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映画『翔んで埼玉』感想

予告編
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 明日、11月23日(木)より、『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』が公開されるということで。今日は一作目の感想文を投稿しようかと。

 いやぁ、新作楽しみだなー。スケジュール調整しないと!

 よければ読んでくださいー。


フルスイング


 ——「“年間ベスト級” や “歴史に名を遺す名作” ばかりを観ていたらアホになる」——。
 …… ↑ これは完全に他人の受け売りなのですが、僕も同様の事を感じています。そう、こんな映画を待っていたんだ! 文字通り “ぶっ翔んでいる” 本作のような映画を!と……。

 けど観終わって気付きましたよ。『翔んで埼玉』は一周回って、もはや超が付く程の傑作なのだと。茶番劇こそ劇場に行って観るべきなんだ!笑



 保身のために中途半端なものを作ると、逆にそれは身の破滅を招く。振り切ることで生まれるこの虚構感は、他に類を見ないものだと思います。女優の二階堂ふみさんが男子高校生に扮し、GACKTが高校生を演じるというキャスティングを知った時点で、僕は既に心を鷲掴みにされていました。「うわっ……完璧だ」と。

 原作者自らが出てきて “お断り” を入れる冒頭のシーンから既に見事。まるで『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲』冒頭での七夕野郎の説明シーンを想起させるようなそのシーンは、日本の映画界に脈々と受け継がれている(?笑)大衆茶番劇の様相を一瞬で構築し、そのくだらなさ極まる世界観へと一気に引きずり込んでくれるんです。開き直りとも取れるこのオープニングのおかげか、そこから始まる悪ふざけの数々も本っ当に酷い(=素晴らしい)。ラジオから流れる都市伝説という建て前を武器に描かれる埼玉ディスり表現の数々は、あからさまにやり過ぎることによって虚構感が確実なものとなる。その上、埼玉を引き合い(ダシ)にして、それを隠れ蓑のようにしながら他県もディスっていく。


 そしてそうやって生まれた〈冗談っぽさ〉の妙を、後半になってまたさらに悪用(=有効利用)する。

 そもそも予告編やTVスポットの時点で「寛大な心で劇場へ」と言っていた『翔んで埼玉』側が、とあるシーンで突然、「はい、冗談でした、チャンチャン」的なことを言い出す笑。「そんなわけねーじゃん」を観客には禁止させておきながら、自ら化けの皮を剥ぐ暴挙! 正確にはメタフィクションではないのに、メタ的な笑いを生み出した名シーンなんじゃないかな? もう何から何まで『翔んで埼玉』の思うつぼです。



 関東圏以外に暮らしている方々に伝わらないかもしれない、という懸念が一切窺えない仕上がりなのもまた本作の大きな魅力。特に「都会指数」という設定が絶妙なんです。同じ東京でも八王子は見下され、東京以外でも横浜は都会指数が高いらしい。私の生まれ育った目黒区は一体どんな評価なのか、なんてことも考えながら楽しめる。

 他にも、大宮の人間と浦和の人間がバチバチに睨み合っているシーンなんて、関東圏に住んでいないと何が面白いのか全くわからないに可能性も大いにあるはず。いちいち挙げていたら切りがありません。是非とも各地域に暮らす人達の意見を、特に埼玉県民、在住の方の意見を聞いてみたいものです。まだまだ気付いていないローカルネタがあるかもしれないから。


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