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ここは八重洲なのか"ブルガリホテル東京 ブルガリバー"
守備範囲エリアの八重洲に今年の4月に開業した「ブルガリホテル東京」。同時期に開業した、東京駅前のミッドタウン八重洲の40〜45階に構える。
八重洲というと丸の内側と比べて、ブックセンターや八重洲地下街など昭和のサラリーマンの居場所が強く、ラグジュアリーとは遠くかけ離れたエリアであり、東京駅前と言えども、ブルガリホテル側として八重洲の出店に躊躇はなかったのか、危惧するところだ。
世界中に展開するブルガリホテルはこの東京が8つ目となりその全てのデザインを手がけるのが、イタリアの設計事務所ACPVアントニオ・チッテリオ、パトリシア・ヴィールだ。
かなり昔にミラノ・サローネを訪れた際にランチをしたミラノのブルガリホテルは、私史上ベスト3に入るホテルデザインだった。
コントラストを効かせたシンプルなファサードに内部も削ぎ落とされたイタリアモダンが上質で居心地の良さをもたらしていた。
今回もこの東京においてデザイナーが実現させたかったのが、コンテンポラリーとラグジュアリーの両立だという。確かに極限まで要素を削ぎ落とし、それらのマテリアルやディテールは贅沢で美しい。所々にブランドアイデンティティが感じられ、日本の美意識へのオマージュも見られる。
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1.世界観へ没入させるシークエンス
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ホテルのエントランスは通りから奥まったところにある。控えめなサインの奥には、大胆な大理石の壁に囲まれ、屏風を模した設えと漆黒のカウンターが鎮座する。
圧倒的なブルガリのブランド世界観に一気に引き込んでいく。40階のレセプション、45階のバーがあるフロアに進むたびにその世界観は深さを増す。
ブランドアイテムのアクセントにも用いられるエイトポイントスターのマークは大胆に床に刻印されていたり、一方扉デザインには孔雀紋の柄が緻密に厳かにあしらわれていたりと、高いインテリア技術を持って訪れる人にブランドそのものを伝えている。
2.知的でアーティスティックな空間
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45階のブルガリバーへと足を進めるとまず目の前に広がるのが、カウンターの背景に鎮座する「ガーデン オブ ワンダーズ」を表現したガラスモザイクだ。
有機的に絡み合う植物や鳥の様子が、落ち着いたインテリアの中に一際華やかさを放つ。
家具や内装はイタリアモダンの真骨頂と言えるクオリティの高さだ。その中で壁に掲げられるアートは空間に遊び心を与え、東京界隈のオフィスワーカーが安らげる空間を創出している。
3.もはや八重洲ではない
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上海や東南アジアの外資ホテルの最上階テラスから眺める夜景は非日常であり、旅行先の風物詩であった。
このソフィスティケートされた空間にいて、外気に触れながら東京を一望する体験は、異国の地にいる感覚をおぼえる。
もはやここは八重洲ではなく、45階に上がると違う世界が別にあった、ということになる。
帰りに八重洲地下街に入るといつもの八重洲の風景が広がる訳で、束の間の別世界から日常へと引き戻される。