折々のチェスのレシピ(藤井聡太新名人誕生に寄せて)
特になんの説明も不要な一手詰めの局面です。
黒のBg4までで勝ちです。誰にでもわかる局面です。
なのになぜ、この最終局面を今回ご紹介するかといえば、将棋の藤井聡太新名人の見事な棋譜をこれまでに何度も見た時に、必ず上のチェスの棋譜を思い出すからです。
黒の各駒の配置を見てください。黒の駒はすべてが紐づいており、c1のルークは白のキングの下への逃げを防ぎ、e6のビショップは白のポーンのそれ以上の前進を阻止しながら、最後の決め手になっています。
白もこの後もし手が巡って来ればQxh7としたいのでしょうが、残念ながら手が回ってくることはありませんでした。
チェスの終了図としてこんなに綺麗な例はあまり見ないので今回ご紹介しました。
ギリギリまで攻めさせておいて、きっちり決めるあたり、まるで藤井聡太新名人の将棋を見ているかのようです。お互いに大駒を残しながら、こんなに華麗な詰み筋はなかなか実現できないものです(チェスを指す人にはわかると思います)。