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新・チェスのレシピ #21 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために
相撲では自分の形があると強いと言われます。相撲をやったことがないので自分の形があるとどれだけ有利なのか実感としてまるでわかりませんが、チェスでは確かにそれは言えることだと思います。
「チェスのレシピ」では、先手(白)でひとつ、後手(黒)でふたつの形(序盤戦術)を持っていたほうがいいということを以前書きました。後手番の場合、相手がどう指してくるか事前にわからないわけですので、自分の形をふたつ持っているとだいたい対応可能です。
一方、先手番の時には好きな戦型を選べるので、その戦型を事前に深く研究しておくことができます。具体的には、ある戦型の少なくとも中盤過ぎまで頭に入れておくと勝率がグッと上がります。
中盤過ぎまでのあらゆる変化に対して準備しておくことはなかなか現実的ではありませんが、この局面ではこれかこれ、別の局面ではあれかこれ、といったふうにある程度は的を絞った研究ができますし、それで十分です。
「チェスのレシピ」と「新・チェスのレシピ」では先手番の例としてクイーンズ・ギャンビットを取り上げることが多いです。他にも優れた序盤戦術(定跡)はありますが、どういうわけかクイーンズ・ギャンビットを採用すると相手(黒)が序盤から緩手を指してくる割合が多いです。
ということで下の局面をご覧ください。
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クイーンズ・ギャンビットに指し慣れてくると、この段階で「おお、急戦がはまりそうだな」とわかります。老練な白ならば(そんなに老練でなくても)ここでもう詰み(メイト)まで見えています。黒はそれをこの段階で察知して今後の手を指さないといけませんが、そうしてくるプレイヤーはごく稀です。
白は上の局面で次にe4と突きます。放置しておくと次にビショップとナイトの両取りが掛かってしまうので黒はどちらかを逃げます。すでにこの段階で黒は押し込まれている状態です。しかしながら白の真の狙いは両取りではありません。
もう少し進んだ進行例が下です。
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この段階でもまだ黒は自分のキングに詰み筋が発生していることに気づいていません。というか、気がついていないから、こういう手を指してくるわけです。次に白はビショップのサクリファイスからいよいよ黒のキングを追い詰めていきます。
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これを取ると、白からの手だけいうとNg5、Qh5で黒はほぼ受けなしになってしまいます。取らないで逃げてもやはりNg5ときます。よって黒は詰まされないためにはどちらの場合でもこのg5のナイトをクイーンで取らないといけません。それがさらに負けに近づくことだと理解していても・・・。
クイーンズ・ギャンビットに限らず、どの序盤定跡でもかなり深くまで事前に研究しておくことができます。自分の好きな序盤定跡で自分の形を作ってみてください。どの定跡を採用するにしても、その形に慣れる(習熟)することで、相手の小さなミスも鋭く感知できるようになります。多くの定跡を知るのも面白いですが、実践的にはひとつかふたつの定跡の専門家になっておいたほうが勝ちやすいだろうと思います。
今回ご紹介した手筋はなにもクイーンズ・ギャンビットに限ったことではありません。それについてはまたいずれ。