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働くことと雇用されること

物理的にもどこの地域でも働くことができるようなりつつある今、「働く」ということの意味について改めて考えている人は多いのではないか。

最近、自分の職場でも、親の介護を理由に退職されたという方のニュースを聞いた。

今の時代であれば、遠隔でも働く環境を作ることができるだろうに。

どういったやり取りが本人と組織、あるいはご家族との間にあったのか詳しくは分からないが、その知らせを聞いて何ともいえない気持ちになった。

そんな中、若林恵さんが書かれていたコラムを編集し直した「さよなら未来」の2013年に書かれていた『本当の「未来」が始まる』を読んでいて、その慧眼に改めて驚いた。

2013年に書かれた記事でありながら、今読んでも全く古い感じがしない。

むしろテレワーク時代、ギグワーク時代において現在語られていることの本質が既に考察されている。

オンライン上で様々な仕事を行えるようになった今、例えばプロジェクトベースで自分の得意なスキルを提供しながらフリーで働くという人は増えてきている。

雇用されていた時よりも競争環境は厳しくなるが、自分の価値をよりクールな目で見直すことができるようにもなる。

また、これまでは一部の人にしか認められていなかった仕事が、その他大勢に開放されていく可能性もある。

これからの「働く」は、自分が生み出した価値によって、価値づけされるものになる。

と若林さんは当時コメントされているが、まさにそうなりつつあるのが今かもしれない。

一方で、「雇用」によって守られていた「働く」から、自らの「価値」創出によって「働く」時代への移行は始まったばかりともいえ、まだ乗り越えなければならない課題は多くありそうだ。

冒頭の介護離職された方のケースでいうと、果たしてその方は退職された後にすぐに仕事が見つけられるのだろうか、という心配もある。

意図せざる退職、望まざる退職を強いられてしまった方のセーフティネットとして、何かしらの施策は考える必要があるのだと思う。

今朝の日経の記事で、医療、IT部門へ人材転換を進めていくための施策が国の方でも進められるという記事が一面で取り上げられていた。

コロナ禍において職を失ってしまった人への救済措置+政府の成長戦略に繋げるということが狙いのようだ。

労働の需給バランスを取っていくために必要な施策なのだと理解できる一方で、若林さんが言うところの、本当の意味での「働く」を実現するためには、まだまだ乗り越えなければならない壁はありそうだ。

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キダッチ
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