【藤原道長③】道長さん「源氏の姫」と結婚! そもそも「源氏」ってナニ?
歴史のオモシロさを「人物相関図」を使ってご紹介するnoteです。
今回のシリーズは藤原道長。まとめマガジンはコチラ↓
前回の記事では道長のお父さんの藤原兼家が、孫である一条天皇が即位したことによりスーパー権力を握っていく様を書きました。記事はコチラ↓
今回の記事では、道長が結婚します! しかも2人と!
源氏のプリンセスたちが登場ですー。
道長、ライバル公任に「負けないぞー」宣言
結婚の話の前に藤原道長の若かりし頃のエピソードを1つ。
道長の「はとこ」に藤原公任(きんとう)という人物がいます。
道長と同い年です。
公任は時の関白(天皇の後見人)の長男であり、
「和歌」「漢詩」「管弦」に秀でた人物でした。
家柄が良くて、芸術の才能にもあふれている。
ちなみに平安時代の貴族にとって芸術の才能があることは出世にもめっちゃ影響する重要なスペックです。
藤原公任はそんなスーパーエリートくんなのです。
道長は出世でもアートの才能でも公任に及ばない存在でした。
もちろん道長の家柄も素晴らしいですが、彼は藤原兼家と正妻・時姫の間に生まれた「三男」であり道隆、道兼というお兄ちゃんが2人いるのでそういう意味でも公任には追い付けなさそう…。
ある日。
父の兼家が3人の息子たちにこんなボヤキをします。
公任くんはスゴイよなぁ。めっちゃ才能があって。
それに引き換え、ウチの息子たちときたら。
ハァ…。
公任くんの影さえ踏めない、足元にも及ばいもんなぁ。。
このように父親に嘆かれた長男・道隆、次男・道兼はションボリするばかり。
でも、末っ子の道長は。
いや!僕は!
影を踏むどころか公任の面を踏んでやりますよ!
と父に対して強気な発言をした、というエピソードが残っています。
面(つら)というのは顔、ということですね。
いつか、公任を追い越してやる、という意味です。
この時点では「なに言っちゃってんだよ」というカンジですが、後々、本当に道長は圧倒的に公任を上回っていくことになるわけです。
人生ってわからないよなぁ、と思わされるエピソード。
興味深し。。。
源氏物語の「源氏」ってナニ?
そんな道長、実は「結婚」によって自らのブランド力を上げていきます。
この結婚が道長のその後の人生のビクトリーロードにつながっていくことになります。
道長、2人の女性と同時期に結婚することになるのですが、お相手はいずれも「源氏」の姫である源倫子(みなもとのりんし)と、源明子(みなもとのめいし)。
この2人との結婚の話に入る前に、そもそも「源氏」とはなんぞ?
という説明をカンタンに。
源氏とは皇族から「臣籍降下」した人に与えられる「姓」の1つ。
天皇の子供たちは、もちろん「皇族」です。
たくさん子供たちがいる場合はもちろん全員が天皇になれるわけじゃない。
皇位継承問題や財政の問題などいろいろな課題もあります。
そんな理由から、皇族を離れ、天皇から新たに「姓」を賜り臣下となる人たちが出てきます。
これが「臣籍降下」です。
皇族じゃなくなる、ってことですね。
このとき賜る「姓」の代表的なものが「源」や「平」です。
源氏と平氏ですね。
のちに藤原道長の娘の彰子(しょうし)に女房として使える紫式部の記した「源氏物語」の主人公・光源氏は、天皇の子供ですがワケありなので「臣籍降下」した人物。
だから「源氏」なのですね。
道長、プロポーズ相手の父親からNO!
藤原道長は、この天皇の血をひく高貴な家柄の源氏の姫と結婚することになるわけです。
まず、正妻となる源倫子との結婚のお話から。
道長のアプローチのお相手・源倫子は時の左大臣・源雅信の娘。
左大臣はめちゃくちゃ偉い役職です。
そしてこの源雅信は宇多天皇の孫というサラブレッド。
雅信は、娘の倫子を「いつか天皇に嫁がせたい」ともくろんでいました。
そんな雅信にとって、道長はいかに摂政の息子とはいえ「三男坊」でありまだまだ若輩者。
「道長との結婚なんてダメダメ!」と道長と倫子の結婚に反対します。
お相手のママのヘルプで無事に結婚!
ですが、この結婚話を後押ししてくれた人がいました。
源雅信の正妻であり、倫子の母の穆子(ぼくし)です。
穆子は雅信と違って「道長に見どころアリ」と感じてくれていて、
道長と倫子の結婚を力強く後押ししてくれました。
穆子の説得の末、雅信も「まぁ、そうか、わかった」となり、無事に道長と倫子は結婚、倫子は道長の正妻となります。
当時の習わしどおり、道長は婿入りすることとなり、倫子の家で暮らし始めます。
この倫子との結婚が道長の人生が輝く大いなる布石となりました。
道長は「摂政の息子」であり、「左大臣の娘」と結婚したという「ブランディング」に成功します。
これは結構、強い。
丁寧に結婚相手を選び、自分の人生のストーリーをつくっていく道長。
彼の人生は「幸運」に彩られていきますが、ただのラッキーボーイではなく自分自身で強運を呼び寄せる地盤を築いていっている、とも感じます。
後に、この倫子の間にできる娘たちが次々と天皇に嫁ぎ、息子は自分の後を継いで政治を掌握する、という「栄華の極み」のファーストステップがこの結婚だったのです。
道長は「倫子、ほんっとーーーに結婚してくれてありがとう!」
と思っていたと思います。
源氏の「悲劇のプリンセス」とも結婚
続いて、もう一人の源氏の姫との結婚エピソードです。
こちらのお相手は源明子(みなもとのめいし)。
明子のお父さんは源高明(みなもとのたかあきら)。
醍醐天皇の息子として生まれ「臣籍降下」して源氏となった人です。
天皇の息子というスーパー高貴な出自であった高明は出世していくのですが、ある時「謀反の企みの疑い」をかけられ大宰府に左遷させられてしまいます。これは藤原氏によってハメられた、とも言われています。
そんな高明の晩年の子供が源明子。
めちゃくちゃ高貴な生まれながら、父親が政界の中枢から外されてしまった悲しみを背負っている女性、いわば悲劇のプリンセスです。
そんな明子を支えたのが実は藤原詮子。
道長のお姉さんであり、一条天皇の母である女性ですね。
自分たち藤原一族が悲しみの底にたたき落とした人物の娘である明子の生活を支える、詮子。
どんな心境だったのでしょうか。。。
これまた、非常に興味深し。
父親が失脚したとはいえ、明子は非常に高貴な血筋。
道長はこの明子とも結婚をすることになります。
今回の記事では、結婚によってレベルアップした道長を見てきました。
次回は道長の兄・藤原道隆の一家にまつわるエピソードとなります。
スーパーヒロイン・藤原定子さまが登場です! 記事はコチラ↓
藤原道長の一生を「人物相関図」で紹介するまとめマガジンはコチラ↓
源頼朝&源義経ブラザーズの人生を「人物相関図」でひも解くまとめマガジンはコチラ↓