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なぜ感謝の気持ちが日本人を幸せにしないのか?

誰かの好意がストレスに変わる時

もしかしたら、皆さんにもそんな経験があるかもしれません。そんな、日本人が抱きがちな複雑な感謝の気持ちについて見ていきましょう。


1.ポジティブ心理学における「感謝」研究


ポジティブ心理学の分野では、多くの研究者が感謝の持つ力を明らかにしてきました。特に有名なのが、ロバート・A・エモンズ博士による「感謝のワーク」です。このワークでは、毎日感謝することを習慣化することで、

・幸福感の向上
・ストレスの低減
・リラックス効果

などが期待できると報告されています。


感謝のワークとは?

ロバート・A・エモンズ博士が提唱する感謝のワークは非常にシンプルです。方法としては、

1.毎日感謝できることを3つ書き出す
2.それらが自分にどのような影響を与えているかを考える
3.日々の小さな幸せや人々の善意に意識を向ける

の以上3つを習慣として継続していくだけです。このワークは、感謝を行動に移すことでポジティブな感情を増幅し、幸福感や満足感を高めることを目的としています。エモンズ博士の研究によれば、このワークを実践した人々は、心身の健康が向上し、人間関係も円滑になるという結果が得られました。


2.日本人に見られる「感謝の負債感」

ところが、同じ感謝のワークを日本人に追試した研究では、欧米のようなポジティブな効果が見られないケースが報告されています。その原因のひとつが「感謝の負債感」です。

日本人は文化的に、感謝を表明するような状況に置かれた時、申し訳なさといった負債感を感じやすい傾向があります。例えば、何かをしてもらったとき、「ありがたい」という気持ちよりも、「申し訳ない」や「自分も返さなければ」といった感じで、それをプレッシャーとして解釈してしまうことがあるのです。

3.なぜ負債感が生まれるのか

相手に迷惑をかけたくない心理
何かをしてもらった時、相手に迷惑をかけたのではないかと考える傾向があり、好意そのものが重荷になる場合があります。

「お返し文化」の影響
日本社会では、何かを受け取るとお返しをすることがマナーとされています。これが感謝の感情を素直に享受することを難しくしている側面があります。

・自己犠牲を美徳とする価値観
日本では、他人のために何かをする際、「自分を犠牲にする」という考え方が根付いています。そのため、相手も同じ犠牲を払ったのではないかと感じ、負い目を抱きやすいのです。


4.感謝の負債感への対処法

感謝をもっとポジティブに捉えるためには、以下のようなアプローチが有効です。

・小さな感謝を始めてみる
「青空が綺麗だなぁ」とか「素敵なカフェだったなぁ」というような、自分の努力とは無関係な事柄に感謝する練習をしましょう。これなら負債感を感じる心配がありません。

・感謝の言葉を自分にも向けてみる
他者に対してだけでなく、自分自身にも感謝する練習を取り入れることが大切です。「今日もよく頑張ったね」「いつもありがとう」という言葉を自分に向けて使うことで、感謝が負債感につながるのを防ぐことができます。

・自分の立場で考えてみる
あなたが誰かを助ける時、どんな気持ちでしょうか?あるいは、相手にどんな反応を期待するでしょうか?そう考えてみると、意外とそんなに重荷を背負う必要が無いことに気付くことができます。もしかしたら、誰かを頼る時もそんなに身構えなくて良いのかもしれませんね。


まとめ

感謝の気持ちは、本来私たちを幸せに導くものです。しかし、日本人特有の「感謝の負債感」は、その効果を妨げる要因になり得ます。文化や心理的背景を理解し、感謝に対する見方を少し変えるだけで、その恩恵をより深く受け取れるようになるでしょう。

感謝とは、我々を幸福にし、人生を豊かにする贈り物なのです。今日から感謝の目線を少し変えて、日常の中にポジティブな変化をもたらしてみませんか?


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