なんでもできるよ
私には5歳の息子がいる。名前はレイ。
レイにはある口癖がある。私はそれを聞くたびにレイが可愛くて、ケラケラ笑ったり、ほんのちょっと心配したりするんだ。それって言うのは、私が誰かを褒めるたびに発動するんだけどね。
たとえばレイと2人でYouTubeを見ているときにそれは起きる。先日、ピアニストのハラミちゃんの演奏を見ているときだった。「ハラミちゃんってピアノ上手いよね〜!ほんと凄い!凄すぎる!」と私が言うと、
「え?レイくんより?」と息子。
?!
またある時は、レイと2人。実家の愛犬、クゥちゃんと遊んでいる時のことだ。
「クゥ、おすわり!待て。..........ヨシ!」
「良い子だ〜♡よく出来た!」と私がクゥちゃんを抱きしめてナデナデと褒めちぎった瞬間、それは起きた。
「え?レイくんより?」
またある時は、家族で音楽番組を見ている時にそれは起きた。perfumeだ。あのダンスだよ。「ピンヒールで踊ってるのやばくない?すごいよね!ほんとヤバい!」
「え?レイくんより?」
私はそんな息子が可愛くて抱きしめたくなる反面。ハラミちゃんや、犬や、perfumeと張り合おうとしてくるあたりが、自己肯定感が高すぎやしないか?と。これで友達を失わないか?と心配になるんだ。
ただ、よくよく考えたらこれって、レイに限ったことじゃない。大人もじゃない?っていうか.私もじゃない?って今日、気づいちゃったわけ。否応にも。
っていうのは、私よりも後にピラティスインストラクターになった友人がいるのだけど。彼女の熱量と、努力とカリスマ性と、技術と、人間性と、努力と努力と努力が凄すぎて。最近、彼女はバカ売れしているんだ。それがなんか、ごめんやけど無性に切なくて、羨ましくて、腹が立ってる自分は情けなくて、腹を座らせて...。悲しませたいとか、友達やめたいとかではない中で、そっとインスタグラムをフォロー解除したんだ。自分のことを守りたかったんだ。悔しかったんだ。その瞬間、マジでもしかして私の心の奥底に
「え?レイくんよりも?」のアレがいたんじゃないかって。
「え?わたしよりも?」
!?
私、息子のこと笑えない。全然可愛くない。でもこれって本当は、可愛い?意外と人間って、自分の可能性を知っているんじゃないかって思ったんだよ。「自分が一番すごい」の可愛い生き物なんだよ。自分には無限の可能性があって、それをしまい込んでる自分がみっともないし、悔しかったりするんじゃないかって。私だってできるとか。私だって努力しなきゃとか。私だって努力を認められたいとか。本当は「自分には何でもできる」って知ってんのかもしれないって。
そしたら急に、私は自分の世界が小さく感じて。今すぐ、広げていいことにも気がついた。というか、広げたほうがいいことに気がついたんだ。そしてレイくんの「え?レイくんより?」に対しての正解は、
「レイくんにもできるよね」だね。
私たち、何でもできるよ。