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週刊|都築怜の自撮り展

毎週金曜21:00投稿
強いていうなら圧倒的に安いです。
¥120 / 月 初月無料
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初めまして

初めまして

『都築怜の自撮り展』(120円/月)

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Instagram:@rei_tzk

都築怜と申します、はじめまして。
祝日問わず月曜日から金曜日まで、週に5本エッセイを書いては投稿しています。

エッセイを書くことは、僕は脱皮行為に近いと思っている。
自分を取り囲む現象とその内で湧き上がったものを言語化する。
言語化できたものは、客体化することができる。
それと対峙することができる。こ

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何か話して

朝焼けに染まる空を眺めながら、私は深呼吸をした。ノッティングヒルの静けさが、これから始まる一日の喧騒を予感させる。窓越しに見えるアーンドル・スクエアの木々が、そよ風に揺れている。

コーヒーメーカーのスイッチを入れ、挽きたての豆の香りが部屋に広がる。この瞬間が、私の一日の始まりを告げる儀式だ。ラジオから流れるBBCニュースに耳を傾けながら、今日の予定を頭の中で整理する。

「The Rosemar

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quantum quotidian:日常という名の量子の海

朝靄に包まれたアーンドル・スクエアの静寂が、私の意識を現実へと引き戻す。目覚めの瞬間、夢と現実の境界線が曖昧になる。その一瞬の中に、無限の可能性が潜んでいるような気がする。

Nakajimaが私の足元で丸くなっている。彼の存在が、この部屋という小宇宙の中心軸のようだ。彼の呼吸のリズムが、宇宙の鼓動と同期しているかのように感じる。

窓を開けると、ロンドンの朝の空気が肌を撫でる。湿った空気の中に、

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ノクターンと湖面:日常に潜む自己発見の旋律

ロンドンの街に降り始めた小雨が、窓ガラスを伝って流れる。私は暖かいコーヒーを片手に、ぼんやりとその様子を眺めている。雨粒が描く不規則なパターンは、まるで目の前で即興演奏されるジャズのようだ。

ふと、昨夜のコンサートのことを思い出す。クラシック音楽に触れ始めてからまだ日は浅いが、その魅力にすっかり引き込まれている。ショパンのノクターンが奏でられた瞬間、会場全体が深い静寂に包まれた。その音色は、私の

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キャンバスの向こう側:アートと金銭の境界線を探る

朝日が窓から差し込み、私の目を覚ます。Notting Hillの静寂が、まだ眠りについている街の息遣いを感じさせる。起き上がり、窓越しにArundel Squareの公園を見やる。まだ誰もいない芝生が、昨夜の雨で濡れて輝いている。

コーヒーを淹れながら、昨日見た展覧会のことを思い出す。Golden Squareにある小さなギャラリーで開催されていた新進気鋭のアーティストの個展。彼の作品は確かに魅

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琥珀色の休息 - パブで見つけた精神的な充電方法

ロンドンの夕暮れ時、私は「The Queen's Fox」の扉を押し開けた。いつもの木の香りと静かな会話の音が、一日の疲れを優しく包み込む。カウンター奥の静かなコーナー席に腰を下ろし、オリバーに目配せすると、彼は黙ってグラスとウイスキーのボトルを持ってきてくれた。

「いつもの」と言う必要もない。彼は既に分かっていた。グレンモーレンジィ 18年。琥珀色の液体が注がれる音だけで、私の心は少し落ち着い

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自己嫌悪 - 古書店の窓に映る自分

雨上がりのロンドンの空気が、いつもより少し重く感じる。窓越しに見える通りは、まだ湿った石畳が薄暗い灰色に輝いている。朝のこの時間、普段なら既に仕事を始めているはずなのに、今日はなぜか机に向かう気になれない。

コーヒーを淹れながら、昨日のことを思い出す。新しく赴任してきた同僚のJamesとの会話が、どうしても頭から離れない。彼の几帳面さと完璧主義的な態度が、妙に気に障った。「なぜあそこまで細かいこ

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映画の中の私、街の中の映画

薄暗い部屋に、フィルムプロジェクターの光が揺らめいている。『軽蔑』の最後のシーンが壁に映し出され、ブリジット・バルドーの表情が静かに消えていく。深呼吸をして、ゆっくりと目を開ける。ゴダールの映像美に浸りきった後の、あの独特の余韻。現実世界に戻るのが惜しい気持ちと、何か新しい発見をした高揚感が入り混じる。

窓の外では、ロンドンの夕暮れが始まっている。アーンドル・スクエアの木々が、オレンジ色の空を背

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忙しさの中で、どうゆとりを獲得していくか、という話。

ロンドンの朝は、いつも静かな騒音と共に始まる。目覚めの瞬間、私の意識は量子の重ね合わせのように、まどろみと覚醒の狭間で揺れ動く。ベッドから身を起こす前に、窓の外を見る。アーンドル・スクエアの木々が、朝もやの中でぼんやりと姿を現している。この瞬間、私は忙しさに追われる一日の始まりと、静寂に包まれた朝の永遠性を同時に感じている。

コーヒーメーカーのスイッチを入れる。豆が挽かれる音が部屋に響き、その香

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眉間の皺

最近、意識して眉間の皺を寄せないようにしている。この些細な行動が、思いがけない結果をもたらすのだ。

ロンドンの朝。窓から差し込む光が、無限の可能性を秘めた量子の海のように揺らめいている。私は目を閉じ、深呼吸をする。眉間の力を抜くと、頭全体の硬直性が一気に消え去る感覚がある。それは、まるで量子の重ね合わせ状態が一気に崩壊するかのようだ。

「おはよう、Nakajima」

私の声に、Nakajim

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夜を過ごした夜の話

朝もやの中、目を開けると、夢の残像が部屋に漂っているような気がした。窓から差し込む柔らかな光が、アーンドル・スクエアの木々を黄金色に染めている。ベッドから抜け出し、窓辺に立つと、小学校時代の同級生と、一度も会ったことのない斎藤飛鳥さんとの不思議な夢の記憶が鮮明に蘇る。

コーヒーを淹れながら、夢の中の三人の関係性を思い返す。豆を挽く音が静寂を破り、現実世界への扉を開くようだ。カップを手に取り、温か

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切羽詰まった環境トレーニング

早朝の霧が街を包む中、私は目を覚ました。時計は5時30分を指している。Nakajimaは私の足元で丸くなって眠っている。彼の穏やかな寝息が、この静寂な朝に小さな生命の鼓動を刻んでいる。

窓の外には、まだ眠るノッティングヒルの街並みが広がっている。古びた建物の輪郭が、朝もやの中にぼんやりと浮かび上がる。この光景は、私にいつも不思議な安らぎをもたらす。

朝のルーティンを始める。15分間の瞑想、そし

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とりとめもないこと

霞んだ窓ガラスに指で円を描く。ロンドンの雨は、いつも私の内なる世界と外の現実を曖昧にする。今日も、存在と非存在の境界線上で揺れている。

カフェ「The Rosemary Garden」の窓際の席。いつもの丸テーブル。コーヒーの香りと、ページをめくる音。そして、雨音。全てが溶け合い、新たな感覚を生み出す。

「見えてきた世界の解像度を高めていく」―私の指先が、湿った空気を切り裂く。かつて、それが全

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わかった気になるエセダヴィンチたちよ。

ロンドンの霧が窓を濡らす朝。私は目覚めと共に、昨夜の夢の残滓を掻き集めようとしていた。夢の中で、私はレオナルド・ダ・ヴィンチのアトリエにいた。彼は未完の「受胎告知」に向かって筆を動かしていたが、その動きは遅く、まるで時が凍りついたかのようだった。

ベッドから起き上がり、窓際に立つ。外の世界は霧に包まれ、建物の輪郭さえ曖昧だ。この瞬間、私の意識も霧の中にいるようで、明確な思考を形作ることができない

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