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集真藍か紫陽花か(写真;袋井市Jさんの提供 )

あじさい(集真藍から紫陽花へ)の季節

むらさきに染まる雲あり「紫陽花」は
こんな空から生まれた漢字       俵万智

紫陽花やきのうの誠 けふの嘘     正岡子規

芭蕉を覗くと
紫陽草や 帷子時の 薄浅黄
紫陽草や 藪を小庭の別座敷 の2句がある

歴史をたどれば
奈良時代万葉集にある大友家持の最愛の人に送った恋歌(相聞歌)が光る
こととはぬ
きもあじさい(味狭藍)の
もろとらの
ねりのむらとに
あざむききたる

紫陽花は日本原産の山アジサイや額アジサイが基本
関東の海岸地帯で咲けば浜あじさい野山にあれば山あじさい
万葉の昔から歌われているようだが

源氏物語や枕草子には登場しない
紫式部や清少納言の宮廷文化には山アジサイや浜アジサイは無縁であったのか
同じ平安時代でも藤原俊成・定家親子は詠んでいる

江戸時代に入り上記の芭蕉の句からは
薄浅黄の草と表現されている
まだ野草の一種で目立たない模様
薄浅黄は武士にとって死装束の色でもある

武士の社会では色の変化は好まれまい
(武家社会の本家である鎌倉、そのお寺さんの紫陽花ブームは
武士の七変化好まずと如何に調和したのか興味深い)
江戸期椿と違い今ほどのブ―ムは起きないゆえんだ

やはり幕末に活躍した世界から資源を集めまくったプラントハンターたちの
活躍を待つしかない
シーボルトや前任者たち
オランダに園芸協会を作り品種改良を進め、世界に広めたことには感謝
学名に愛人のお滝さんOTAKUSAの名を入れようと尽力した話ほっこりもの。

先述した俵万智さんの一首が
漢字に触れたので
みなさんご存じのお話を書く
古の中国
白楽天が当時名もない香りの強い無名の花に「紫陽花」と
命名した(聞けばライラックのことだった由)
その後日本の学者の源順さん
三十六歌仙のお一人でもあるが
日本原産ガクアジサイは香りは強くないだろうに
紫陽花の漢字を当てたとある
その心は???

今ブームになっている紫陽花は
海岸地帯や野山に昔からあったガクアジサイ
ヤマアジサイから発展したホンアジサイ(手毬咲)が中心になってる

園芸種も年々増えており園芸家たちの腕の見せ所で
われわれを楽しませてくれている。ありがたいことだ。
観賞用もアナベルまで紹介されると息をのむ。

さて先述の正岡子規の句は
彼が凝ったという花街の出来事か
人の世の花々の嘘誠の面白さよ

大和の国
桜が終われば、つつじを経て紫陽花の季節入り
なんと豊かなお国であることよ

「思いきり 愛されたくて駆けてゆく
六月、サンダル、あじさいの花」
俵さんの佳句で締めたい

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