「明晰夢」を題材に物語をつくる。
――なんで僕が明晰夢に注目したかというと、それを、叶える方の夢に置き換えたとき、明晰夢とは、自分の意志で叶える夢と捉えることができます。自分で見たい夢を追いかけて、やりたいことに挑戦する。見たくない夢ならそこから逃げることだってできる。
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。
今回は「『明晰夢』を題材に物語をつくる」というテーマで話していこうと思います。
📚作家がゲストハウスの仕事を
僕は木の家ゲストハウスのマネージャーとして仕事をしています。茨城県水戸市上水戸にある宿泊施設で、普通の旅館やホテルとは違い、他の宿泊者の方々と寝室やリビングを共にする形で泊まっていただきます。一期一会の出逢いがそこにはあって、「交流」をひとつの価値として提供しているというわけです。
オーナーは宮田悠司さん。会社員をやめて100万円で世界一周の旅に出かけた宮田さんは、そのさなか、ゲストハウス事業を展開していきたいと思うようになりました。帰国後、地元の上水戸で祖父母の家だった空き家を再利用して木の家ゲストハウスをオープンしたのです。それが去年の2月のことでした。
現在は宿泊施設の数が7棟まで拡大しており、さすがに人手が欲しくなって、4月から僕ががっつり関わっているわけです。
大学生作家として活動していた僕が、どうしてゲストハウスの仕事をするようになったかというと、そこに物語の種があると予感したからでした。
ゲストハウスは人が集まる場所です。さっきも言ったように、旅館やホテルよりも「交流」が特徴的な宿泊施設ということもあり、時にドラマチックな出逢いが待っているんですよね。
ゲストハウスを舞台にした物語、特にミステリー小説はないなと思い、そんな作品づくりを見据えて仕事に向き合っているんです。もちろん他にもいくつか職業選択の動機はありますが、「作家」という視点では、それが僕を突き動かしたというわけです。
📚物語×ゲストハウス
自分がそういう作品をつくりたいからというエゴもあるけれど、自分の強みを活かしてゲストハウスの可能性を探っていきたいなという思いもありまして、最近でいうと、『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』をつくっています。これは、木の家ゲストハウスを舞台にした謎解き体験コンテンツで、宿泊しながら謎解きを楽しめるというものです。
僕の大学の後輩に、謎解きサークルをつくったしゅんちゃんがいまして、彼は謎解きイベントを開催したり、企業や組織から謎作成の仕事を受注したり、精力的に活動しているんです。
そんな彼と共同でイベントを運営していくことになり、それが『花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~』でした。物語は僕がつくって、謎はしゅんちゃんがつくる感じです。物語のあらすじは確定して、これからエンジンかけて詰める作業をしていきます。
こういうイベントをやろうと思ったのも、やっぱりゲストハウスという場所の魅力がそこにあるからで、上手く磨けば光を放つと信じているからです。
何度もいうようですが、僕は木の家ゲストハウスを舞台にした物語を書こうと思っていて、隙間時間にぼんやり思案したりしているんですが、昨日、「ああ、やっぱり書くしかないな」と思うことがあったので、最後にそれに触れることにします。
📚明晰夢を題材に物語を
ゲストハウスを舞台にするから、ゲストハウスならではのこと、ゲストハウスの親和性が高い要素を絡めたいなという思いが端からありました。ドミトリールーム、合宿、睡眠、枕、花火、BBQ……といったところです。なかでも僕が必ず絡めたいのが、「夢」でした。
これに関してはホテルや旅館にもいえることではありますが、あらゆる宿泊施設は眠る場所であり、夢を見る場所です。そして、それを理想や目標といった意味の夢にも置き換えると、ゲストハウスは叶えたい夢が生まれる場所といえるわけです。
つくろうとしているのは連作短編集なんですが、一貫している筋をつくっておきたくて、今回はそれが「夢」になりそうです。夢を見る物語。そこで、最終話は夢を絡めた話にしようと思っているんですが、探り甲斐がありそうなのは「明晰夢」でした。
明晰夢とは、夢を見ているときにそれが夢だと認識できる夢のこと。また、明晰夢を見られる人は、自分で見たい夢を見ることができるし、見たくない夢ならそこから抜け出すことができるんです。
で、なんで僕が明晰夢に注目したかというと、それを、叶える方の夢に置き換えたとき、明晰夢とは、自分の意志で叶える夢と捉えることができます。自分で見たい夢を追いかけて、やりたいことに挑戦する。見たくない夢ならそこから逃げることだってできる。
以上のことを踏まえて、僕がつくるのは、「就活がなかなかうまくいかず自身の将来に不安を覚えていた大学4年生が、木の家ゲストハウスでバイトを始め、そこでの出逢いや出来事を通じて、木の家ゲストハウスのマネージャーを志す物語」になりそうです。
なんとなくお分かりかもしれませんが、この物語には僕自身の実体験も絡めることができるので、より熱い物語になるのかなとにやにやしています。
さて、以前からこういう物語をつくったら面白そうだなとぼんやり考えていたんですが、昨夜、その予感が確信に変わりました。というのも、仕事終わりに宮田さんと夜な夜な語り合っていたとき、ひょんなことから「夢」の話になったんですが、なんと、宮田さん、明晰夢を見られる人だったんです。
自分で見たい夢を見にいけるし、見たくない夢から抜け出すこともできる。一度覚醒してしまっても、夢の続きを見たいなと祈りながら眠ると、夢の続きが再生される……まさかこんな身近に明晰夢を見られる人がいるとは思いもよりませんでした。僕が明晰夢の物語を書こうと思ってたいこともあり、その運命に驚愕しました。
もちろんまだ先のことにはなりますが、木の家ゲストハウスを舞台にした物語を早く完成させたい、そして、宮田さんに読んでもらいたいという思いが沸々と湧いてきました。
ちなみに、今日これからはしゅんちゃんの謎解きイベント。みんなで木の家ゲストハウスで持ち帰り謎を解こうというものです。イベント終わりにはまた少しミーティングができるはず。『花火の幽霊』の方も着実に進めていきます。
一応今日は休日なのに、僕は職場で、仕事のことを考えるようです(笑) でも、それを悪いようには受け止めていなくて、そもそもそれくらい思いを込められる仕事に就きたかった背景があります。どうせ長い時間かけて仕事と向き合うのなら、前のめりになって自分事として捉えられる仕事が良かった。仕事を始めて2ヶ月が経った今日この頃、あの日の自分の選択に、意味を与えることができている気がします。
木の家ゲストハウスで夢を見た大学生は今、同じ場所で夢のなかにいます。これからも夢を見続けよう。そんなことも思いました。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20240612 横山黎