映画『るろうに剣心 最終章 The Final』感想
予告編
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近々、アニメ『るろうに剣心』のリメイクが放送開始なんですって。
ということで、本日投稿するのは、大友啓史監督による実写『るろ剣』シリーズより、本作の感想文を投稿します。ちなみにシリーズ最終作でもある続編の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の感想文はこちらから。よければ併せてどうぞー。
……ド頭から映画館休業要請云々などと述べていますが、公開当時の感想文なので、ご容赦ください。
ヒーロー映画
映画館休業要請明け一発目!! この映画……、っていうかこのシリーズは劇場で観てこそよね! 当然IMAX一択。IMAXならではの縦の動きというよりは、単純に「大きなスクリーンで観たかった」というのが本音。前作からだいぶ時間が経っていたので、最終章は本当に楽しみにしていました。原作の漫画は読んだことある……けど、あんまり細かいことまでは覚えていない笑。とはいえ、過去作で多少の原作改変を経験している本シリーズにおいて、原作の知識はそこまで関係無いんじゃないかと。兎にも角にもかっこいいアクションこそ最大の魅力。
冒頭シーンからして既に見事。シリーズ史上最恐の敵・雪代縁(新田真剣佑)の登場シーン。明治初頭の日本、近代化の象徴とも呼べる鉄道の中で、あまりにも異質な橙色の装束に身を包む雪代縁。俯き気味にサングラスをかけ、その隠された目元は表情や感情を曇らせ、読み取らせない。シリーズ中でも強者の位置づけである斎藤一(江口洋介)を前にしながらも堂々とした態度。そこから始まる戦闘シーンでは、一部にCG(多分)を用いることで常人離れしたアクションを可能にし、ここでもまた雪代縁の異様なまでの存在感を見せつけてくる。冒頭のわずかなシーンだけで雪代縁というキャラクターを印象付けてくれるんです。
久しぶりの続編ということで、るろ剣ならではのアクションを期待していた観客へのある種の接待であると同時に、本作における敵の強さ、とんでもなさを印象付けたインパクト抜群のこの冒頭シーンは、オープニングアクトとしても申し分ありません。
上手く言えないけど、この『るろうに剣心』はある意味〈特撮ヒーローもの〉だと思っている節があります笑。当然、個人的見解ですが。まぁ正確に言えばSFXとかを用いているわけではないので正しい形容ではないんでしょうけど……。要するにライダーやら戦隊モノにも引けを取らないぐらいの少年向け作品のような王道の胸アツ展開があるってことです(こういう論調になると、途端に文章がアホっぽくなっちゃうんですよね……照)。
マジで “当てにいっている” 殺陣、スタント無しのガチンコ感、ワイヤーを使った斬新な演出等々。まずバトルアクションとしてのこだわりが、観ているだけで超楽しい。そのアクション要素に+αで “ヒーロー” の部分を感じてしまうのは、それらしい煽りがいっぱい見られるから。敵に囲まれたとか、「このままじゃ危ない」と思わせてからの到着&救出という流れがあまりにもヒーローっぽい。ピンチ→ギリ到着&救出というこの流れの中に、“人並外れた能力があるからこそ可能な人命救助” だとか、“体を張ってでも人々を守ろうとする自己犠牲の精神” だとか、それこそ少年漫画のような、それこそヒーロー映画のようなエッセンスが含まれているからこそ、繰り返しになりますが僕は本作並びに本シリーズを〈特撮ヒーローもの〉だと思ってしまうんです。しかもそんなヒーローが主人公・剣心(佐藤健)一人だけではないってのもまた良きかな。
主人公・緋村剣心の過去にメスを入れる本作の物語。時系列で言えばどっちが先だとか、「なぜ『Beginnig』より『Final』が先なんだ?」みたいなこともあるかもしれないけれど、「剣心の過去に何が?」という薫(武井咲)や左之助(青木崇高)らの気持ちを考えると、この順序の方が物語を楽しめるに違いない。剣心の暗い過去に引っ張られてドラマ部分が濃くなった分、そういった視点での見所も増えていたんじゃないかな(過去作の感想文読み返したら、アクションとかキャラクターのことしか書いてなかった笑)。
個人的には、縁との邂逅後に剣心が道場へ戻ってきたシーンが良かったと思います。「おろ?」という間の抜けた口癖に代表されるように、強さの他にも優しい雰囲気があった剣心の表情が、酷く暗くなってしまう。その様子に心配する面々への配慮もそこそこに、「休む」といって部屋に入り、襖をピシャッと閉める。その行為自体は大したことないのに、「いつも優しい剣心が……」という想いと、そして過去作には一度も無かった描写のために、ただ襖をピシャッと閉め切るだけの行為が、まるで心まで閉ざしているかのような動きに見えてくる。(もちろん原作を知っているからこそ、みたいな側面もあるかとは思いますけど)シリーズで観てきたからこそ、より良く見えてきます。
クライマックスの勝負には少し驚かされました。たしか『飛天』だったかな? 本シリー ズの中でも象徴的なサントラのタイトルで、過去のシリーズでも見せ場となるアクションシーンや、作品の締め括りやキメとなる瞬間に、まるで大見得を切るかの如く流れていたBGM。僕はこの曲がめっちゃんこ好きなんです。これ一つだけでアクションシーンがより一層かっこよくなる。そしてその音が鳴り出す瞬間を今か今かとずーっと待っていました。剣心vs縁、もう絶対に流れる!
……と思っていたのに、流れない。それどころか他にも何一つ音楽は流れず、一度始まると言葉も交わさずに戦い続ける両者。〈無音〉✖〈刃がぶつかる音〉による緊張感もあるけど、それ以上に際立っていたのは虚無感。その原因は、急に訪れる傍観者のような視点。アクションの動きを追うようなカメラワークの合間にポツンと挟まれる俯瞰したような捉え方・映し方は、まるでこの二人の戦いの虚しさを表しているよう。今までのるろ剣の魅力だけでなく、新たな見どころも増えていたように思えます。
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