映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』感想
予告編
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R-15+指定
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明日4/9(日)にWOWOWにて放送予定の本作。
……日本語吹き替え版だけど。
番組表見てたらタイトルが目に入ったから、「あ、じゃあ今日はスースクの感想文にしよう」って思っちゃって。もしよければ読んでくださいー。
オーノー!!
エンドロールで流れていた『Oh No!!!』。
これを聴いた瞬間に確信。この映画は、観客に「Oh No!」もしくは「OMG」を言わせにきていたんだって笑! 「どこから?」なんてレベルじゃない。すべてのシークエンスと言っても過言ではない。「マジかよ!」「嘘だろ?!」と言いたくなる裏切りや、流れ無視の連発。フリオチが超楽しい。悲劇的な瞬間だろうがエモーショナルな展開だろうが何だろうが、予兆も無く唐突にオチが訪れることばかりだし、しかもそれら全てにおいて品性の欠片も無い笑。周囲への配慮なんて眼中に無いシンプルなグロさは、彼らヴィランの精神性・人間性のメタファーのよう。“最低” に振り切ることで “最高” へと昇華する感じが面白くて堪らりません。
アンチヒーロー? いやいや——体制(権力)への反対・対抗、気に食わぬ者への排斥、不文律や規則への違背——もはやただの “アンチ” でしかない笑。
そう、彼らはアンチ。ルールを守れないから檻に閉じ込められ、人権を無視した作戦に強制参加せざるを得ない。しかし、その「気に入らない奴はブチ〇す」という姿勢は、現代の我々の心を浄化し得る唯一のものなのかもしれない。なぜなら彼らは悪事を働こうとしているわけではなく、たとえそれが無茶苦茶な暴論だったとしても、自身が思う正しさに従って動いているに過ぎないから。(……悪事の自覚があってむちゃくちゃな屁理屈をこねているかもしれないけど笑)
「なんで自分ばかりがこんな辛い目に」
「なんであんな悪い奴が偉そうにのさばっているんだ」
現実社会に蔓延する不平不満……。それらのほとんどは「納得いかないけど、ルールだから仕方ない」みたいなものばかりなんじゃないだろうか? 勿論、社会のルールを守るのが正しい。だからこそ現実は苦しく大変。そんな日々を過ごす人々の目に、彼らの大暴れはとても爽快に映る気がしてなりません。これぞフィクションだからこその面白さ。しかも本作は、“その人自身が思う正義の一撃” ってやつを振るうのが、ヴィラン以外にも居るっていうのが見どころの一つ。”あの痛烈な一発” を観た時は胸がスーッとしたよ笑。字面だけではわからないと思ういますので、気になる方は是非観て頂きたい。
前作では、各キャラの登場シーンでの説明がダラダラしていて物語が足踏みしていた印象があったけど、本作ではそれが無かった気がします。一人一人が事細かに説明されず、なんとなくの雰囲気しかわからなかったけど、その「何者かわからない」感じの得体の知れなさが、ヤバそうな奴ら感に拍車を掛けてくれる。その上、後々のシーンで想定していなかったことが起きるたびに「お前そんな感じの奴だったのか!」という驚きにも繋がるし、良いことずくめ。アメコミに詳しくなくても問題ない。経歴なんてさほど重要ではなく、その人物を見ているだけで個性が滲み出てくる。
これまた前作でも思ったことでもあるんだけど、序盤から描かれる毒っ気たっぷり、且つ、品の無い日常会話が華やかで楽しそうなのは、ヴィランという大義名分が各々の個性に付随しているからなんじゃないかな。悪口、皮肉、暴言、淫語のオンパレード。それが平常運転というか、まるで息をするように罵詈雑言が飛び交うから、どこからどこまでがジョークなのかすら不明瞭。その包み隠さない物言いは、ある意味、何でも本音で語っているとも取れる。感想文を考えながら気付いたけど、スーサイド・スクワッドのメンバー全員が、ヴィラン足り得るクソ要素の中に、可愛げや愛嬌を兼ね備えているように見えてくるんです。だからこんなに好きになれたのかもしれません。冷たい風貌だけどネズミが怖い、イカツイけど白ブリーフ……etc. 観る人それぞれに ”推し” が見つかるはず!……まぁ、仮に見つかってもすぐ死んじゃうかもしれないけどさ笑。勿論僕の押しはハーレイ一択。まぁ多分彼女がセンターなのかな?
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』とかもそうだけど、ジェームズ・ガン監督だからかな? こんだけメチャクチャなのにチームのバランスが良い(バランスが崩れそうになる度にメンバーが死ぬからかもしれないけどw)。ぶっ飛んだ人間の集団の中に、「はぁ……やれやれ」役が居るのも大きいし、なんて言うか活躍のバランスが良い。
“極” が付く程の悪党が集められた決死の作戦。しかし物語が進めば進むほど、世の正義が揺らいでくる。一体どっちが本当の悪なのかもわからなくなり、終いにはメンバー間でも争いが起きる。ヴィランの中に “ピースメイカー” が居たり、しかもそいつが平和と正義を問うセリフを口にしたりする。そして真の正義を問い、体現するのは悪役であるヴィラン。なんと粋なことでしょうか。
……うーん、やっぱり “アンチヒーロー” なのかな…いやいや、やっぱりただのアンチで笑。