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米Nasdaq市場IPOの知られざる事実。

ナスダックIPOに存在する見えない障壁(時価総額)

3月末のSYLA TechnologiesのIPOで注目が集まる
本邦企業による米Nasdaqでの新規上場。

ナスダックでの直接IPOは、IPO時の企業価値が$100mio以下
(140億円、以下、為替レート@140)の企業には非常に難しい。
引受を行う投資銀行の多くは、利益とリスクが比例しないと考え、
$100mio以下(140億円)のIPOは引き受けない。
これが2020年メディロム以来
本邦企業の多くのIPO時価総額が$100mio近辺にある真実である。
背景は以下の通りである。

米国の機関投資家の姿勢。


米国では機関投資家がIPOの主な積極的な引き受け手となっている。
しかしながら、ほとんどの機関投資家は、
時価総額が$500mio(700億円)未満の企業には申し込むことはない。
米国の機関投資家は、
安定した事業を展開する何千もの上場企業の中から選ぶことができ、
米国でのデューデリジェンスを受けられない企業には投資しない。
(ウォーレンバフェットクラスは本邦大企業に限るし、
ましてや日本の会計基準に止まる限り投資対象にはなり得ない)

中小投資銀行によるIPO・・・・

$100mio(140億円)のギリギリのサイズを引き受けてくれる
中小の投資銀行には、
大手のように機関投資家にアクセスするマーケティング力は無い。
現段階では、IPOの主事業が米国でない場合、
発行額の大半はIPO企業(以下、発行体)が自ら揃えた投資家が占めることになる。
もしくは「特殊なケース」であるが、既存大株主の自己資金が別口座を通じて新株発行を引き取る。
投資銀行が請求する7%の手数料(5~8%程度の中央値)は、
単にIPO募集のための引受人の存在というSEC(米証券監視委員会)の要件充足だけのためであり、
(残念ながら)その手数料に見合った投資家を連れてくるわけではない。

アジアの小型株IPOの裏事情

アジア(中国銘柄を含め)の小型株IPOの中には、
発行後に10倍、100倍、1000倍と高騰し、
時価総額が企業の基礎的価値をはるかに超えているものが存在するではないか?との指摘もあるが、これは先の「特殊なケース」の場合に当てはまる。

株式そのものが既存の大株主によって高度にコントロールされている場合、このような上昇は既存の大株主が価格を引き上げている(と思われる)。

これは株価チャートという面では有効な戦略だが、
「株価操作」と当局に金融犯罪と認定されるリスクが存在する。


しかし、アジアの小型株(時価総額$500mio未満)のNASDAQへのIPOは、
今やこのルート(自己引受)が目立つ。
既存の大株主が自分で買って、引き上げて、船出する。
果たして、これにはどれくらいのコストがかかるのだろうか?

次回は、米国IPOを遂行する際の費用などについて詳しく解説します。
米IPOに興味のある方、必見です!

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