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股関節の角度が変わると筋力も変わる?——動作分析のヒント
「足を動かすとき、どの筋肉がどれくらい働いているのか?」
こう聞かれて、すぐに答えられる人は少ないかもしれません。でも、歩いたり、しゃがんだり、ジャンプしたりするたびに、股関節の周りの筋肉は絶妙なバランスを保ちながら動いています。
例えば、階段を上るときと座った状態から立ち上がるときでは、股関節の角度が違いますよね。それに伴って、筋肉の働き方も変わります。特に股関節を曲げたり伸ばしたりすると、どの筋肉がどれくらいの力を出しているのかは意外と知られていません。
今回の記事では、「股関節の角度によって、筋力の発揮がどう変わるのか?」をわかりやすく解説していきます!専門的な話も出てきますが、できるだけかみ砕いて説明するので、リハビリやトレーニングに興味がある人はぜひ読んでみてください。
股関節周りの筋肉ってどんな働きをしているの?
股関節を動かす主な筋肉には、以下のようなものがあります。
• 腸腰筋(ちょうようきん):股関節を曲げる(屈曲)ときに使う
• 大腿直筋(だいたいちょっきん):腸腰筋と一緒に股関節を曲げる
• ハムストリングス(半膜様筋・半腱様筋・大腿二頭筋):股関節を伸ばすときに活躍
• 大殿筋(だいでんきん):お尻の大きな筋肉で、股関節を強く伸ばす
• 内転筋群(ないてんきんぐん):太ももの内側にあり、足を閉じる動作をサポート
• 中殿筋・小殿筋:横方向の動きをコントロール
これらの筋肉が、股関節の角度によってどんな風に力を発揮するのかを見ていきましょう!
角度が変わると筋力の発揮も変わる!
関節の角度によって筋力の出し方が変わることは、実験データからも明らかになっています。
例えば、股関節を10〜30度曲げたとき(屈曲)には、大腿直筋が強く働きます。でも、股関節を60度以上深く曲げると、腸腰筋の方がより強い力を発揮するんです。つまり、股関節の角度によって主役が変わるということですね。
また、ハムストリングスは股関節を伸ばす働きをしますが、これも角度によって変化します。股関節が深く曲がると、ハムストリングスは強い力を発揮しますが、逆に伸ばした状態では力が弱くなります。このとき、大殿筋が代わりに伸展の主役を担うんです。
ちょっとイメージしにくいかもしれないので、日常動作で考えてみましょう。
日常動作での例
① イスから立ち上がるとき
イスから立ち上がるとき、最初は股関節が深く曲がっていますよね。このとき、大腿直筋や腸腰筋が働きますが、立ち上がるにつれてハムストリングスや大殿筋が活躍し始めます。つまり、「座る→立つ」の動作の中で、筋肉の役割がスムーズに切り替わっているんですね。
② 階段を上るとき
階段を上るときは、股関節が30〜40度くらい曲がった状態から足を持ち上げます。このときは大腿直筋が主に働いています。でも、坂道を歩くようなとき、股関節がより深く曲がると腸腰筋の方が活躍するようになります。
筋力バランスの乱れがケガにつながる?
股関節の角度によって発揮される筋力が変わることを知らないと、筋力のバランスが崩れてしまうことがあります。例えば、「スクワットをすると膝が痛くなる」という人は、大腿直筋ばかり使っていて、大殿筋やハムストリングスの使い方がうまくいっていない可能性があります。
また、腸腰筋が弱いと、股関節を曲げる動作がスムーズにいかなくなり、腰に負担がかかることも。これは、長時間座っていることが多い現代人にとって特に重要なポイントですね。
まとめ
今回は、「股関節の角度が変わると、どの筋肉がどれくらい力を発揮するのか?」について説明しました。
• 股関節の角度によって、筋肉の働きが変わる
• 浅い屈曲(10〜30度)では大腿直筋、深い屈曲(60度以上)では腸腰筋が強く働く
• ハムストリングスは深い屈曲で力を発揮し、伸展位では大殿筋が主役になる
• 日常動作(イスから立ち上がる、階段を上る)でも、この筋力の変化が見られる
• 筋力バランスを崩すと、膝や腰に負担がかかることがある
次回は、さらに詳しく「具体的なエクササイズ」や「リハビリの視点から見る股関節の筋力バランス」について解説していきます!
股関節の筋力バランスを整えるエクササイズとリハビリのポイント
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