【日記】ロッキンの心構え
カップルでフェスに来ている人たちは凄い。
いつも思う。
大変だろう。
女性は日焼け対策に、
メイク落ちないように……。
男性は自分の体力に頼っちゃいけない。
相手が付いてこれない可能性を
考えねばならない。
もちろん全力で楽しめばいいが、
最低限の気遣いは必要なのだろうな……。
と傍目に見ていて、彼らを尊敬している。
そう考えていた自分が、
よもや女性と音楽フェスに
行くことになるとは、
思いもしなかった。
「余裕もっていこうな」
「いや、一番最初のやつから全部見る!」
「体力的に大丈夫か。音楽フェス、初めてだろう」
「私は絶対大丈夫だけど、あなたは大丈夫?」
──なぜ人の心配する余裕があるんだ……?
「初めてだから、楽しみ切りたい!」
「まぁ。心がけとしては嬉しいが……」
今まで自分が捨ててきたものの大切さに、
こうなって気が付く。
車運転できればなぁ。
女性と様々な場所に
出かけた経験があればなぁ。
人は必要になって初めて、
己の不足を知り、
出来損ないに付けられた烙印に、
打ちのめされるのである。
しかし、一緒に行く当の彼女は笑顔だった。
「童貞だから頼りないけど、まぁ一緒に楽しもう!」
「うるせぇ」
そうだな。小難しいことはいらないか。
楽しめばいい。