既発表歌まとめ13(2023年5月)
二千円の宿のくずかごに湧く蟻 ただしくなさのために死にたい
【初出】suiu
【作成日】2022.11.13
【投稿日】2023.5.1
呪詛でした からだのあおい鳥それはそれは宗教だったわたしの
【初出】suiu
【作成日】2022.4.11
【投稿日】2023.5.1
色とりどりの顔に焼かれて泣いている記憶のだれからも遠ざかる
【初出】suiu
【作成日】2023.1.17
【投稿日】2023.5.1
その電話をいまも待ってる 海風にわたしの骨が砂になるまで
【初出】毎日歌壇 加藤治郎選
【作成日】2023.3.17
【投稿日】2023.3.21
【掲載日】2023.5.8
ベランダに立つとき船乗りのような目をするひとに煙草をもらう
【初出】suiu
【作成日】2022.9.8
【投稿日】2023.5.9
くすぐられてさみしいばかり 春の手をにぎりかえせばわたしも春に
【初出】NHKクローズアップ現代
【作成日】2023.3.13
【投稿日】2023.3.13
【掲載日】2023.5.11
新月があなたに憑いているうちに死なない川のうたを聴かせて
【初出】毎日歌壇 水原紫苑選
【作成日】2023.4.18
【投稿日】2023.4.25
【掲載日】2023.5.16
未来は過去に似るという神話 きみが運転するときだけしていた眼鏡
【初出】毎日歌壇 加藤治郎選
【作成日】2023.1.17
【投稿日】2023.3.28
【掲載日】2023.5.16
空の色をひときわつよく反射する機体がきみの故郷へ向かう
【初出】読売歌壇 俵万智選
【作成日】2022.12.12
【投稿日】2023.4.25
【掲載日】2023.5.22
電話ボックスでやりたいことがありやらないだけの分別もある
【初出】毎日歌壇 加藤治郎選
【作成日】2022.6.12
【投稿日】2023.4.4
【掲載日】2023.5.22
ほうっておけば流れてしまう舟だからしかたなかったくびつりの紐
【初出】suiu
【作成日】2023.4.16
【投稿日】2023.5.24
生きることが弔いになるひとの眼にうばいたかった方舟がある
【初出】suiu
【作成日】2023.5.24
【投稿日】2023.5.24
真実のように抱きしめあった日もチラシまみれのゆうれいだった
【初出】毎日歌壇 加藤治郎選
【作成日】2022.4.8
【投稿日】2023.4.11
【掲載日】2023.5.29
★連作「話せば長い」(2023.5.4)
きみとなら覚えなおせる気がしてた煉瓦の道を海まで歩く
りんね っていえば救われるのいいなー 黄色い車にときめきながら
行けない海がどんなに増えても海はある 裁かれるってこういうきもち?
ゆうれいと話せば長いまひるまのベンチで雨をまっていたのに
おれたちはろくな死にかたしないよって愛の告白だったのかなあ
★連作「みせて」(2023.5.27)
いまだけの恋人宛てのたくさんの手紙ではなす葬式のこと
知ってるっていう嘘はもういい 排水にふくまれている粗い遺伝子
ガムをいつまで噛んでも味がする夜はあやうい人にわたしをあげる
コンビニへ帰りたくって手をつなぐ窓から差してくる走馬灯
嘘ついても嘘だって気がつかないの、ゆめだから?川でほっぺをつねる
わたしの孤独がすきなんでしょう 首の匂いかいだら消えていく現在地
コーラの泡がじょうずに吸えている夜のわたしの愛をみつけてみせて
★連作「リフレイン」(2023.5.31)
パーフェクトな焦土を可視化する作業 おれなら天国には行かないな
冒涜は希死念慮よりくだらない系譜を書き換える雨の部屋
深海魚に喩えておれを笑うとき鏡を赤い家族がよぎる
憐れむな おまえのために死んでいくおまえのために死ぬかよ 海馬
焼き鳥が不味くなるのを待ちながら中継の笑い声 リフレイン
回想と心中しないベランダで見る信号が脳より寒い
何度でも望んで植物を死なせたあなたがおれの新月だった
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