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今後読んでいきたい作家及びジャンル②
最近Instagramで流れてきた中国ドラマ「化龍」の広告の映像を見て続きが気になりすぎて人生で初めてTikTokをインストールして全話見また。短くて見やすいのと「半沢直樹」の様な逆転シーンがあって面白かった。赤江ルリ役の女性のビジュアルがえぐかった。
今回は割とエンタメ(だけどそれだけじゃない)作家が多め。
・森博嗣
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自分がミステリー作家のシリーズ物で一番追って読んでいるのが森博嗣の上記のシリーズである。上記一覧は作成者さんにDMをしたところ、掲載を快諾して頂いたばかりか、最新版を下さり、大変感謝。2025年現在、次は『人形式モナリザ』を読む所で止まっている為、まだ序盤も序盤である。有名なのは勿論『すべてがFになる』であろう。この作者は工学博士の学位を持つ元助教授である。理系出身であり、よくこのシリーズは理系ミステリーと評される事もあるが、文系の自分でもなんなく読み通せたどころか、自分にはない論理的な視点で本質をつく登場人物たちのセリフにハッとさせられる事が多かった。
例えば、以下のやり取りを見て欲しい。
「先生は、女性が社会に出て仕事をすることを、どう思われますか?」
(中略)
「どうも思わないね」犀川は返答する。「そもそも、男女平等と職業とは無関係だ。つまり、男と対等になるために、仕事をするなんてナンセンスだと思う。それでは、仕事をしている者が偉いという、馬鹿な男が考えた言い訳を認めることになる。いいかい。仕事をしていても、遊んでいても、人間は平等だ。問題をすり替えてはいけない。」
この作品が世に出たのは1997年である。現代でこそ違和感のない文章であるが、当時この考え方の人間がどれだけいたのだろうか。森博嗣のミステリーはミステリーもとても面白いのだが、事件の枠外のこういうシーンや会話が軽快洒脱で面白い。そして、この作者は刊行ペースがえげつない。上記に挙げた作品群以外にも剣道が題材のシリーズやスカイクロラシリーズ、エッセイも何冊も書いており、シリーズでない単発作品も含めると非常に多作である。昔の登場人物が後のシリーズにも登場するなど、世界観を共有しているため、読んでいく甲斐もあると思う。
・フィリップ・マーロウシリーズ
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フィリップ・マーロウとは私立探偵である。時にはとても身体を張るし、時には恐ろしい相手の脅迫にもタフガイな態度で応じる。ジャンルでいえばハードボイルド物だろう。私立探偵といっても、日本のそれとは違い殺人事件が起きて犯人を観衆の中当てるものではなく、職業的な探偵であり、引き受けた依頼から厄介ごとに巻き込まれたり、手を引けと脅されたりといったパターンである。翻訳は村上春樹のものを読んでいるが別の翻訳もある。
村上春樹がこのシリーズを愛してやまない事は解説からも分かるが、なんといっても作品に漂う哀愁や切なさの滲む終わりを感じるようなシーンがあり、読んだ後の満足感が大きい。上記の画像の左から三冊を読んだが、気になった人はこの順番で読んでみる事を推奨する。気を付けなくてはいけないのが、翻訳順(刊行順)が読む順番とは限らない。(これは大人の事情によるものだと思われる。)
このシリーズも、ミステリーに重きを置いてどんでん返し!というよりは先に述べたように枠外の会話や文章を楽しめる、小説としての面白さが備わっている。レイモンド・チャンドラーは生活のために短編小説を新聞に投稿し、それらを組み合わせて作ったのがこのシリーズである。日本の文豪もそうだが生活がかかっているとやはり凄いものが生み出されるものである。っ現代の作家は色んな媒体で稼ぐ事が出来るが、ペン一本で執筆だけで生きていた作家達は本当に凄い。
・フィリップ・K・ディック
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今回の最後はフィリップ・K・ディックである。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』というタイトルは聞いた事はあるものの、どんな内容か説明できる人はそんなにいない気がする。映画「ブレードランナー」の原作なのも有名だと思う。かくいう私もディックは『トータル・リコール』という短編集しか未だ読んだ事がない。
では、何故読んでいきたいかというと上記の表紙の雰囲気で約30作品がハヤカワ書房から翻訳されており、以前はメジャーな作品のみ翻訳出版されていたが、ここにきてマイナーな作品も刊行され数が増えてきている。このまま狂ったように翻訳出版して頂きたい。
ディックの小説を説明する際によく用いられる言葉で、「ディック感覚」というものがある。これは、何かしらの理由で主人公だけが普通の現実が崩壊した事を感じて悪夢を感じるというものであり、単に気が狂っているというものではない。まだそんなに読んでいないので上手く説明できないが、ディックの作品群もいつかマラソン企画をしていきたいと思っている。
今後読んでいきたい作家及びジャンル③へ続く