【紙の動物園】母親の魔法ってすごい!
【#2】20210702
人生は物語。
どうも横山黎です。
このチャンネルでは、本、音楽、ドラマ、映画など、あらゆるものを題材に思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非最後まで読んでいってください。
今回は、ケンリュウさんの『紙の動物園』から考える母親の魔法について話していこうと思います。
『紙の動物園』って?
『紙の動物園』は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞という三つの賞を受賞した作品になっています。
三冠に輝いたのは、史上初らしいですよ。
世界的に評価された名作です。
先日公開されました「Arc」という映画がありますが、その原作者ケンリュウさんが書かれた本なんです。
まず!
『紙の動物園』というタイトル。
めちゃくちゃよくないですか?
「動物園が紙でできている?」
「どういうこと?」
その疑問から、気になってしまってこの本を手に取ってしまうのは、僕だけじゃないと思います。
一体どんな物語なのか、あらすじを紹介します。
アメリカ人の父親と、中国人の母親に育てられた主人公の「ぼく」は小さい頃、泣き虫でした。
そんな「ぼく」の心を宥めてくれたのが、
母親が作ってくれた「紙の動物」でした。
包装紙を折って、虎や水牛を作ってくれたんです。
特に、虎のラオフーは「ぼく」の友達でした。
母親が作った折り紙の動物たちは、命を吹き込まれたかのように生き生きと動き出します。
そんなある日、友達からスターウォーズのおもちゃを見せられます。
「おまえのおもちゃを見せろよ」と言われ、
「ぼく」は折り紙の虎、ラオフーを見せました。
しかし、友達は「ただのゴミだ」と酷いことを言い、しまいには、破ってしまいました。
それから、「ぼく」はスターウォーズのおもちゃをせがみ、母親とは仲が悪くなりました。紙の動物で遊ぶこともありませんでした。
「ぼく」が大学生になって就職活動で忙しくしていた頃、母親は癌を患ってしまい、残された命の時間はわずかとなってしまい……
という物語です。
紙の動物たちが動き出す!?
僕が印象的に思ったのは、紙で作られた動物の描写です。
先ほど言った通り、命が吹き込まれたみたいに生き生きと動き出すんですよ。
紙でできているから、そこに本当の命が宿っているわけではないので、動くはずないんですよ。
でも、動物自身が動くという表現が多くあります。
紙の虎が「ウォー――」と唸ったり、スズメにとびかかったりするんですね。
非現実的ではあるんですけども、何気ない日常にファンタジーをもたらす効果的な表現だと思いました。
それと同時に、「母親の魔法」の存在を描いていると思いました。
紙の動物たちが本当に生きているように動き出すのは、「母親の魔法」にかかっていたからだと思います。
その証拠に、
物語後半、母親が亡くなってから、
もう一度主人公の「ぼく」は、紙の動物たちと向き合うシーンがあります。
そこではこんな描写がされています。
紙の動物たちは動かなかった。
たぶん彼らを動かしていた魔法がどんなものであれ、母さんが死んで止まってしまったんだ。
母親の魔法
魔法というと、杖にまたがって空を飛んだりとか、物を動かしたりとか、そういう特殊能力みたいなイメージがあります。
非現実的な力のある魔法使いが、フィクションの中でよく登場しますが、現実の世界にも魔法使いはいます。
それは母親です。
母親は魔法使いです。
例えば、
子どもがその時考えていることが、一言も言わなくても母親には伝わっていたりします。
あとは、僕、今、一人暮らししているんですけど、たまに母親が訊ねてくるんですね。
で、久しぶりに母親の手料理を食べるんですけど、普段自分のつくるものとはやっぱり違うんですね。
同じメニューだとしても、なんか違う。
やっぱり母親のつくるものの方がおいしいし、不思議な魅力があるんですよね。
俗にいう「おふくろの味」を感じるわけですよ。
やっぱり、母親には特別な力があるなあって思いました。
そんな風に考えると、『紙の動物園』という物語の中で、紙で作られた動物たちが動き出すのも、納得がいってしまいます。
今度、母親に会ったとき、試しに紙の動物を作らせて、本当に動くのか実験してみたいなと思います(笑)
ということで、今回はケンリュウさんの「紙の動物園」について物語っていきました。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
横山黎でした。