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大戸屋さばの竜田揚げ もろみ醤油の香味ねぎソース弁当 ヴェネト州のパワフルなソアーヴェ

夕飯に大戸屋の弁当をテイクアウト。
シーフード好きの私には妻がさばの竜田揚げ もろみ醤油の香味ねぎソース弁当をセレクトしてくれていた。ご飯なし単品で630円。

醤油ベースの和風ソースにはみじん切りのねぎとゴマがたっぷりと浸かっていて、見るからに爽やかだ。弁当箱の中にはレンコンの素揚げ、家庭的な優しい味付けの人参とゴボウの煮物、ひじきの煮物、なますも入ってて、シンプルながらほっこりする。
横着をして弁当箱ごとレンチンしてしまった。なますは二度と温めないと心に決める。せっかくフォーカスのあったシャープな酸味が、温めるとぼやけてしまう。

先日は揚げサバにイタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種を合わせて絶妙な相性だった。

今回の料理には前出のサルディーニャのワインがよく合うと思われたが(揚げサバに相性グッドで、そこに香味ネギが加わると確実に相性アップする)、趣向を変えてイタリア カンパーニャ州の地場品種フィアーノ、ヴェネト州のパワフルなタイプのソアーヴェ(ガルガーネガ品種)に。

実食の結果、ソアーヴェとの相性が良かった。今回はソアーヴェ生産地域の中でもラ・ロッカという格の高い畑のブドウで造られるパワフルなタイプだったが、(焼きよりも軽い)揚げた鯖にはもう少し軽快なソアーヴェの方が料理とのバランスが良かったろう。とはいえソアーヴェDOC(最低アルコール度数10.5%)では軽すぎるので、ソアーヴェ・クラッシコ DOC(最低アルコール度数11%)かソアーヴェ・スペリオーレ DOCG(最低アルコール度数12%)あたり。このピエロパンのラ・ロッカはソアーヴェ・クラッシコDOCだが産地呼称にはまりきらないブドウと樽のパワーに溢れる。
同じくソアーヴェ地区でガルガーネガ品種にソーヴィニョン・ブランをブレンドしたアンセルミのサン・ヴィンチェンツォあたりは、香味ネギとの繋がりが良さそうだ(ちなみにアンセルミは凡庸なワインも散見されるソアーヴェを敢えて名乗っていない)。

では、さばの竜田揚げ もろみ醤油の香味ねぎソースにイタリア白ワイン2種、実食。

マストロベラルディーノ, ラディーチ, フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ DOCG, カンパーニャ, イタリア, 2021, 2,732円
Mastroberardino, Fiano di Avellino, Radici, Campagna, Italy

イタリア南部ティレニア海沿いのカンパーニャ州、標高520-620mの単一畑で栽培される地場のフィアーノ品種。ラディーチは根の意。
香りには青リンゴ、ライチの爽やかでほのかに甘やかさ。潮の香り、白胡椒のスパイス、ヨードのニュアンス、フラワリーな香りも強く、セルフィーユのハーバルな印象も。
風味はみずみずしく果実味は程よく抑制されている分、明瞭に感じる酸味と塩味。余韻にはほのかにフェノリックなタッチとほろ苦さを残す。
さばの竜田揚げ もろみ醤油の香味ねぎソースにワインを合わせる。ミネラルや塩味のニュアンスに富むワインがサバと好相性かと思いきや、押すでもなく、引くでもない穏やかな果実味が(鯖の脂の前には中途半端)、鯖の青魚特有の生臭みを立ち上げてしまった。香味ねぎの爽やかさを意識するともう少しはっきりとした果実味のワインが良い。相性: ★★☆☆☆

ピエロパン, ソアーヴェ クラッシコ ラ・ロッカ, ヴェネト, イタリア, 2020, 12%, 3,773円
Pieropan, Soave Classico DOC La Rocca

ラ・ロッカは海抜200~300m、石灰質と粘土が豊富な南西向きの畑の名。ガラスで内張りしたセメントタンク(2500L)で発酵。澱とともに約12ヶ月間熟成。
ゴールドがかったはっきりとした強い色調。
香りにはりんご飴、リンゴのリキュールの濃密なフレーバー。炙ったバニラビーンズを鼻の前に置いたよう。ヘーゼルナッツ、アカシア、フラワリーな蜂蜜、微かにヨード香や炙りわかめが重層的に。
風味は凝縮感の強いリッチでまったりとした果実味は陽のニュアンス、塩味やヨードのニュアンスは心地よく引き締める陰のニュアンス。両面がバランス良い。余韻にも豊かにバニラ香。
さばの竜田揚げ もろみ醤油の香味ねぎソースに。爽やかな香味ねぎとワインの酸味と重さのある果実味が調和。ただ、ワインの果実味が重い分、揚がった鯖の(焼き鯖に比べて)軽快な風味とのバランスが取れなった。このワインは先日、鯖の干物焼きの磯の香りを伴う脂にちょうどバランスしたので、揚げ鯖には重すぎたようだ。

それでも生臭みも立ち上がらず、きれいに余韻をまとめてくれた。相性: ★★★☆☆

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