くなった時に、以下のように著者は感じる。
わかる。わたしもお葬式で父が近くにいる気がした。
そして、癌で弱ってきた看護師に著者が輪廻について尋ねると、こう言う。
父も死ぬ時にこんな風に考えてくれていたらいいなあ。と思った。こんな希望のあることを。
そういえば父は一度も死にたくないって取り乱したことなかったな。強い人だったな。と思い出した。この本に出てくる患者も全員、静かに「死」を受け入れていた。
後半はほぼ泣きっぱなしだった。
これはわたしもそう思っていて、実際にわたしも父から死の間際、プレゼントを貰ったと思っている。以下の記事にも書いたので、読んでびっくりした。
この作品を読んで、色んな人の死を知り、自分の死についても深く考えさせられた。悲観的ではなく、冷静に客観的に考えることが出来るすごい本だなと思った。
読み終えた後、著者のあとがきに書いてあったことに首をブンブン振って頷いた。
やりたくないことをやっている暇はない!
いつかは自分にも訪れる「死」。
その瞬間まで自分のやりたいことをやって、後悔のないように生きていきたい。
これからも自分の気持ちに正直に、推しは推して、好きなことはやり続けていこう。とまたまた決心した。
スタンディングオベーションをしたいくらい素晴らしい本!
ヒガクレ荘さん、ありがとう。
これからも信頼しています。
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