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立ち上がりの力学

こんにちは。理学療法士のまじぃです。

今回は『立ち上がり』について、力学的な観点から考えたいと思います。

『立ち上がり』は日常的に行われる場面が多い動きですが、効率的な動き方ができていないと、健康な人でも膝に負担のかかりやすい動きです。

この記事では、『立ち上がり』がどのように行われるのかを理解するのに必要な力学を解説し、楽に立ち上がる方法、についてお伝えしたいと思います。


この記事の対象

・『立ち上がり』について力学的かつ実践的に理解したい若手リハビリテーション関連職や学生さん

・足腰に不調があり、「立ち上がりが大変」と感じている一般の方

・立ち上がりを手伝う機会のある方(リハ職、ヘルパーさん、ご家族など)


地球上では重力から逃れられない

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当たり前のことですが、地球上で生活している以上は『重力』から逃れることはできません。

『重力』に関しては、ニュートンがリンゴが落ちるのを見て『万有引力』を見つけたという逸話は有名ですね。

『重力』を一言で言うと、物体が地球に引っ張られる力です。

『重力』に引っ張られるのはリンゴだけじゃなく、人の体も同様に引っ張られます。

人が地球上で生活するためには、この『重力』と上手く付き合わないといけない訳です。


重力とうまく付き合う

重力とうまく付き合うとはどういう事でしょうか。

つまり、重力を利用しつつ、重力の(体にとって不利な)影響を最小限にするということです。

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ここで必要になる概念として、『重心』の他に『支持基底面』というのがあります。

『重心』は聞き馴染みがあるかと思いますが、『支持基底面』ってあまり聞きませんよね。

この場合の『支持基底面』というのは、簡単に言うと、体を支えている面のことです。

重心から真っ直ぐ下に降ろした線(重心線)が支持基底面の中に収まっていれば姿勢を保つことができ(下図左)、重心線が支持基底面の外に降りてしまうと転倒する(下図右)ということになります。

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重力とうまく付き合うとは、この『重心』と『支持基底面』の関係を上手くコントロールすることに他なりません。


立ち上がりの重心と支持基底面

立ち上がるときの重心と支持基底面の関係はどのように考えたら良いのでしょうか。

まずは立ち上がりのスタートとなる、座った姿勢を考えましょう。

座った姿勢では、足の裏が床、お尻がイスに触れています。

この足の裏とお尻で構成されるのが座った姿勢の支持基底面です。

では、重心はどこにあるのでしょうか。

体の重さの大半は頭と体(体幹)に分配され、その重さの中心(重心)はざっくり体幹の中心に位置することになります。

つまり、座った姿勢では重心はお尻の上に位置しているということになります。

次に、立ち上がりのゴール、立った姿勢を考えましょう。

立った姿勢では、両足の裏が床に触れています。

この両足の裏と床との接触面が立った姿勢での支持基底面です。

そして転ばないためには、重心は両足の上に位置している必要があるということです。

つまり、立ち上がるためには重心をお尻から足へ移動させる必要があるということです。


楽に立ち上がるためには

てこの原理を覚えていますか?

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図のように、重さ(重心)が遠いよりも近い方が、弱い力で物を持ったり支えたりすることができるというものです。

下の図は、非常に簡略化していますが、体を横から見たところです。

〇が膝、▽が骨盤(腰)です。

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てこの原理から考えると、重心を膝に近づけるようにして立ち上がる方が、膝の負担を減らして立ち上がることができます。

よく立ち上がりの指導で「体を前に傾けて」とか「お辞儀するように」というのを聞きますが、本質的にはこの重心の位置が大切なわけですね。

お辞儀するようにしても、背中が曲がったりして重心が前方に移動していないと、膝にかかる負担は軽減できません。

実際に立ち上がってみて、重さがお尻に載っている状態と足に移動した状態を比べて、膝にかかる負担の違いを実感してみると体で理解できると思います。


まとめ

今回は立ち上がりという動きを力学的な観点、特に重心と支持基底面の関係から解説しました。

重心がどこにあるのかを体で理解することで、膝の負担を減らし、楽に立ち上がることができるようになります。

膝に不安を抱えている方は日々の立ち上がりの負担軽減に、療法士など立ち上がりを指導する機会のある方はより本質的な指導をするのに活かしていただけると幸いです。

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