自律神経を整える ―五月病予防に、不登校対策に―
自律神経は奥が深いから、探求しすぎない方が良い!と言われたけれど、最近、いろいろなところでアンテナに引っかかってくるので、理解を深めるためにまとめておこうと思います。
1.自律神経ブーム?
本屋さんに行くと、自律神経に関する書籍がたくさん並んでいます。
自律神経ブームなのでしょうか。
「ポリヴェーガル理論」という言葉もよく耳にします。
今読んでいるのはこちら「レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒―」[1]。
なるほど、自律神経は、愛着との関りが大きい神経なのですね。
自律神経を整えると血流が良くなり、認知症や運動機能向上に良いとも言われます。
自律神経は、メンタルにも関わるし、食欲や腸活にも関わるし、アレルギーなどにも関わるので、整えられれば整えたいものですね。
2.自律神経ってどんなもの?
自律神経は、全身をめぐっていて、意志とは関係なく体を自動的に調整している神経です。心臓、呼吸、代謝をはじめ、内臓の働きや消化などを司っているのですね。そして、自律神経には、交換神経と副交感神経があります。
交感神経は活動しているときに働き、副交感神経はリラックスしたり寝ている時に働きます。交感神経と副交感神経はバランスがとても大事です。
大人だと交感神経と副交感神経のバランスは、血液検査である程度推測することもできます。
血液検査での交感神経と副交感神経のバランスの読み方については、このページの最後の「追記:自律神経と言えば安保徹先生!!」のところに書いています。
交感神経系は、生き残るため「脅威への反応を引き起こすなど活性化を促す神経系」[1]で、闘争や逃走のために使う神経と言えます。「交感神経系の働きが高まり『オン』になると、副交感神経系の働きは下がる。つまり、交感神経系へのブレーキは『オフ』になる。」一方、「副交感神経系の働きが高まると、交感神経系の働きはが下がり、生理的な反応も下がる。」というように、「交感神経系と副交感神経系は拮抗している」[1]ということです。
そして、副交感神経を構成している主な神経が迷走神経系で、この迷走神経は「腹側迷走神経系」と「背側迷走神経系」という二つの神経に分かれているのだそうです。腹側迷走神経系は安全や調整、休息と消化などの働きがあり、背側迷走神経系は、不動化や凍りつき、心拍数や呼吸の減少、緊張感などの働きがあるというのがポリヴェーガル理論なのだそうです[1]。
そして、幼い頃にずっと家庭の問題などで交感神経系が常に亢進している状態で育つと、「将来的に、不安症、問題行動、その他の心身の問題が起きてくる可能性がある」[1]とのこと。家庭環境が子どもの特性に影響するのは自律神経と関わっていたのですね。
児童精神科医のなおちゅん先生が自律神経シリーズとして、交感神経や副交感神経について説明している動画3本[2]がありました。
こちらは図を示しながらとても分かりやすく説明してくださっているので、参考になります。
[2]【自律神経シリーズ①】「交感神経ってどこにある? 1.交感神経について」 児童精神科医なおちゅん
https://www.youtube.com/watch?v=DY_-WbiAsr4
【自律神経シリーズ②】副交感神経って一体どこにあるの?[前編]【児童精神科医なおちゅん554】
https://www.youtube.com/watch?v=2EGuKPlC7Cw
【自律神経シリーズ③】副交感神経はどこにある?[後編]迷走神経の通り道と骨盤内の副交感神経【児童精神科医なおちゅん556】
https://www.youtube.com/watch?v=zIo_xpLoyKE
3.自律神経が乱れるのは
自律神経が乱れ、交換神経が優位になると、消化が抑制されて胃腸が動かなくなります。副交感神経が高くなりすぎれば、アレルギー反応も出やすくなるし、慢性疲労で何もする気にならないことも多いです。
だから、自律神経は、リラックスの副交感神経が高ければ高く、交換神経が低ければ良いわけではなく、バランスが整っていることが重要なのです。
この交感神経と副交感神経のバランス、自律神経は、免疫力の低下や継続するストレスなどでも乱れるといいます。
また、背骨のゆがみでも自律神経は乱れるのだそう。だから整体で背骨のゆがみにアプローチする療育整体も効果があるのですね。
分子栄養学的には、欠食や、厳格な糖質制限などでエネルギー不足になることでも、交感神経が刺激されて高まるため、自律神経が乱れると言われていますし、血糖の乱高下(血糖スパイク)でも自律神経のバランスが乱れると言われています。
血液検査で診てバランスが取れている人は、痛みやストレスにも極度に反応することもなく、穏やかだと言います。
脳や臓器もそうだけれど、自律神経って見えないものだから、つかみどころがないけれど、感情の起伏などでもおおよそ見当がつきそうですね。
4.自律神経の整え方
では、その自律神経はどのように整えればよいのでしょうか。
まず一番有名で手軽なのは、呼吸です。
ゆっくり吐いて、吐ききってから吸うような呼吸法が自律神経を整えると言います。吐くときに副交感神経が優位になるため、高まった交感神経が落ち着いて、自律神経のバランスが整うと言うわけですね。
ヨガは、呼吸を使って体を動かすわけですから、ヨガが有効なのは当然。ストレッチ、軽い運動なども良いと言います。
他には、一定のリズムの曲が自律神経を整えるという話もよく聞きます。言った人も言われた人もポジティブな気持ちになる感謝の言葉「ありがとう」を繰り返す、SMAPの「ありがとう」なんて相当良さそうですね。
一時期、塗り絵もいいという情報もあり、本屋さんには大人の塗り絵の本が並びました。
朝起きたら朝日を浴びるとか、三食しっかり食べる、食後に散歩をするなども自律神経を整えるのに有効だといいます。
他にも、写真を撮るとか、動物と戯れるなども自律神経を整えることに有効だと書かれている本もありました。
ストレス解消や、リラックスして自律神経を整える方略が多いですね。
他に、歯科医師の先生によれば、口の中で舌を左右に動かす、パタカラ、唾液腺マッサージ、リンパ腺マッサージ、早口言葉など口舌の動きをスムーズにする動きである、口腔機能トレーニング(口腔体操)は自律神経の交感,副交感のバランスを整える効果があるともいわれています。
分子栄養学的な視点だと、自律神経を整えるには腸内環境を整えることも大事です。だから、ボーンブロススープも有効ですね。筋肉の少ない人や子どもは特に、欠食をしないことも自律神経には有効ですね。
そして、血糖値の乱高下を防ぐためには、血糖が急激に上がる糖質の摂り方に気をつけると良いですね。
吉冨信長さんのInstagram「だしの健康効果」[3]によれば、「2018年の京都大学の研究では、かつお節と昆布の合わせだしの摂取が、副交感神経を上昇させ、リラックスと疲労改善効果がみられた」とのこと。
また、マグネシウム風呂で緩んでリラックスするというのも良い方略ですね。
なおちゅん先生は「横方向の眼球運動の刺激」が副交感神経を活性化させるエクササイズについて話しています。横方向の眼球運動も副交感神経を優位にするそうです。とても興味深いですね。
「青木まりこ現象のメカニズム、わかったかも!【児童精神科医なおちゅん161】」児童精神科医なおちゅん
https://www.youtube.com/watch?v=KPv_UFsDuJQ&list=PLl0U4JCsW8FKiYaUbeLgmlpn-rVUFGpQr&index=4
家庭で行える整体の施術でも自律神経を整えられるので、スキルの一つとして習得しておくとよいかもしれません。
しかも、療育整体で自律神経を整える方法なら、セルフでとか、ご家庭で、お子さんやご家族の自律神経を整えることができるのがいいですね。
5.「療育整体」で血流を上げる
まず、療育整体師として学んだ療育整体の基本は、骨軸で立ち、血流を上げるという施術です。
書籍「療育整体][4]では、QRコードを読み込んで、動画が見られるので、とても分かりやすいし、スキルとして身に着けやすいです。
療育整体についてはnote[5]にまとめてあります。
[5]「療育整体―勝手に発達する身体を育てよう!」読了 「発達障害」と言われたら・・・
https://note.com/remies/n/n824817246fa7
分子栄養学の安藤麻希子先生のInstagramの「不登校と脳の栄養」[6]によれば、「脳は全身の血流の15%を使用」していて、「不登校の子どもでは、脳血流量が低下していることがわかってい」るということです。
[6]マッキー先生の分子栄養学「不登校と脳の栄養」
https://www.instagram.com/p/Cp5_Hofg-cj/
だとすれば、不登校のお子さんは、自律神経を整えたり、血流を上げることが良さそうですよね。
血流を上げるのは家庭でできます。療育整体でできることなのです🥰
吉冨さんのInstagram[3]では、「2007年の臨床研究で、かつおだしの摂取が血管を拡張させ、血流が増加した」ともありました。さらに、だしで、消化機能もよくなるし、味覚障害も改善された[3]とのこと。
日本食って本当に素晴らしい!!
いろいろなことが血流と関連していることが分かります。
ということは、いろいろなアプローチが可能ということ。
6.「自律神経+α」で自律神経を整える
療育整体で自律神経を整えるためには、療育整体にピンポイントに+α(プラスアルファ)する施術なのです。こちらも発達キッズ協会[7]の松島先生の考案で、療育整体から一歩進んだ施術になります。
こちらの施術(手技)も、御自身のお子さんや周囲の方への施術の中で、より体が動きやすくなるよう、体の不具合が改善されるようにと編み出された方法なで、実際にお子さんやご家族、ご自身も体感が良くなる効果を感じていらっしゃるそう。
まずは、自分の自律神経が乱れているかどうか、いくつかチェックするポイントがいくつかあるので、チェックします。
前腕、上肢、下肢、背骨、いろいろなところから整えられます。
首が前に出ている(ストレートネック)とか、肩こり、頭痛などには、遠位であればあるほど施術は効果的とのこと。
かなり盛りだくさんな内容だし、多方面から自律神経を整え神経の流れを促すことができるので、武器がたくさんできた気分。
こちらも、セルフケアもあるのがいい🥰
だから、療育整体の3つの施術を覚えたら、やっぱり自律神経まで整えられるようになれるといいですね。
療育整体師になってから、松島先生の自律神経の対面講座と花風社「療育整体+α」の講座を受けたので、体の仕組みや動きもわかり、自律神経を整える手技も早く理解が進みました。
療育整体の手技である「入力」も「縦横」も、「ゆらぎ」も、自分のものにするのに3か月はかかります。何度も何度も繰り返して施術をすることで、初めて療育整体の効果を実感できるようになるし、施術する側も上手くなります。療育整体の松島先生が、「学んだ手技は3か月くらい毎日行ってください」とおっしゃった意味がわかります。
半年近くほぼ毎日、高齢の親に療育整体の施術をしているうちに、肩の巻き具合で、今日は親が疲れているなとわかるようになりました。
何年も末端の冷えや、お腹のあたりの冷えが酷く、ホカロンが手放せなかった母のホカロンの量が減りました。さらに、自分が気持ちいいからか、母も私に縦横と入力をしてくれるようになりました。そして、母も「今日は疲れている?」と、巻き肩の状態で私の疲れ具合がわかるようになりました。
今まではストレスがあると胃腸に来て、すぐに食べられなくなってさらに弱るようなことも多々ありました。でも、栄養療法で食や栄養を整え、考えごとで眠れない夜に自律神経のセルフケアをしていたら、不思議にストンとグッスリ眠れています。
食事と睡眠大事ですね。しっかりと食事を食べることができて、眠れれば、身体も心の調子も回復が早いです。ストレスに対峙するためのエネルギーを確保できます。
プロに頼らなくても、家庭でできる事が一番安心安全。お金もかからないのがいい。怪我を負った動物がじっと静かに癒すように、人間も家庭で養生して癒して回復していくものなのだと思います。
自律神経を整える方法も、生き抜くための、一生ものの知識と技術になると思います。
花風社[8]のオンライン講座「療育整体+α」は4月末日まででしたが、延長して、2023年5月いっぱい視聴できるようです。ご興味ある方はお早めに🥰
花風社さんにお問い合わせくださいね。
7.切り札は多い方が良い
発達の特性が強いお子さんたちのお勉強をサポートすることが増え、忙しいお母さん達に代わって、いろいろ情報を集め、お子さんたちの発達を促して、次のステップに進む足がかりになればという思いで療育整体を学びました。
でも、実は発達の特性が強いお子さん達だけではなく、自分や家族に活用できることが非常にありがたかったのです。
長い人生、生きていれば、いつ何時、何が降り関わるかわからないのです。
年を重ねることで、必ず何かしら体の不調も出てきます。怪我をすることもあります。
若くても五月病や季節性の鬱などもあります。
自分はメンタルが強くても、自分や自分の大事な人、家族が事故や病気に遭うこともあれば、病気や体調不良からメンタル不調になる可能性だってあるのです。
大学時代に体育会運動部にいた人でさえ、仕事と家庭に問題があって鬱になった人が山ほどいるそうです。
何もなければ儲けものなのです🥰
何かネガティブなことが起こったら、その切羽詰まった時期に解決策を探したり、急激に改善させようと思っても、なかなか大変です。状況に圧倒されてメンタル不調にもなりかねません。
だから、普段の何でもない元気な時に、体と心の整え方や、回復のための知識やスキルを手に入れておくこと。そして、いろいろ試しておくことがとても大事なのです。
知識やスキルがあれば、急な事態もしのげる可能性が高いのです。
子どもも大人も、人は一人ひとり、体も特性も柔軟性もレジリエンスの高低も違うし、ストレスもまちまちです。そして、どのストレスにどのアプローチが効くかわからない。
だから、切り札は多い方がいいのです。
天災が多い日本だからこそ、そして、予測不能な未来を生きていく世代だからこそ、切り札は多い方が良いと思うのです。
8.追記:自律神経と言えば安保徹先生!!
おっと忘れてはいけない!
自律神経と言えば、安保徹先生ですね。
安保先生の「最強の免疫力」[9]は字が大きいし絵も面白くてとても読みやすいです。
「自律神経―すべての治療化家と患者のための実践書―免疫療法入門」[10]では、「自律神経の乱れが万病を招く」と書かれており、「交感神経が優位になると、顆粒球の数が増えて活性化し、リンパ球は減少する。副交感神経が優位になると、リンパ球の数が増えて活性化し、顆粒球は減少する。」と示しています。血液検査で出てくる顆粒球とリンパ球のことです。
そして、「自律神経がバランスよく働いているとき、顆粒球:リンパ球の割合は、顆粒球54~60%、リンパ球35~41%の範囲におさまります。」[9]と書かれています。分子栄養学を学ぶと、一度は耳にする割合です。
「この割合は一定」ではなく、「無理をしたり、ストレスが加わるたびに変動します。そして一日の時間の流れでも変動し、天気や季節でも変動し、一生における変動もあ」るのだそうです[9]。
このようなさまざまな変動によって、「白血球では、顆粒球が増えればリンパ球が減るようになって」いるのだそうです[9]。
そして、顆粒球とリンパ球の割合がこの範囲内の比率であれば、「免疫は高く保たれ病気にかかりにっく、かかったとしても自力で治すことができる」[10]ということです。
安保先生は「踊りは自律神経の偏りを元に戻す」とも書かれています。「首を揺すり、上体を揺すり、腰を揺すり、手を高く上げて、ゆらゆらゆする。身体を揺すって、下肢を口ずさみ、節をつけて踊れば自律神経の偏りが元に戻るんですよ。」[9]と。
さらに、姿勢や体温や笑いと自律神経(免疫力)との関係も書かれているし、呼吸はもちろん、屈伸運動や股割り、四股踏み、爪もみもお薦めしています[11]。
あら、これらって、花風社[8]のさまざまな書籍や、神田橋先生の書籍[12]にも書かれていることですし、療育整体+αの施術ともかぶります。
今回、自律神経についてまとめてみて、多くの臨床家や実践家が同じ動きや、同じところからアプローチするように薦めているということが分かったことが大収穫でした。
安保先生の書籍読むと、療育整体の自律神経+αの理解が進むし、自分の整え方が分かります。
心の力も免疫力も、発達も、自律神経無しには語ることはできなそうです。
参考文献
[1]キャシー・L・ケイン,ステファン・J・テレール著 花岡ちぐさ・浅井咲子訳(2019)「レジリエンスを育む―ポリヴェーガル理論による発達性トラウマの治癒」
[2]【自律神経シリーズ①】「交感神経ってどこにある? 1.交感神経について」 児童精神科医なおちゅん
https://www.youtube.com/watch?v=DY_-WbiAsr4
[3]チャンネル信長(吉冨信長)
https://www.instagram.com/reel/Cq7wuS8o8ze/?igshid=ZWIzMWE5ZmU3Zg%3D%3D
[4]松島眞一(2023)「療育整体―勝手に発達する身体を育てよう!」
[5]「療育整体―勝手に発達する身体を育てよう!」読了 「発達障害」と言われたら・・・
https://note.com/remies/n/n824817246fa7
[6]マッキー先生の分子栄養学「不登校と脳の栄養」
https://www.instagram.com/p/Cp5_Hofg-cj/
[7]療育整体/発達キッズ協会
https://devkids2020.wixsite.com/my-site
[8]花風社
https://naosouhattatushogai.com/
[9]安保徹(2005)「最強の免疫学―病気は自分で治せる!」
[10]福田稔著、安保徹協力(2007)「自律神経―すべての治療化家と患者のための実践書―免疫療法入門」
[11]安保徹(2015)「安保徹の免疫力を上げる45の方法」
[12]神田橋條治(1999)「改訂精神科養生のコツ」
[12]神田橋條治(2020)「神田橋條治が教える心身養生のための経絡ツボ療法」
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