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【女の子がいる場所は】「なぜ?」という疑問を持てることが希望

漫画「女の子がいる場所は」(やまじえびね著、ビームスコミックス、KADOKAWA)は、女性に対する差別がある社会に住んでいる少女を主人公にした短編漫画集だ。

舞台は、モロッコ、サウジアラビア、インド、アフガニスタン、そして日本。

男の子と、女の子は、別の学校に通う。
男の子と、女の子は、ある程度の年齢になると行動を共にしない。
女の子は勉強ができすぎると、結婚が遅れてよくないと言われている。
などなど。
それぞれの「場所」で、「女の子だから」(男女差別)を背景に、物語が展開する。

各短編に共通しているのは、主人公の少女が、「女の子だから」に対して、「なぜ?」と疑問を持つ点だ。

その「なぜ?」は、「当たり前」のものとして受けとめていた現状に、「当たり前ではない(かもしれない)」と感じるものを見つけたからこそ、出たものだろう。問題が初めて可視化された瞬間といえるかもしれない。その「なぜ?」には、ページをめくる手を止めて、拍手を送りたくなった。

その国・地域に根付いている「女の子だから」「男の子だから」は、少女ひとりが疑問を持ったからといって、すぐに変わったり、なくなったりするものではない。
しかし、まず、自分がいる場所に疑問を持ち、
自分がいる場所がどんな場所か知り、それ以外の場所もあることを知ると、そこから抜け出す選択ができたり、そこを変えていく努力ができる可能性が拡がる気がする。「なぜ?」という疑問を持てたことが、希望だと思う。

日本を舞台にした作品は、祖母、母、娘(少女)の3世代の女性が出てくる物語だったが、「女の子だから」に関する思いや考えは個人のなかで一定ではなく、揺れることもあると気が付いて、興味深かった。


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