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大会レポート⑦ 交流戦 土浦湖北OB対クラーク国際OB
あの夏を取り戻せ~全国元高校球児野球大会2020-2023~の交流戦1日目、姫路市のウインク球場での第一試合。土浦湖北高校OB(茨城)とクラーク記念国際高校OB(北北海道)の試合が始まろうとしています。予定では10:00に試合開始でしたが、機材トラブルがあり18分押しての試合開始となりました。
ウインク球場(姫路市立姫路球場)は兵庫県南西部の姫路市に位置する球場。広さが両翼100m、センター120mとなっています。
2024年のプロ野球フレッシュオールスターの開催地にもなりました。大会の際は、ちょうどリニューアル工事が行われており、ナイター照明などの設置工事の最中でした。
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先攻は三塁側の土浦湖北、甲子園出場は平成16年(2004年)の春の選抜の一度だけ。夏の甲子園への出場はなく、2020年が夏の甲子園初出場となっていたかもしれません。2020年の独自大会は雨天や日程制限の影響でベスト4で打ち切りに。本大会については1位になった4校で抽選を行い、土浦湖北が出場することとなりました。
後攻は一塁側のクラーク国際、野球部が立ち上がったのは2014年春と歴史が浅く、フレッシュなチームです。2023年の夏の甲子園にて、通信制高校としては初めてとなる甲子園での勝利を挙げました。もしかしたら、2020年の代が甲子園初勝利の代となっていたかもしれません。
両チームのスターティングラインナップは以下の通りです。
土浦湖北の1~3番は独自大会でも多くのチャンスを作り、得点につながる活躍を見せました。この試合でもチャンスメークに期待がかかります。
対するクラーク国際はスタメン9人中6人が独自大会決勝と同じメンバー。独自大会では6試合で88安打、計63得点という破壊力抜群の打線がこの試合でも火を噴くのかに注目です。
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まず守るのはクラーク国際。先発のマウンドには辰巳京一郎投手が上がりました。右サイドハンドの辰巳投手は2020年の独自大会の決勝戦でも先発のマウンドに上がり7回無失点、2回~6回は相手に二塁ベースを踏ませない好投を見せました。
辰巳投手は環太平洋大学に進学後も投手として活躍し、2023年の明治神宮大会にも出場しました。
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その辰巳投手相手に先制点を奪いたい土浦湖北。上位打線はファーストストライクから積極的に打ちにいきます。しかし相手の守備に阻まれ三者凡退、先制点とはなりませんでした。
その裏、土浦湖北の先発マウンドには荒木嶺臣投手が上がります。この試合では4番打者も務める荒木投手、投打のキーマンとしてチームを勝利に導けるかに注目です。
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テンポよく2つのアウトを奪った荒木投手ですが、3番の小林侑生選手に四球を与えてしまいます。ここで打席には4番の菊地飛翔選手。
その初球でした、低めのボールを引っ張った打球はライト線へ。菊地選手は快足を飛ばして一気に三塁まで到達します。タイムリースリーベースヒットでクラーク国際が1点を先制しました。
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更に5番の池田迅翔選手も続きます。変化球に対してタイミングを合わせて流し打ち。打球は三遊間を破り、追加点となりました。
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2回表、土浦湖北は一死から堀井理貴選手がチーム初ヒットとなるショートへの内野安打を放ちますが、後続が続かず無得点に終わりました。
その裏の守備を外野フライ3本でテンポよく三者凡退に抑えた土浦湖北は、守備から作った良い流れを攻撃にも活かしたいところです。
3回表、土浦湖北は一死から9番の大貫飛翔選手がセーフティーバントを仕掛けます。プッシュバント気味の打球はピッチャーの横を抜けてセカンドへ。小技を活かしたプレーで2回に続いてランナーを出します。
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更に1番の立原望選手がライトの前に落ちるヒット、2番の大隈聖蓮選手が四球を選び、一死満塁と同点、更には逆転のチャンスを作ります。
ここで打席には3番の田中海斗選手。初球から積極的に打ちにいきますが、辰巳投手の内角へと食い込む球に詰まらされ、ショートへのダブルプレーに。得点には至りませんでした。
3回裏、クラーク国際は打順が先頭へと戻り、1番の野坂竜之介選手からの攻撃となります。
野坂選手は真ん中付近へのストレートを捉え、レフトへのクリーンヒットに。先頭が出塁してチームを勢いづけます。
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↓野坂選手のインタビューはこちらから!
野坂選手に続きたいクラーク国際でしたが、この回ショートからマウンドに上がった土浦湖北の大隈聖蓮投手がピッチャー返しを見事キャッチ。1-6-3のダブルプレーとなりました。ショートも兼任する大隈投手が好フィールディングを見せました。
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4回は両チームともに無得点で、迎えた5回。クラーク国際はサウスポーの佐藤寛太投手が2番手としてマウンドに上がります。
佐藤投手は2020年当時の2年生。当時は主に野手として活躍し、独自大会準決勝では4打数4安打4打点の活躍で決勝進出に大きく貢献しました。本大会に向けてのコメントでは「単位より先輩を優先しました」というコメントを寄せてくれました。
その佐藤投手、一死からランナーを1人出したものの、安定したピッチングで後続を打ち取り無失点に抑えました。
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対する土浦湖北もピッチャーが交代します。サードで先発出場していた大貫飛翔投手が5回からマウンドに上がりました。当時の副キャプテンで、この試合では技ありのバントヒットを放つなど活躍してきた大貫投手。ここからのマウンドでの投球にも期待がかかります。
先頭打者に四球こそ許したものの、続く打者を緩い変化球で打ち取りダブルプレーに仕留めます。勢いそのままに次の打者を打ち取り、この回を打者3人で終えました。
ベンチに戻った大貫投手は、この回からキャッチャーを務めた荒木選手と熱い抱擁を交わしました。
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三人で打ち取った流れに乗りたい土浦湖北。途中出場の福田大海選手が一死からライト前ヒットで出塁。更にバッテリーエラーの間に進塁します。二死二塁のチャンスで打席には矢口幹太選手。4回の打席ではピッチャーゴロに打ち取られており、リベンジを果たす打席となるか注目です。
2ボールからの3球目。降り抜いた鋭い打球は左中間へ抜けるかと思われましたが、クラーク国際のショート大畠光聖選手がジャンプ一番!ボールは大畠選手のグラブへと収まり、土浦湖北の得点とはなりませんでした。
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追いつき、逆転するためにもこれ以上の点は与えたくない土浦湖北は田中海斗投手にスイッチ。田中投手は2020年当時のキャプテン。副キャプテンからキャプテンへの投手リレーとなりました。
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↓田中投手のインタビューはこちらから!
田中投手は先頭に四球で出塁を許しましたが、バックが盛り立てます。盗塁を仕掛けた一塁ランナーを、キャッチャーの荒木選手が矢のような送球で刺します。
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ロースコアの接戦でテンポ良く進んだこの試合は8回に突入しました。しかし2回以降は両チームに得点は生まれず、0-2でクラーク国際の勝利となりました。
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両チームの被安打はわずか6以下と非常に締まった投手戦となりました。またそんな投手陣に触発されたのか、バックを守るメンバーたちもファインプレーやダブルプレーなど守備で盛り立てました。
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両チームの選手成績は以下の通りです。
※リエントリー制により交代が複雑なため、誤りがある場合がございます
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文:二瓶祐綺
写真:あの夏を取り戻せ実行委員会
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