『触覚についての考察』3 ~触覚過敏と心地よくなる"C触覚線維"~
◇はじめに
『触覚についての考察』の第三弾です。
今回のテーマは"触覚過敏"について。
触覚過敏の子どもでも、手のひら同士を合わせるハイタッチは大丈夫だったりします。
そのあたりを触覚の受容器から考えてみたいと思います。
記事の最後に、触覚過敏対策の手技も記載していますので、お役立てください。
◇痛みと内受容感覚
触覚過敏の人はそっと触られても痛く感じてしまう。
痛みは主観的なものなので、痛いものは痛い。
そして、痛みは内受容感覚です。
内受容感覚は内臓感覚と体性感覚からなり、体性感覚は表面感覚(皮膚感覚)と深部感覚からなります。
ここでは皮膚感覚に絞って考えていきます。
そして、外受容感覚と内受容感覚の分類について
痛みは侵害受容感覚です。
◇侵害受容器の神経線維
皮膚感覚受容器には、機械受容器、温度感覚器、侵害受容器があります。
痛みに関わる侵害受容器について、脳科学辞典からの抜粋です。
ここで神経線維についてです。
神経は太さによって四つに分類されます。太さによってスピードが変わる。
その一番細くて、一番遅い神経がC線維(ファイバー)。
Cファイバーは皮膚にある触覚の受容器ですが、一部のCファイバーは人と人との接触に特化した役割があり『C触覚線維』と呼ばれています。
この『C触覚線維』は毛の生えている部分にあります。人間の場合、顔と腕に多くあり、手のひらと足の裏にはありません。
前述した「触覚過敏の子どもでも、手のひらは大丈夫」なのは、侵害受容器のC触覚線維が手のひらにはないからと推測されます。
◇C触覚線維はソフトにゆっくり
C触覚線維は『愛撫の感覚器』ともいわれます。
C触覚線維は有毛皮膚に接続して愛撫の感覚器として働き、信号を島皮質後部に伝え、そこで漠然とした快感がゆっくりと生まれる。
C触覚線維はソフトな刺激に反応します。
そして、スピードが重要。一秒間に3~10cm前後で触れたときに最も活性化するそうです。速すぎたり遅すぎたりすると心地よく感じなくなってしまいます。
それほど難しく考える必要はなく、犬や猫などのペットを撫でるときはソフトにゆっくり撫でますよね。ペットは気持ちよく感じて目を細めてくれるはずです。
しかし、雑に撫でると猫だったら逃げてしまうことでしょう。嫌われます。
◇触覚過敏対策にC触覚線維を活用
このC触覚線維の特性を活かして、触覚過敏に対応しましょう。
C触覚線維は毛の生えている部分に分布していると前述しました。
なので、お子さんの腕毛をさすります。
毛のあるなしにかかわらず前腕をさするということです。
前腕を肘から手首の方向にゆっくりソフトになでる。方向は一方通行です。
一回を5秒くらいで30回が目安です。所要時間は片腕で3分くらいになります。
さわられるのを嫌がる場合は、寝ている隙におこないましょう。
睡眠中は無意識でしょうが、無意識でも気持ちよさは伝わります。さわられることに慣れていくことでしょう。
セルフケアにも使えます。その際には「気持ちよくなろう」という意識づけが必要になります。
気長につづけてみてください。
◇まとめ
触覚過敏を触覚の受容器から考えてみました。
人間は毛が生えていることでC触覚受容器が刺激されてコミュニケーションが円滑になっていく。
全身脱毛した人とそうでない人との対比した研究などがあったら見てみたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
つづく…
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