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映画『デッドプール&ウルヴァリン』感想

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R-15+指定


レガシー


 待ってました! 遂に来た! フォックスがディズニーに買収されて……

とまぁ、詳細についてはネット等で調べて頂いた方が手っ取り早いかと存じます。『デッドプール』シリーズの第三弾である本作は、フォックス版から引き続きライアン・レイノルズが主人公・デッドプールことウェイド・ウィルソンを演じ、おまけに同じくフォックス版にてウルヴァリンことローガンを演じていたヒュー・ジャックマンが同役として出演。もぉ、鑑賞前から既に “最高” の気配しかしなくて笑。


 周知の通り、第四の壁へ語り掛けるという特徴があるデップー。加えて、配慮なしの下ネタやグロ・ゴア表現飛び交う作風。にも関わらず大人気という無双ぶりは、まさしく不死身の肉体を持つ彼よろしく、エンタメ的にも無敵のキャラクターなんじゃないかと思わされます。
 そういったことも含めて、(もう何年も前のことですが)シリーズ第一作目の映画『デッドプール』感想文の中で彼の事を “許されし者” と形容したことがあります。特有の免罪符を手にする彼ならではの “なんでもアリ” 感は本作でも健在。しかも、ただハチャメチャなだけではないのもミソ。ユーモアも、興奮も、感動も、サプライズも、何もかもがデップーだからこそ可能なものに思えてなりません。



 近年で言えば、例えば『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『マトリックス レザレクションズ』等々、マルチバースなど別の世界線と繋がっている物語、或いはメタ認知や俯瞰視を誘発する世界観だからこそ可能な、当該作品の枠を飛び越えたような描写が光る映画も存在しています。
 けれど、それらはあくまでも同シリーズや同名作品について触れるのみ。あと他にも『レディ・プレイヤー1』や『シュガー・ラッシュ』など、色んな作品の登場キャラクターが無節操に入り乱れることとかもありましたが、それぞれの大本の作品自体に干渉することまではありませんでした。

 無論、以上ようなのクロスオーバーなども凄まじい事態ではあるのですが笑、それらが霞んでしまうほどの “なんでもアリ” を、本作は見せてくれたんじゃないかな。作品やシリーズどころか、20世紀フォックス丸ごとイジるだなんて、彼にしかできない、許されない。これから色々と能書きを垂れていきますが、小難しいことは抜きにして、もうただただ、そのユーモアをシンプルに楽しむというのも、本作最大級の醍醐味のはず。

 本作と同じくショーン・レヴィ監督作の『フリーガイ』もそうでしたが、あれもこれもと要素が詰まっていながらも胃もたれしない感じ……何て言うんでしょう、そんな映画的な交通整理力があってこその面白さなのかな? (これまた『フリーガイ』同様、クリス・エヴァンスの活躍ぶりも最高でした笑)



 さて、そんな本作について。劇中のセリフでも出ていた言葉ですが、本作はまさに、〈レガシー〉というものを際立たせてくれる。

 本来、いや「個人的には」かな? やはり映画を楽しむのであれば作品の世界観に没入してこそ堪能できるものでしょうが、第四の壁に向かって話しかける等の特徴故に、本作ならびに本シリーズは、観客の意識が映画の外の世界にまで広がるよう仕向けられている気がします。いやむしろ「ケビン・ファイギが~」「フォックスが~」などと、物語の世界線よりも高次元の話を平然と口にする本作において、「意識するな」という方が土台無理な話w。


 ということで、本作はデッドプール以外についてのネタもたくさん飛び交うわけですから、大なり小なり過去のアメコミ映画についての知識があった方が楽しめるし、彼の不謹慎さを存分に味わえると思います。

 序盤、いきなり墓荒らしから始まり、開始早々に『LOGAN ローガン』の思い出はめっちゃくちゃ笑。その後に登場する様々なサプライズキャラクターたちに対しても、冷や水をぶっかけるかのごとく余計なことを言い放つ。知っているかどうか、その違いだけで各シーンがユーモアに化けたりサプライズへ変貌したりする。

 ……とは言うものの、僕自身、よく知らん要素はいくつもあったし、その上でも十分に楽しめたので、この手の知識が無くても然して問題は無さそうです。逆に言えば、それほどにデッドプールというキャラクターが魅力的ということかもしれません。



 とまぁ各所でふざけているだけに見えるものの、実はピュアな側面が多いのも彼の魅力の一つ。そんな “彼らしさ” が、本作それ自体にも反映されていたように思えてなりません。

 同じく不死身だと思っていたローガンの墓を荒らす行為は、終焉を受け入れたくない心情の表れのようだし、「友人たちを失いたくない」という想いも、過去のフォックス作品たちに向けての言葉にも感じられてしまいます。

 また、フォックス時代のヒーローたちが身を挺してウェイドを援護する流れも、彼らがいたから先へ進めること——これまでの作品たちの歴史があった上で、これからのシリーズも紡がれていくこと——を示していたかにも見えてくる。それは物語上としての繋がりではなく、映画文化や撮影技術など、アメコミヒーロー映画が紡いできた歴史を含めてのこと。まさしくレガシー。照れ臭いのか何なのか、忘れ去られたキャラいじりの中に、暗に示される感じが、先述の “彼らしさ” に思えてくる。映画の外の世界にまで意識が向く本作だからこそ、各登場人物やワードの一つ一つが、何らかの象徴やメタファーとして機能しやすくなる。『デッドプール』ならではのリスペクト表現なんじゃないかな。

 そして何より、実は仲間想いな男はデップーだけではなく、もう一人いる……。まさにタイトル通りの面白さ・見応えが存分に詰まった一本でした。


【関連作感想文】
映画『デッドプール』感想|どいひー映画日記 (note.com)
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映画『デッドプール&ウルヴァリン』感想 | 記事編集 | note
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