調査報告書<#3:世渡りの日本史パート1>
皆さん、歴活(歴史活動…初めて言いましたが…)してますか?
皆さんに日本史の面白さを伝える活動をしております、歴史探偵Qです。
今回の調査報告書は、最近読んで面白かった
「本郷和人」先生の著書「世渡りの日本史」パート1をご報告させて頂きます。
<報告内容>
1、本郷先生って誰?
2、この本の「コンセプト」
3、第1章:陰謀渦巻いた鎌倉時代(❶北条時政・義時親子)
4、調査結果
上記の内容で調査報告させて頂きます。
1、本郷先生って誰?
皆さんは「本郷和人」先生はご存知ですか?
歴史好きな人間からしたら、よく見る名前であると思います。
私、歴史探偵Qの中では日本史四天王がおりまして、
①:千田嘉博先生
②:磯田道史先生
③:平山優 先生
④:本郷和人先生 です。
今回は、「本郷和人」先生に注目して参りましょう!
■本郷和人 先生
東京大学史料編纂所教授、博士(文学)
1960年東京都生まれ、東京大学・同大学院で日本中世史を学び
専攻は中世政治史と古文書学。
「大日本史料(平安時代から江戸時代までの日本史の資料集)」の
第5編:承久の乱から鎌倉幕府滅亡までの編纂を担当している。
また大河ドラマ「平清盛」など、ドラマ・アニメ・漫画の時代考証にも
携わっている、非常に有名な歴史家。
2、この本のコンセプト
この本の「はじまり」では…
「本書では、ビジネスに活かせるヒントに焦点を当てることにしました」
とのこと…
歴史探偵Qの#1:自己紹介でも書かせて頂きましたが
歴史=暗記科目になっている現状がありますが…
本郷先生が書かれた本書でも
歴史=暗記科目だと興味が持てないというのは当然だと…
ですから、「歴史にストーリーを取り戻す!」というスローガンを立てたいと
本郷先生自身、思っているとのこと。
結果、この本書でリアルな人間模様を学び、様々な企みや陰謀渦巻く歴史を紐解き「人の世をうまく渡り歩けるようになる」処方箋、つまり世渡りの歴史が学べ、
現代に生かしていこうというのがこの本のコンセプトとなっています。
3、第1章:陰謀渦巻いた鎌倉時代(❶北条時政・義時)
それでは本書のエピソードをご紹介させて頂きます。
今回は第1章:陰謀渦巻いた鎌倉時代(❶北条時政・義時親子)のパートを
キーワードに沿ってお話しさせて頂きます!
■「中小企業レベルだった北条家」
今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役は
小栗旬さん演じる「北条義時」ですが、当時の北条家は非常に
規模が小さい武士でした。
どのくらいの規模であったかというと、最初に流人:源頼朝を預かっていた
「伊東祐親」率いる、伊藤家では戦の際:300人ほどの動員ができる家の規模
一方、北条家は最大でも50〜60人が限界でした。
では、なぜ?小規模の家であった北条家が鎌倉幕府を支え、「執権」として
天下を収める一族になったのか…
■北条家は先行投資と陰謀に次ぐ陰謀で大きくなる
北条家はなぜ、頼朝を支える一族になぜなれたのか…
それは平家の全盛時代に頼朝の「後ろ盾」となり娘の政子を嫁がせ、
「外戚」になることで力を得ようとした。
まさにスタートアップ企業に投資する「エンジェル投資家」にように
「先行投資」に成功し、莫大なリターンを得たことが大きい。
しかし、歴史はそんな単純なお話しでは終わりません!(面白いところです!)それはなぜか…先行投資に関しては「比企一族」の方が投資していました。
えっ…比企一族?大河ドラマで言うと…佐藤二郎さんがやっている役の人ね!
そうなんです、比企の家はなぜ頼朝に投資していたのか…
それは、頼朝の乳母の一人に比企家の比企尼(ひきのあま)がいたからです!
この比企尼…ハンパじゃない…そんじゃそこらの女性ではありません。
頼朝が流罪になった際、比企尼は京都の屋敷を引き払い、武蔵国の比企郡に
戻り、そこから欠かさず頼朝に生活物資を送っていました。
頼朝が栄達を極めているのであれば、取り入るために誰でもやったかもしれませんが、当時はいつ殺されるかわからない流人の立場…どうなるかわかりません。
「ビジネス上の投資は、相手の成長の可能性を見極めた上で行うもの」
比企尼は平家に睨まれるのを覚悟の上で、必死に頼朝に援助(投資)をしていたのです。
こんな必死な比企尼の行動に頼朝は感謝するとともに比企一族を実家のように
大切にしたそうです。
→ その証拠に嫡男:頼家を比企に預け、乳母は比企家の人間です。
こうなると困るのが北条時政率いる「北条家」
せっかく政子を頼朝に嫁がせ、外戚になったのに
旨味がないじゃないかと焦りだします…
まさに北条家にとって比企家は「目の上のタンコブ」状態…
そこで北条家がとった行動が「陰謀」でした。
■「13人の合議制」を利用した北条家
頼朝が鎌倉幕府を作り、それなりの位置にいた北条家…
平穏な日々は束の間…頼朝が脳溢血による落馬で死んでしまいます。
しかし、北条家は頼朝の死を悲しんでいる暇はありません。
なぜなら、頼朝の跡取りである「源頼家」は比企家の息のかかった
将軍だからです。(生まれてから比企の家で育った為)
ここから北条家の権力闘争が始まりました。
まず最初に行ったのが「13人の合議制」です。
・なぜ、「13人の合議制」なのか?
→ それは将軍:頼家の発言力を削ぐため…陰謀です。
・次に行ったのが、「梶原景時」の排除です。
→ 北条時政・義時親子は頼朝の右腕的存在であった景時に
嫉妬や恨みを持つ武士達を焚きつけ、景時の弾劾状を頼家に
突きつけ…景時を失脚・殺害する力業に出ました。
・そして最後「比企家」を潰す時がやってきたのです。
→ しかし、相手は「大企業:比企家」成長してきた北条家とはいえ
まともに正面から戦ったら勝ち目はありません。
そこでとった行動は、比企能員をとことん油断させ自宅に招き暗殺…
当主がいない比企家に攻め込み殺戮三昧…女・子供関係なく殺害…
この北条家の一連の陰謀…
「現代社会のビジネスシーン」でも起こりうることだと思います。
・企業トップの交代の際に起こる権力闘争…
・既存のルールを変え、自分達に有利なルールを作る
・2代目社長と先代からいる社員との不仲
・社長の威を借りていた右腕の存在を失脚させる
・チャンスの際は徹底的にやる
北条時政・義時親子のやり方は、サラリーマンでのし上がろうと
考えている方には非常に参考になるのではないかと思います!
しかし…因果応報か…
■結局、北条時政にも陰謀の渦が…
頼朝が死に…頼家の発言力を削るために13人の合議制を行い…
梶原景時を殺し…比企一族を滅亡させた北条時政・義時親子。
どんなに優秀な人間も地位も名誉も将来も安泰となったら「欲」が出ます。
これは北条時政も例外ではありませんでした…
なんと時政は後妻(牧の方)との子(政範:まさのり)を自分の後継者、つまり北条家を継がせたいと考え始めたのです。
そこで面白くないのは義時です。今まで散々…北条家の為頼朝に仕え、
平家と死に物狂いで戦い、汚れ仕事も北条家の為と思いやってきたのに
何もしてない政範が後継者なんて普通の人なら納得できないですよね。
ここで、時政と義時に決定的な溝が生まれるのです。
しかし、この政範は病気でなくなり禍根だけが残りました。
だが、歴戦の猛者である時政…諦めません。牧の方が生んだ娘の夫である
「平賀朝雅:ひらがともまさ」に目をつけました!
→ そこまで後妻が大事なのか?笑
とうとう義時は、父親である時政を失脚させるべく動きます。
まずは「時政は3代将軍:実朝に替えて自分の娘婿である平賀朝雅を4代将軍にしようとしている」という噂を流します。
いくら権力全盛の時政といえど、将軍を替えるというのは「謀反」と捉えられ…
義時は時政を攻める口実を手にし、源実朝の身柄を保護、実朝の母:政子を味方にし時政に詰め寄る…勝負あり!!ということで…時政を捕らえました。
しかし、いつの時代も「親殺しは重罪」であり…義時も時政を
手にかけることはできません。
結局、時政は幽閉…平賀朝雅は京都にて討たれるという結果になりました。
が…一説によると、時政を悪役にするために全ては義時が仕組んだ
自作自演という説もあります。
結果、終わってみれば一人勝ちし、権力を伸ばし、13人の合議制にいた
義時を除く12人を滅ぼして行ったのは義時だったのです。
色々、裏がありそうですね…これぞ歴史のロマン。
4、調査結果
今回、本郷先生の著書を参考に北条時政・義時親子の陰謀について
紹介させて頂きましたが…書いてる自分が鳥肌が立つほど恐怖を感じました。
人間は自分の欲のため、権力のためならかつての仲間も簡単に殺せるものなんだと思いました。(現代との死生観の違いはあるものの…)
また、現代のビジネスシーンでも使えるものやあるあるが約900年前から
あると思うと、日本人は昔から裏工作・陰謀が好きなんだと感じます。
■次回の調査報告書では、引き続き本郷和人先生の著書
「世渡りの日本史:パート2」をお届けします!
お楽しみに!
歴史探偵Q 調査報告書
#3 :世渡りの日本史パート1
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