【製本記】 小川未明童話集 01 | 見上げれば、白い山稜
文庫本の改装は、製本をする人の多くが試みることだ。だいたいは表紙をハードカバーに仕立て直すというもので、それだけでも特別な一冊になる。しかし、今回は糊で固められた本文を解き、糸でかがるところからやろう。できあがってしまえば見えない部分だけれど、あえてそこからはじめたい。
選んだのは、岩波文庫の『小川未明童話集』だ。ジャケットを外し、本体表紙を剥がす。そこからさらに本文を剥がすのだが、レポート用紙をさっと剥ぐようにはいかず、ページを傷めないように1枚ずつ。すると「アジロ綴じ」