映画『カメラを止めるな!』感想
予告編
↓
過去の感想文を投稿する記事【75】
うわー懐かしい。たしか口コミがキッカケでめちゃくちゃ話題になった本作。本文中にも「今年一番の話題作」なんて書いちゃってますが、あくまで当時の感想文のままなので、そこはご愛嬌。
というわけで本日投稿するのは、7月24日(月)にWOWOWにて放送予定の映画『カメラを止めるな!』の感想文ですー。そしてその翌日25日には、本作のリメイク作である『キャメラを止めるな!』も放送されるそうな。併せて観ても良いかもしれませんね。ちなみに両作品とも、8月にも放送予定なんだそうです。
噂に違わぬ面白さ
多分、今年一番の話題作ですよね。広めてくれた人達への感謝もそこそこに、改めて口コミの力を再認識させられます。大袈裟でも何でもなく正にアメリカンドリーム。宣伝力で劣ろうとも、その身一つ、地力さえあればここまで来られるんだ、という事実は映画業界をより一層盛り上げてくれるはず。ネタバレのレビューではありますが、観ていない方にはあまり意味がわからないとも思います。悪しからず。
そりゃあ序盤は戸惑いましたよ?「あれ、オレ観る作品間違えたかな?」ってくらいに笑。それはもう何もかもが、です。芝居、カメラワーク、謎の間、あやふやなメタフィクション感……etc. でも、全部回収してくれた! それが「全てを撮り終えた」という達成感と同時に襲ってくるから爽快感が半端じゃない。更にその着地が、主人公親子が物語序盤から抱えていた食い違いのような溝が埋まる瞬間でもあり、それが主人公のモノ作りのルーツ・根源とハッキリ繋がる瞬間でもあるんです。もうドラマとしての回収も完璧。この後味こそが、本作を超ヒット作へと押し上げた口コミを生み出した要因の一つだと思います。観終わった後の映画談義が盛り上がるのは、いわゆる良作である何よりの証。
本作の一番素敵な所は “映画作り” という作り手側の世界観をエンターテイメントに昇華させていること。そこに介在する、映画やモノ作りへの愛、敬意が窺えること。初見では「監督の想いかな? 脚本家の本音かな?」と言わんばかりに “作り手側の代弁” のように感じられた初っ端の監督のブチ切れセリフも、制作過程を経て本番の撮影として観る2回目のそのセリフは、「オレら(観客)の代弁してくれてる!」って気持ちにさせられるんです。全く同じシーンなのに、物語を踏まえることで新たな意味を孕んだシーンへと変貌させてくれる、こういった反復と変化の表現なんか凄く面白い。
そのセリフが、ある種の主張のようにも見えるのですが、登場人物たちのそれぞれが役割ごとに様々なクセのある主張をする中で、一番かっこいいスカッとする主張を主人公に言わせるあたりは素晴らしい。
映画作りへの色んな敬意が詰まっている本作は、結果としては面白さのフリのようになってしまった『ワンカット・オブ・ザ・デッド』そのものに対しても同様にリスペクトが窺い知れます。“追いかけられると途中で必ず転ぶ”、“急いでいる時に限って車が動かない(本作では車のキーが見つからない)”、“助けを呼べない(圏外)”、“単独行動したものから死んでいくというお約束” などなど……。(主にB級)ホラー作品の鉄板法則を幾つも抑えているあたりは、おそらくそういった作品群へのオマージュ。エンドロールに撮影風景が流れるのも本当に素敵です。