桜井市の広報戦略に学ぶ
前回に続き、クロ現「邪馬台国特集」にちなむ話を。
番組にVTR出演していた寺沢薫さん(近畿説)の肩書が「桜井市纒向学研究センター」所長だったので調べたところ、
『纒向遺跡の調査研究および保存活用に向けた取り組みを総合的に行うとともに、この国の成り立ちや文化の原像を解明するための学問である「纒向学」の研究拠点として、平成24年4月に設立されました。』(同センターHPより)と紹介されていた。
また、「纏向デジタルミュージアム」というHPも『邪馬台国は、ここ大和を舞台に、ヤマト政権へと引き継がれていく』という仮説で構成されているサイトだが(運営はやまと文化フォーラム)、画像の多くが桜井市や天理市教育委員会の提供だった。
NHKに限らずテレビ局が番組を制作する際には、これら自治体や団体から多くの写真や画像(イラスト、CG等)を借りることが多い。
制作サイドにとっても「映える」画像が多ければ、紹介する機会が増えるのも自然の流れだ。(↓は桜井市のマスコットキャラ「ひみこちゃん」)
ただし、こうした魅力的な広報素材を提供するためには、画像制作や撮影などにもそれなりにお金がかかるだろう。
だが桜井市は人口約5万5000人と、奈良県内でもそれほど大きな自治体ではない…。
と疑問に思っていたところ、目に留まったのが「卑弥呼の里・桜井ふるさと寄附金」だ。
桜井市が全国の考古学ファンから寄附金を集め、遺跡の調査研究や町の活性化等に充てるという制度で、
1.纒向遺跡の調査研究・保存活用に関する事業
2.まちづくりに関する事業
3.産業または観光の振興に関する事業
など8項目の使い道が挙げられている。
これは正直「うまいなあ!」と思った。
この制度が始まったのは平成20(2008)年。昨年(令和4年度)は約2億3000万円もの寄附金が集まっている。
実際にメイン事業の「纒向遺跡の調査研究・保存活用」に使われるのは約1480万円(予定)だが、どこの市町村も文化財保護や広報活動の予算確保に四苦八苦している中で、上手にやっているなあと感心した。
そして、この寄附金も含めた広報戦略、私が邪馬台国の首都と考える伊勢遺跡のお膝元、守山市や滋賀県庁も倣ってみては、と考えた次第。
伊勢遺跡や服部遺跡、下之郷遺跡など多くの弥生遺跡がある同市(同県)なら、古代史ファンから多くの寄附金が集まる…かも?
★見出しの画像は、kazehukabaさんの「大和三山とコスモスが揺れる藤原宮跡-2」を使わせていただきました。ありがとうございます。