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平日休みになったので映画を2本見てみた『羊たちの沈黙』『最強のふたり』

タイトル通り。
平日休みになったので、久しぶりにアマプラで映画を2本ほど見ました

久しぶりといっても、最後に見たのは1ヵ月前なので、本当に久しぶりと言えるのかは微妙なとこですが……。

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見たのは『羊たちの沈黙』『最強のふたり』です。

方やサイコスリラーの金字塔。
方や実話を基にしたフランスのコメディ映画。
まったく違う空気感の作品だけど、どっちもアマプラで見放題だったので見るしかないなって思って見てしまいました。

『羊たちの沈黙』に関しては、正直にいうと、人生の内に見るつもりは一切なかった作品です。
名作とは聞いていたし、続編の映画『ハンニバル』、前日談?のドラマシリーズ『ハンニバル』共に人気があるとも知っていた。……が、なんとなく食指が動かず、今まで放置していたものでした。

見ようと思ったのは、単純に今読んでる教本にめちゃくちゃ名前が出てくるからです。

▼今読んでる教本

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この教本のね、いたるところにね、「『羊たちの沈黙』でたとえると……」って説明がね、出てくるんですよ……。

最初こそは「あ、名前知ってる作品だ」「まぁ、原本は海外の方が書いてるから、そりゃあ例えであげる作品も海外のものになるよな」ぐらいの感覚で読んでたんです……。
別に作品がわからなくても、その前に色々書いてある説明のおかげで言いたい事は充分にわかっていたので、原作知らなくても読める読める程度に思ってたんですよ……。

でも、なんかちょっと間をあけると「『羊たちの沈黙』で例えるとね、」「『羊たちの沈黙』の○○で例えると、」「『羊たちの沈黙』のシーンで……」って、すぐにこの作品の名前が出てくるわけで。

「サブリミナル効果でも狙ってんのか!?お前は『羊たちの沈黙』のなんなんだよっ!布教に励むヲタクか!?もういいよっ、見るよっ!見りゃいいんだろっ!!!!!」と我慢の限界が来たので、本日映画を見るに至りました。
なんか、まんまと乗せられた気持ちです。くそ、布教に負けた(※別に布教ではない)

しかし、これ1本見るのは癪なので、前々から気になっていた『最強のふたり』もあわせて見ることに。
こちらはあらすじがストレートにド好みだったので、ずっと見るタイミングを狙っていたんですよね。
『羊たちの沈黙』はホラー系だと聞いていたので、気分転換にコメディ映画を見て気持ちを明るくして終えるのもアリだなって考えもあったり。

そんな感じで見始めたわけですが……、いやもうものの見事に、『羊たちの沈黙』は名作と言われてる所以を肌で感じさせられました
「こりゃあ名作って言われるわ……」って気持ち。

ストーリー構造を見るだけでも、結構重厚というか。
大筋の「事件の解決」に複数の個別のストーリーが複雑に絡みついてるので、凄く重厚な物語の線が完成してるんですよね。
主人公のクラリス嬢視点、キーキャラのレクター博士視点で、この事件ってまるっきり違うものに見えてくるというか、「事件解決」はあくまでも物語のゴールであってこの2人それぞれのゴールは別にあるといいますか。
彼らは彼らで、まったく別々のゴールをそれぞれの物語の果てに置いてる状態でお話が綴られているんですよ。

クラリス嬢は事件を通して、己のトラウマの昇華を。
レクター博士は事件を通して、内に抱えているとある目的の達成を。

実は誰も「事件解決」そのものを真の目的に動いてない。
彼らにとって事件解決は、あくまでもそれぞれの成長・変化といったもののための通過地点でしかない。

しかし、この通過地点が交わるはずのなかった2人を交わらせ、2人にしかわからない関係性を生み出すきっかけになっている。
これが本当に巧妙で、約2時間しかないお話なのに、長編シリーズのドラマを見ているような心地にされました。

カメラの使い方も凄くよかったなぁ。
映すシーンや、映すアングルを主人公視点から別の視点からの物に切り替えたりで、ハラハラ・ドキドキさせてくるシーンが多くて、映像物はこれができるからズルい!ってなりました(笑)
小説じゃできないんだが!?

あと、クラリス嬢の友人達、やたらキャラが濃くないですか?

あの虫について詳しい彼、お前だけで1本シリーズ作れそうなキャラクター性してるな?って感じだったんですが。
これがレクター博士とクラリス嬢のお話じゃなければ、彼らとクラリス嬢が力をあわせて事件解決に挑戦するミステリーものにもできたんじゃないかな。それはそれで面白そう。面白そうって思うぐらいにキャラが濃いんだよ、皆。

まぁ、レクター博士とクラリス嬢の関係性も凄くヘキに刺さったのも事実なのですが。
作中でレクター博士がクラリス嬢を事件の真相まで導く構図が、教え子と先生って構図で、師弟関係好きの私としてはちょっとドキドキしちゃいました。
あれはもうね、完全に自分よりも出来は悪いが将来を期待するには充分な教え子に、からかいながらも色々と刷り込んでいく先生って感じの図だった。
師弟なんて明確な関係はこの2人にはあわないし、この関係を表すには絶対にそんな言葉じゃ収めきれないんだけど、やってる事は師弟だった。レクター博士、頭悩ませてるクラリス嬢の姿に「頑張れ頑張れ」って内心でほくそ笑んでそうだな。ほくそ笑み(暗黒微笑)って感じ。

『最強のふたり』に関しては、もう期待通りだったといいますか。
というか、コメディって書いてあるわりには笑いというよりも泣いちゃうシーンが多くて、「何がコメディだっ!感動ものじゃねぇかっ!」ってブチキレながらずっと見てました。

定職にもつかずふらふらしていた男性が、事故から車いす生活になってしまった富豪の男性の介護士になるところからスタートする話……とは先に聞いてたので、絶対に泣ける展開が待ってるんだろうなというのは想像していました。

いました、が、いや始終ずっとうるっとさせられるとは誰が思うか
ラストはもうドリス(介護士の男性)にしてやられましたね。本当、感動させられたといいますか、「ドリスてめぇ~~~~~~~~~~~っ!!!!」って叫びながら、画面前で泣いてました。

ラストのシーン。作中で深く語られていないけど、たぶんドリスが物語終盤で入手したフィリップ(富豪の男性)の写真が伏線だったんだと思うんですよね。
でなければ、ラストになってようやくフィリップと初めて対面した彼女が、一目で彼がフィリップだってわかるわけないし。彼女はフィリップが車いすに乗ってることを知らなかったはずだもん。たぶん写真見てるよ、あれ。フィリップが見せるのを拒んだ写真を、ドリスが見せてるって。

手に入れた写真をどう使って(使ってない可能性もあるけど)、どうやってあのラストの場面を用意したのか、それについては一切語られていないのですが、それが逆にいい。
何も言わずにやる事だけやって去って行くドリスのカッコよさよ。ドリスのした事に気づいたのに、相手に問い詰めるのではなく窓越しに笑い合うだけで別れる、フィリップとドリスの友情。しんどい。なにあれ、尊い。

というか最初はドリスの方が、フィリップがいないと宿なし金なし職なしの大変な状況にあったはずなのに、気がついたらドリスの方がフィリップがいないと辛い状況になっていて、この逆転具合が心に刺さる。
ドリスもドリスで、お金がないと動かない人だったはずなのに、最後のシーンはお金関係なくフィリップのために場を用意してくれたんだよ。なんなんだ、なんなんだよ。仲良しとか友情とかって言葉じゃ表現しきれないよ、その関係性。深い。結ばれた絆が深すぎる。

でも1つ、ずっと気になってる事があって。
この作品、ミュージカル映画ではないはずなのですが、音楽を演出にダイジェストでシーンを流す事が多いなぁって。

フィリップどドリスが仲良くなっていく過程をダイジェストで見せるシーンが多いなって、思ったんですよね。
音楽のテンポにあわせた感じでシーンが流れていくので、そこだけセリフつきのMVでも見ている気分でした。

そういえば、前にフランス映画見た時も同じような感想を抱いたっけ。
『タイピスト!』というラブロマンス映画。
これもそんな感じのシーンが度々挟まれていた気がする。

……と思っていたら、さっきXで「オチのつけ方、過程には国ごとに違う」「日本には日本の、それ以外の国にはそれ以外の国のお国柄が存在する」って話をしているシナリオ研究者の方のポストが流れてきました。

も、もしかして、この音楽にあわせてダイジェストで見せるやつ、お国柄だったりする……!?

海外映画は他に見た事があるのが、『ナイトミュージアム』や『テッド』、『アベンジャーズ』シリーズやミュージカル映画の類って感じなので、比較対象が少なくてわからないや……。
またフランス映画を見る機会があったら、ちょっと注意して見てみようかな。

以上。
休日に見た映画の話でした。
『羊たちの沈黙』については、もうちょっと細かいところを色々見てみたいし、教本に書いてあった事と照らし合わせながら見てみたい欲もあるから、また近々見てみようかなって思います。
もう一回、博士とクラリス嬢の関係性を浴びてくるぜ!わっくわく!!

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勝哉道花|みちなり文庫
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