深海で育まれたリッチな脂身の赤魚 高貴な酸味を携えたアルザス リースリング
ゴールデン・ウィークの帰省から東京への戻り道、神戸で2泊を過ごす。10年以上前に数年住んでいた街は、所々建造物の変化などは見られたが、北を見れば山、南を見れば海の景観は全く変わらず、なんとも言えない安心感が湧く。
魚料理、ワインのキーワードでお店を探して見つけた、北野は山手通のSakanaya Uohideを訪問した。魚を触り続けて40年超の目利きの方が選んだものを料理しているとあって、いつも食べるスーパーのものとの違いを大いに楽しみたい、と期待膨らむ。一方、ゴールデン・ウィークとあってお店は混んでおり、取れたのは17-19時の席。明るいうちから魚をつまみ、ワインを楽しもう。
まずは刺身の盛り合わせ (7種3切れ盛り) を注文。
イカ、赤魚、鯛、ブリなど。どれも輝きが違うように見えるのは先入観からか。まぁ、この気分の盛り上がりも含めて食事の楽しみだ。特に赤魚の刺身というのはこれまでに食べた記憶がない。赤魚というのは体が赤い魚の流通上の呼称で、代表的なものはアコウダイとのことだ。輸入ものも多く、鮮度が命の刺身で食べられることは少ない。早速箸を付けてみる。赤魚は普段は深海に住んでいるということで強い水圧に押されて魚肉はガチガチに硬いのかな、などと想像しながら口に運ぶが予想外。それなりの弾力は感じるが、刺身に提供している部位を厳選しているのかとろけるような脂、旨味が口の中にふわっと広がる。
ワインリストを眺め、魚に王道のシャブリも目に入ったが、同じページのドイツの正統派リースリングに合わせてみたくなる。
トリンバック リースリング アルザス フランス
Trimbach, Riesling, Alsace, France, 2019, 13%
フレッシュで淡めの色調。
グレープフルーツ、レモンのフレッシュな柑橘香、ペトロール香は穏やかながらほんのり、樽香などなくフレッシュでストレート。
みずみずしく優しめの凝縮感、凛とした的確は酸味、ほんのり塩味、ミネラルの爽やかさと奥行き。
赤魚をひと口、喉に落としてワインをひと口。
赤魚のリッチな脂身に、ワインの高貴な柑橘の酸が対極でいて薬味のように重なり合う。足りないものを補う素晴らしいペアリング。
相性: ★★★★☆
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