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47都道府県を巡る文学の旅:各県を舞台にした小説を紹介!【中国・四国地方編】
こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!
シリーズでお送りしている、47都道府県を巡る文学の旅!
今日は中国・四国地方編です!北海道、東北、関東、中部、近畿をまだチェックしていない方は、こちらから読んでみてください!
北海道・東北地方編、関東地方編、中部地方編、近畿地方編
前回同様、ここに挙げた作品以外にも多くの素晴らしい小説があること、そして「それってその都道府県じゃなくね?」みたいな本があるかもしれませんが、そこは多めに見てください!
ではいきましょう!
鳥取県
乃南アサ『火のみち』
私の知る限り、近代の小説で唯一、鳥取が舞台になっている小説(松本清張を除く)。逆に言うと鳥取はこれしかないと思います。
妹を守るために男を殺した主人公。彼の感情をなんとかさせたのは、刑務所内での刑務作業で出会った備前焼だった。冷たい土を練り上げていると、嫌なことを忘れられた。刑期を終えたあとは匠に弟子入りし、その道を着実に歩んでいく。一方、妹の君子は女優として成功を収めつつあった。そこから物語が発展していきます。鳥取を知りたかったらこれを読むしかない!
島根県
川上健一『渾身』
島根の隠岐諸島を舞台にした小説。閉鎖的な島がいやになって、結婚式をドタキャンして逃げるように島を飛び出した主人公。だが、妻ができたので島に戻ることを決意。閉鎖的な島社会の中で子供も生まれたが妻が死んでしまう。周りの人の温かさに支えられ、妻の親友であった女性と再婚する。
少しでも皆に認められたいと相撲を始め、20年に一度の遷宮相撲の最高位である正三大関に推挙されるまでになる。夜を徹して島中の人が見守る中で行われる300番にも及ぶ取り組みの最後に、主人公は地区の名誉や家族の思いを背負って土俵に上がる物語。
岡山県
原田マハ『でーれーガールズ』
岡山県岡山市が舞台の小説。1980年代と現代の2つの時代の岡山市が舞台になっています。ちなみに作者の母校がモデル。
40代半ばの主人公の元に学校の同窓会から、同窓会の誘いを兼ねた記念講演の依頼状が届く。懐かしい地に降り立った主人公は、その光景に遠い昔を断片的に思い出していく。東京から岡山へと引越し、新しい暮らしに馴染めずに友人などいなかった高校時代。そんな彼女に知らず寄り添うようになったクラスメートとの思い出を。
青春を共有する2人の「かつての少女」は、その記憶に淡き日々を鮮やかによみがえらせるストーリー。
広島県
今村夏子『こちらあみ子』
全体で広島が舞台になっている小説。少しトラブルの多い、小学校に通う女の子。ある日、妊娠中だった母が死産してしまったところから物語が始まります。
その女の子は、「弟の墓」を自宅の庭につくります。それまで気持ちを押さえていた母は、墓を見て泣き叫び、以来、何も出来ず寝て過ごす状態になってしまいます。兄も暴走族になった。そこからめちゃくちゃでカオスな家族の物語が始まります。
山口県
平野啓一郎『決壊』
山口県の宇部市が舞台の小説。妻と子どもと3人で平和な家庭を築いている主人公。兄は国立国会図書館に勤務する、エリート官僚の卵。ところが主人公は、ネット上の自分の日記で、兄へのコンプレックスを表明し、家族への不信感をあらわにしていた。それをたまたま妻は発見し兄に相談する。すると主人公の日記に、『666』なる人物からの書き込みが現れる。
そのあと大阪に出張に行ったとき、主人公は行方不明になり、その後、遺体となって発見されてしまいます。兄に容疑がかかるが、意外なところから真犯人が判明する。今のネット時代のあくどさがうまく描かれている作品。なぜ作者は舞台を宇部市に、山口県にしたのでしょうか?
徳島県
『眉山』宮尾登美子
近代に書かれた徳島を舞台とした小説は私の識る限り、これひとつしかありません。しかもさだまさし。彼は小説も書いているんですね。徳島市の眉山をモチーフにした小説。
ふるさとの徳島県を離れて都会に出ている主人公は、母の入院先である病院から知らせを受け急いで帰る。医師からあと数ヶ月の命と言われ、母を看取ろうと決心した矢先、母が「献体」を申し込んでいたことを知らされる。
どうして献体なのかと疑問を持った主人公はある人物から呼び出され、母からの「人生が全部詰まった箱」を渡される。やがて主人公は会ったことのない父の存在と、母の想いに辿り着く物語。
香川県
村上春樹『海辺のカフカ』
八日目の蟬と迷いましたが、みんな映画もドラマも見まくってるし、今更書いてもな、ということで村上春樹にしました。物語にでてくる図書館が高松にある架空の図書館であり、でてくる人物がみんな高松のこの図書館に集まってきます。
香川の独特の雰囲気が一番よく出ていると思う小説。私はこの小説を学生のときに読み、実際に行きたくなり、数週間だけ高松に住みました。笑
まあ、こちらの作品はほとんどの方が読んでいるとは思いますが、もしまだ触れていなかったら最近Kindleにもなったので是非!
愛媛県
宇佐美まこと『入らずの森』
いまさら夏目漱石の坊っちゃんを紹介してもな…ということで、あえて皆さんが知らなそうなものをピックアップしました。
高知との県境にある愛媛の尾峨(おが)というところが舞台の小説。ここにある中学校に東京から赴任してきた主人公。彼は事故で、アスリートとしてのキャリアに終止符を打った過去があった。
転校生が来たけれど、ある理由から尾峨の地を嫌っていた。肩まである髪を金色に染めている転校生を、苦々しい気持ちで見ていた。そこに農業を営んでいる男も登場。無関係だった3人が不入森(いらずのもり)で交錯したとき、思わぬ出来事が起きる。
高知県
宮尾登美子『櫂』
高知の下町が舞台の小説。自らの父母をモデルに、大正から昭和初期の高知の花街を舞台に、15歳で渡世人に嫁いだ女のひたむきな生涯を描いた物語。
飛び込んだ先に男がいて、ふたりとももがいて頑張るんだけど、生まれ育った環境の違いから、二人の関係は破局へと向かってしまうストーリー。
龍馬がゆくとか功名が辻も高知ですよね。最近の小説では、高知が舞台のものは少ないので、もし小説を書くのなら高知がおすすめ!
まとめ
最初にも言及しましたが、ここで紹介した小説は、各都道府県の文学的な魅力を垣間見るための一つの入口に過ぎません。
各都道府県には、その土地の歴史や風土、人々の暮らしを鮮やかに映し出す小説が数多く眠っています。ぜひ、この機会にあなたの興味を引く地域の作品を手に取り、新たな文学の世界へと足を踏み入れてみてください。
地元の書店や図書館を訪れるのも良いでしょうし、電子書籍リーダーを活用して気軽に読書を楽しむのもおすすめです。
小説を読むことで、まだ見ぬ土地の風景を思い描き、そこに生きる人々の心に寄り添い、そして自分自身の内面を見つめ直すことができると思います。
それは、日常を離れ、新たな発見と感動に満ちた、忘れられない旅となるはずです。
あなただけの文学の旅を始めましょう。
ページをめくるたびに広がる豊かな世界が、あなたを待っています。
追記
全都道府県完成しました!こちらのリンクから。
北海道・東北地方編、関東地方編、中部地方編、近畿地方編、中国・四国地方編、九州・沖縄地方編
【編集後記】
本を全く読まない人が国民の6割を超えて、本屋が倒産しまくっている現状を踏まえて、このnoteは「ひとりでも多くの人に本を読んでもらうこと」を目的としています。ですので、全ての記事を無料で誰にでも読めるようにしており、有料記事は一切公開していません。
ただ残念ながら、そろそろ新しい本を買う予算がなくなってしまいました。もし次回の記事も読みたい方がいたら、リンクから何らかの商品を買っていただくか、以下の「🎁活動を支援する」から応援いただけますと幸いです。投げ銭で応援していただいた方で、note記事を書いている方は、次回の記事のさいごに『謝辞』として、全力でnoteを紹介する記事を追加させていただきます。
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