赤ちゃんと幽霊の日記
赤ちゃんが産まれてから児童館に行くようになった。
赤ちゃんしかいない日を狙っていくから、部屋の中には寝転がっている赤ちゃんとママしかいない。
ママ同士で話をして、時々赤ちゃんが「うー」とか「あーーい」とか言って参加する。世界で一番の穏やかな風景の一部に自分もなっているかと思うと自然と顔の表情筋が緩む。
今日の会話の中で「何もないところをジーと見て赤ちゃんが笑うのは幽霊が見えてるのではないのか。」という話になった。共感するママが多かった。
赤ちゃん達はうー、とかあーーー、とか、甲高い声でうぁぁあああーーい、とか言っている。
「ご先祖様でも見えてるのかな。」
「大人になると幽霊見えなくなるのかな。」
赤ちゃんの合いの手の「うーーーわい。」
「喋れるようになったら、そこに人がいるよ、とか言うのかな。」
「それは怖いね。」
そんな話の最中に突然、1人の赤ちゃんが天井をジーと見て笑い出した。
周りにいたママたちは反射的に「今、笑った!かわいい!」と口々に言った。
赤ちゃんが笑った先には何も無かった。
赤ちゃんの周りにはにやけっぱなしの大人がいた。
やはり、世界で一番、穏やかな風景だった。