見出し画像

初めて一次選考を通った日。

――僕の書いた作品が初めて一次選考を通ったのは、中学2年生のときでした。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

毎月最終日には、誰の目を気にすることもなく、自分の過去についてつらつらと語っています。10月31日を迎えたので、記憶の旅に出かけようと思います。


今回は「初めて一次選考を取った日。」というテーマで話していこうと思います。



🏨文学賞への挑戦記をはじめて

この10月の頭、そろそろ本気で文学賞を獲りにいくと決め、半年で10個の文学賞に応募すると決めました。忙しない日々の合間を縫って小説を書くようにしていたんです。

仕事も忙しい時期にこんな破天荒な挑戦を決めるものだから、だいぶ時間と体力の勝負でした。そのうえ、イマーシブ・フォート東京や仕立て屋のサーカスに行ったりしていたものですから、自らの首を絞めにいっているといっても過言ではありません。今日は今日で、大学院の授業にゲストティーチャーとしてお呼ばれされたりしました(笑)

仕立て屋のサーカス
イマーシブ・フォート東京
大学院で「桃太郎」の授業

やりたいことがたくさんあって宿題はいつも山積みだけれども、寝る間も惜しんで創作や自分の好奇心が手を伸ばす方へと動き回っていました。そんな1カ月を過ごしました。

ちなみにこの10月の成果を共有しておきますと、以下の通りです。

◯だれかに伝えたい小さな物語。
→『水面の花火』提出済

◯小さな小さな文学賞 VOL.2 第3回「ビールのある風景」
→『花火の幽霊』提出済

◯「ホラー&ミステリー大賞2」
→間に合わず未提出

◯書き出しだけ小説 第24回
→5作品提出

もちろんやると決めたからにはやりたいし、全部叶えるのが筋だけれど、生憎10月の時点でひとつの文学賞の締め切りに間に合わないという事態になりました。正確にいうと、間に合いそうだったんだけれど、WEB応募ができない公募だったので郵便局しまっていたから詰み、という何ともやりきれない幕引きでした。

約束を果たせなかったことに対する罪悪感はあるんですが、最後の最後までやれるだけのことはやったし、ずるずる引きずっていても仕方がないので前を向きます。くよくよしていても次に応募する公募の締め切りは迫ってくるだけですし。

そういえば先日知り合いから教えてもらった「アンデルセンのメルヘン大賞」という文学賞が良さげなので挑戦してみることにします。8000文字以内とのことですし、締め切りも1月10日ですし。

さて、そんな文学賞漬けの日々を送っている僕が今日どんな過去を語ろうかなと思いを巡らせたとき、自分が初めて社会的に認められたと感じた日に触れようと思い至ったのです。

僕の書いた作品が初めて一次選考を通ったのは、中学2年生のときでした。


🏨初めて一次選考を通った日

小学4年生の頃に読書を始めて、自分でも物語をつくってみたいと思うようになり、翌年頃から小説を書き始めました。その情熱は中学生になってからも変わらずで、時間を見つけて執筆していました。

中学1年生のときに初めて長編小説を書きました。『正義の在り処』というミステリー小説で、人を殺めた中学生と殺人事件を追う刑事の衝突から「正義」について考えさせられる物語です。

話の進め方もミステリー要素も未熟で誰かにおすすめできるような物語ではないのですが、ただ今の僕でも書くのに相当な手間を要するであろう枚数の長編を書き上げたことに、我ながらすげえな、と思います。これを読んでくれた親友が泣いたくらいには心を動かす物語をつくれましたしね。

そんな僕は次の年、中学2年生のとき、『王子の月』という作品を書きました。僕の地元の東京都北区で起きた殺人事件の捜査をする刑事の話です。この小説を北区内田康夫ミステリー文学賞に応募したところ、なんと一次選考を通過することができました。


🏨あの日夢見た輝きだけが…

北区内田康夫ミステリー文学賞は年齢制限が設けられているものではありません。ちゃんとデータを取ったわけではありませんが、印象として年配の方が多いイメージです。大人ばかりの公募に応募した自分の作品が、一次選考を通ったという事実に歓喜したことを今でも覚えています。

そういえばその日の翌日だったかな、ちょうど日直で、最近の近況をスピーチする機会があったので、みんなの前で一次選考を取ったことをしゃべったっけ。先生からもクラスメイトからも褒められたあの瞬間が、今の僕を形作ってるのかもしれません。

その後、僕は高校2年生のときに、同じ賞に応募した作品で奨励賞を獲ることになります。大学生になってからは一旦公募への挑戦をお休みして、自分の手で初めて本をつくり、届け、誰かの心を動かしにいきました。

奨励賞を受賞した日
初書籍『Message』を出版

そして今、僕は次なるステージに立つために、再び公募の道に舞い戻ってきました。

初めて一次選考を通ったあの日夢見た輝きだけが、何度も何度も僕の心を揺さぶり、この身体を突き動かすんです。

もちろん茨の道であることは分かっているけれど、これからも「売れる小説家への道」を愚直に踏んでいきます。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20241031 横山黎


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?