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「しくみ化」と創発への「余白」④

ここからは、組織の知見が結晶化された「しくみ」の本質を理解して活用することで、どんな価値が生まれるのかを考えたいと思います。

(前回のポスト)

様々なコンテクストの違いのある案件を扱う仕事において、標準化された手順やソリューションに込められた知恵とは、ざっくり言えば、以下の2点に集約されます。

①実行プロセスで押さえるべき勘所
②課題形成とその解決の方向性としてあり得るパターン

つまり、多様な案件に対して、単純に「ありもの」のパッケージを当てはめて、その枠組みを固守するためのものではなく、プロジェクトのマイルストーンや課題の性質を見極めるための視点を与えるものである、ということです。

①については、
・全体として、何を考え、決めていく必要があるのか?
・まず何を決めれば、次に何を検討し始められるのか?
・そのために、どんなリソースや活動が求められるのか?

②については、
・あり得る問題、解決方法のパターンはどのように類型されるのか?
・どんな視点から解くべき問題を定義し、どんな視点から最適な解決指針を絞り込むのか?

…といった切り口で、個々の案件に向き合うための枠組みを段階的に具体化していくことにより、考えるべきことを明らかにする、そこに「しくみ」の価値がある。

これを別の角度から捉えると、大きな枠組みを外さない範囲においては、思考や選択の自由度が担保される、ということにもなります。

換言すれば、検討過程で得られた新たな着想をどんな位置づけでどのように活かせる可能性があるのか、もっと言えば、どこに自分たちの意志を込められる「余白」があるのかを見定められる、ということです。

ここに、目的や制約をどのように据えてその案件のスコープを切り出していくのかという観点が加わると、チームとして創発を起こしていくための準備が整ったことになる。

逆に、こうした考え方を押さえずにいると、既にあるしくみが手順や手段を縛る足枷になってしまう(いわゆる思考停止に陥ってしまう)のだと思います。

組織内外にかかわらず、プロジェクトを進める際には、先人の経験知が詰まったしくみからどう知恵を引き出し、自分たちにとっての「余白」を共通認識しながら進めていけるかが大切になるな、と実感します。

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