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映画『ディナーラッシュ』感想
予告編
↓
過去の感想文を投稿する記事【66】
先日投稿した、映画『ボイリング・ポイント/沸騰』感想文の中でも述べていたことなのですが、あらすじだとか予告編を観た限りでは「なんか『ディナーラッシュ』みたい映画なのかな?」と思わされたんです。……まぁ結果的には違ったんですけどね。
そんなこんなで久しぶりに思い出した映画『ディナーラッシュ』。この感想文もだいぶ前、学生の頃に書いたものでして、当時はまだ手書きで感想文を書いていたのもあって、見つけ出すのに割と時間が掛かりました。整理も何もせず、テキトーに押し入れの奥に仕舞い込んでいたのが良くなかった笑。当時は「こりゃ “めっけもん” だ!」だなんてハシャいでいたのですが、僕が知らなかっただけで、レストラン映画の名作なんですってね。
実は明日6月25日(日)にWOWOWで放送予定らしく、ちょうど良いので投稿しようかと。温かい目で読んで頂けたら嬉しいですー。
洒落てる
こんな映画があったとは! こういう出逢いがあるから映画はやめられないです。作品自体の知名度は高くない(と思う)ので、有名な俳優が出ているとか、とてもお金が掛かった作品であるとか、そういう短絡的な探し方では出逢えない……。なんていうか、「オレはこんな隠れた良作知っているんだ」みたいな “見つける” とか “発掘する” 喜びがあります。
物語の面白さも然ることながら、全編に亘って散りばめられているオシャンティ(笑)な魅力の数々が観ていて楽しい。とても小さいところだけど例えば、
(客)「ピスコ・サワーある?」
(店員)「(小さくはにかんで)いい酒だが扱ってないんだ」
↑
このやりとりとかね笑。字幕の都合だとか翻訳にもよるでしょうけど、“いい酒だが” の一言だけで印象がガラリと変わります。この店員がカウンターのお客さんたちと楽しむクイズ勝負も見どころ。
一番好きなのは、お店の営業中に停電が起きるシーンです。明かりが点かない、というレストランにとって致命的なアクシデントすらも粋に対処してしまうし、もっと言えば、そんなお店の計らいに応えるオーディエンスの粋なことよ。指笛を鳴らしたり賛辞の拍手を送ったり……。日本には根付いていない文化とか国民性って言うのかな? に笑ってしまいます。
勿論、本作はレストランが舞台なので、料理に関わるシーンもたくさん出てきます。ファミレスの厨房でバイトしていた頃が懐かしいなぁ。大学に入る前はジョナサンでバイトしていたんです。まぁそんなことはさておき、色んなトラブルとかが重なって、料理の提供に遅れが出始め、厨房が一丸となってディナーラッシュを捌いていく。一段落した時に、ウード(エドアルド・バレリーニ)から感謝されて「シェフらしくもない」と返すダンカン(カーク・アセベド)……。確かにらしくないかもしれないけど、ラッシュのピークを乗り切った時は、本当に気持ち良いもので、あんなウードでも「ありがとう」と言うのは納得できる。
『ディナーラッシュ』……、それはいわゆる夕食時の混雑という意味だけではなく、とある日のディナーにラッシュの如く繰り広げられる群像劇のことを指していたのかもしれません。構成やテンポ感の素晴らしさのおかげでとてもスタイリッシュに仕上がっている印象です。
そうやって大小様々な見どころに目を奪われていると、ラストで実はひねりの効いたサスペンスドラマなのだと驚かされます。冒頭の一文に戻りますが、このスカッとする締め括りに、改めて「映画はやめられない」と思ったのです。