無料が主流の時代、自分の作品に値打ちはあるのか?
――コンテンツはどんどん無料になっていき、金銭的な値打ちを追求することに意味がなくなる時代がまもなく来るんだから、幸福度、満足度を追求した方がいいよね
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「無料が主流の時代、自分の作品に値打ちはあるのか?」というテーマで話していこうと思います。
◆値打ちが分かりづらくなった
これまではお金を払わないと楽しめなかったコンテンツが、今や無料で楽しめる時代です。月額制のサブスクリプションというスタイルも普及してきましたし、エンタメを楽しむときにお金を払うという感覚が失われつつあるなあと思いました。
映画館に行って映画を観るよりも、NETFLIXで観ればいいやと思う人は少なくありませんし、本屋に行き本を買って読むよりも、Amazonのkindle Unlimitedの中にある本を読もうと思う人もいるはずです。
それにくわえ、「ネットで購入」と「キャッシュレス化」の影響もあり、エンタメを楽しむために払うお金に「重さ」を感じることが皆無に等しくなってきました。
お金にまつわるバリアやストレスがなくなったというメリットはありますが、作り手(特にアマチュア)が自分の作品の値打ちを把握することが難しくなる時代が到来しているのではないかと思うのです。
◆自分の作品の価値
最近、本を出しました。
『Message』という小説です。成人の日に亡くなった青年が遺した「110」というダイイングメッセージの謎を解くヒューマン・ミステリーです。僕の20年分の想いを込めた力作をAmazonで販売することになりました。
まだ何者でもないアマチュアの僕ですから、Amazonで出版したところで注目されるはずがありません。端から期待はしていなかったので、noteの記事で毎日告知するし、他のSNSでも告知するし、僕の友達周りに手売りしていくし、あの手この手を尽くしているこの頃です。
そんななか、ふと立ち止まってみたとき、はたして自分の作品にはどれくらいの価値があるのだろう?と考えてしまう自分がいます。
これまでにいくつも温かい言葉をいただきました。おかげさまで涙が出るほど誰かの心を動かす作品をつくれたことを知ることができました。1人や2人の話ではありませんので、きっと多くの人の胸にちゃんと届く物語をつくれたんだと思います。
自分が世界一面白い本と思っていても、他人からすればただの紙の束かもしれません。どうしてもそういった不安はつきまとうものですが、作品を読んでくれた方々のコメントの全てを読んで、僕は安堵します。間違っていない。きっと大きな価値がある。そう信じることができるのです。
◆小説『Message』の価値
小説『Message』はAmazonでは1100円、手売りでは1000円で売っています。
観点をお金に絞って価値を判断するなら、
という式になるでしょうか。売り上げは価値を表す一つの指標ですから、あなどれません。
これからも手売りは続けていき、金銭的な価値を高める努力はしていきますが、僕の意識は別のところに向いています。作品を読み終わったとき、その読者の中にどれだけの価値を生むことができたのか。そこに用があるのです。
たくさん売れればもちろん嬉しいでしょう。ベストセラー作家なんて肩書を、いつか言われてみたいものです。しかし、僕が本当に幸せや価値を感じる瞬間は、読者からコメントをもらったときです。オフラインでもオンラインでもいいから、僕の作品を読んで、どんなことを思い、どこに心が動き、どんな風に考え方が変わったのか、それを伝えてほしいのです。
僕にとって、小説『Message』で価値を見出す瞬間はコメントをもらったときだし、コメントをするほど伝えたいことが生まれたわけだから、少なからず読者のなかにも価値が生まれたということになります。
さて、そろそろ今回の議題に答えを出しましょう。
「無料が主流の時代、自分の作品に値打ちがあるのか?」
◆これからの「値打ち」の意味
結論からいえば、自分の作品において、金銭的な価値はまだ小さいけれど、精神的な価値は今も確かにあると判断しました。もっと砕いていえば、実績はつくれていないけれど、読者の満足度は高い作品であるってことですね。
無料が主流の時代、創作をする上で特に重視すべきなのは、金銭的な値打ちではなく、精神的な値打ちでしょう。売り上げや売れた数ではなく、幸福度や満足度。分かりにくくて曖昧な物差しで作品の価値を測ることが求められてくると思います。
コンテンツはどんどん無料になっていき、金銭的な値打ちを追求することに意味がなくなる時代がまもなく来るんだから、幸福度、満足度を追求した方がいいよねって話でした。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
20220714 横山黎