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大人っぽさに憧れる


9月24日(火)


私の仕事は、言葉の節々に命を預かっている感じがする。言葉は凶器にもなるし、武器にもなるし、思いもよらない方向から人を傷つけたりもするから繊細で残酷だ。私はいつも細心の注意を払いながら、ナイフを片手に仕事をしているよう。刺すことも、刺さないこともできる。だから真剣な一日を終えるとドッと眠気が襲ってくるし、それでいいんだとも思う。
83歳の祖母がいつも言う、「緊張していない人に、仕事を任せたくはないわよ」「緊張しているってことは、真剣な証」。


そう言えば祖母と私はおなじ「魚座のAB型」なんだけど。私が若い頃に勤めていた美容室の先輩、サキさんとハルさんも私と同じ「魚座のAB型」だった。

サキさんは店長で、変わり者のスタッフ達をまとめる真面目な人間だった。毎日ヘアアレンジが違ったし、頭の先から足の先まで美容師だとわかるセンスの魂があって、私は彼女と会う毎日が楽しみでならなかった。それにサキさんは料理が好きで、彼氏が好きで、着物の着付けができて、後輩の面倒見も良くて、だけどいつも「美容師がいちばん楽しい」と言っているのが印象的だった。私が人生で一番の悪夢を迎えたその夜、彼女が心配して作ってくれた「手作りのブレスレット」。それは今も私に勇気をくれるようで、なんとなく私の宝物ボックスに仕舞われている。

はたまた
ハルさんの方は気が強くてどうしようもない感じだった。けどスタッフの誰もがライバル視するくらいお客さんが多かった。
本人は「彼氏も、仲間も、ライバルも、友達もいらないけどなにか?」みたいなそういう鋭い姿勢があって、私はすごく好きだった。みんなは毛嫌いしていたけど私は毎日のように話しかけた。いつからか退勤後にごはんへ連れ出されたり、ジャージをプレゼントされて一緒にランニングしたこともあった。


魚座AB型の女はどこか感性が鋭い。
サキさんと、ハルさんは全く違う性質のようでどこかが似ていたし、孤独感や変化のある毎日を楽しんでいるようだった。彼女たちは同じ36歳だったんだけど私もその年齢に近づいている。ああいう大人っぽさには憧れる。飽きられない大人でいたいなぁ。

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