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2. サービス(貢献)が相手の力を奪うとき

この記事は以下の記事の続きです↓


「サービス(貢献)」が実は「親切の押し売り」になっている危険

さて、このメサイアコンプレックスに関連してですが、ビジネスの世界で一般に行われる「サービス(貢献)」は、常に「親切の押し売り」となる危険をはらんでいるのではないか?と考えられます。

ビジネス、特に第3次産業では「サービス(貢献)」を行うことで顧客から対価を受け取り、その経済活動が成り立ちます。

ビジネスにおいては一般に焼畑農業のように顧客に一回売り切りを繰り返すよりも、その経済活動を存続させるために、「継続客」「リピーター」の獲得や「アップセル(既存顧客により高額な上位モデルの商品を買わせること)」を重要な目的に置く場面も多いとされています。

それら「サービスの継続購買者」を増やすための行動は、顧客に選ばれ続ける良いサービスを提供することへの動機付けにとなります。

そうしたこともあり、「サービスの継続購買者」を増やす行動は、「継続的に儲かること」と「社会的に良い行動」が重なるため、一見良い企業経営の指針とされることがあります。基本的にはこれは企業活動において多方面(株主、雇用者、社員、顧客、周辺社会)に対して良い行動指針であると思いますし、焼畑型のビジネスよりも良いものになる可能性は高いでしょう。継続的に購買されることを目指して日々研鑽を重ねることは世の中にまだ無い素晴らしいサービスを生み出す糧となりますので、基本的にその意義は非常に大きいと言えると思っています。

一方で企業社会の常識・現実から離れ、さらに踏み込んだ議論をしてみると、さきほど紹介した「メサイア・コンプレックス」に企業体が陥っていないか注意する必要があると思われます。

「継続客」の獲得・維持のための行動が本当に顧客のためになっているのか?を考えると、そこに疑問符がつくことがあります。

イメージが湧きやすいように例を挙げますと、法人向けサービスですと、コンサルティング等もそうですしWebサービスの提供、会計系・法務系の外注、などは、(もちろん多くの素晴らしいサービスがありますが)サービスを受ける顧客を「助けられる」立場として、顧客を低い地位(ランク)に閉じ込めがちな要素を持っています。例に挙げたサービスはごく一部であり、他にも多くの商品・サービスがこうした要素をはらんでいると思います。


顧客がそうしたサービスを自立した状態で使いこなせば利益となりますが、もしそのサービス無しでは事業/会社が成り立たない、もしくは生活が成り立たないという状態は、相手企業への依存状態であると言えます。この状況では、助言をくれる人に無自覚に付き従ったり、自分の頭で思考し、成長する機会を奪われているとも言えます。

ここで、サービスを提供する企業側の論理としては「サービスを継続的に買ってほしい」わけですから、営業の手法として意図的にせよ無意識にせよ「私たち無しではあなたたちは成り立ちませんよ」というメッセージを継続的に送っている場面に遭遇します。

これは、顧客との関係性の中で、顧客を下の地位(ランク)に位置付けることで自分たちのサービスの必要性を感じてもらい、買うことへと誘導している行為とも言えるでしょう。(何度も言いますが、意図的とは限りません。)


こうしたことを営業の手法・マーケティングの手法として、恣意的に行っている人/企業もいると思いますが、わざとではなく善意で、無意識に行っている人/企業も多くあると思っています。そうした企業は、メサイア・コンプレックス的精神を集団として持っており、「顧客が対価を十分に払うほど価値のあるサービスを私たちは提供している」「私たちはこのお客さんたちにとっての ” ヒーロー(救世主 / 不可欠な存在 など)” だ」とポジティブな自己イメージを持っていることがあります。

つまりわれわれには、自らの顧客への【貢献】を疑うことなく相手の力を奪う形のサービス提供を行ってしまう危険があるということです。

また、企業組織の中でこうした問題意識を持つ人がいても、その疑いを表に出すことは非常に憚られることがほとんどかもしれません。
企業の倫理として広く認められ、優先されるのは、「よりお金を稼ぐことで従業員や経営陣の生活・家族を守ること」だとされている影響で、その方針に反することは優先順位が低いことが多いでしょう。


では、真に倫理的なサービス(貢献)とは?

さて、それではこのような状況の中で、我々は本当に良いサービス(貢献)を生み、提供していくためには一体どのような考え方が必要なのでしょうか?

次回はそれについて詳しく見ていきます。



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ReiStott
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